東洋医学講座 No.58 望診 舌診(舌苔) | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


先週は舌の形や色である舌質 についてお届けしました。舌診においては、その舌質(ぜつしつ)に舌苔(ぜつたい)を組み合わせて診断します。舌苔は、まさに苔(こけ)のように舌の表面にみられるもの。


舌苔は胃気 が上がって生じたものと考えられています。健康であれば、舌の表面には白いきれいな苔がうっすらとついていて、適度な湿り気と潤いをたもち、これを薄白苔といいます。ところが、病的な状態になると、その色や厚み、湿り具合などが変化するんです。


1 苔色


① 白苔 … 表寒証・裏寒証

外邪 、特に の邪におそわれたとき、その外邪がまだ表(体表近く)にとどまっている状態を表寒証(ひょうかんしょう)といいますが、このときはまだ薄白苔をたもっています。風寒邪が裏(臓腑)に入り込んだり、内寒 が生じたとき、これを裏寒証(りかんしょう)といい、苔色は白が強くなります。このとき、舌色は淡舌なので、舌の所見としては「舌質淡、舌苔白」と表現します。


② 黄苔 … 表熱証・裏熱証

暑邪火邪 のような熱性の邪が入ったり、内熱 が生じたりしたとき、その熱の程度によって黄色の濃さが変化します。淡黄色であれば熱が軽く、深黄色は熱が重く、焦黄色(こげたような黄色で茶色に近い)では熱がかたまったような状態。 風寒で白かった苔が黄色くなった場合は、風寒邪が裏に入って熱に変わったことを示します。舌色は紅舌であり、「舌質紅、舌苔黄」と表現します。


③ 灰苔 … 裏熱証寒湿証

白色から灰色に変化して、潤いがみられるときは、寒湿あるいは痰飲 が臓腑にたまっています。灰苔で乾いている場合は、熱が盛んで津液不足 がひどいか、陰虚 で熱が強い状態です。


④ 黒苔 … 熱極・寒盛

熱極と寒盛は、それぞれ熱と冷えの両極で、重篤な状態です。舌苔が黒くて乾燥し、裂紋や芒刺があるときは、熱が極限まで強くなって、津液が枯渇しています。つまり、熱でからだが水分を失ってカラッカラになった状態。黒苔で潤いがあるものは、陽虚 が強くて冷え冷えになっています。


2 苔質


① 薄苔・厚苔

苔が薄くて舌本体が透けて見えるものが薄苔、厚くて舌本体が見えないものが厚苔。病邪の強さや病気の進行具合を診ることができます。病の初期で病状が軽ければ薄く、病の勢いが強かったり、食積や痰湿が滞っていたりすると厚くなります。


② 滑苔・燥苔

正常であれば、舌苔は津液によって適度に潤っています。からだの水分が過多であれば、潤いも過剰となり、全体につるつるした滑苔となります。反対に熱が強いと、乾燥して津液が失われ、燥苔となります。


③ 膩苔(じたい)・腐苔(ふたい)

細かく緻密なねっとりした苔でおおわれていて、はがそうとしてもはがれにくい状態が膩苔で、痰飲や痰湿があることを示します。やや粗くやわらかな苔で、はがれやすく、おからのような苔が腐苔。これは食積や痰濁にみられます。


④ 剥苔(はくたい)

舌苔がはがれおちて、舌表面が鏡のように光るものを光剥苔または鏡面舌といいます。胃陰が枯渇して胃気が弱ってしまった状態です。


舌質と舌苔を総合してみたとき、舌質淡紅・舌苔薄白が健康な状態。舌質淡・舌苔白は体内に冷えが、舌質紅・舌苔黄は熱があることを示します。


舌苔には胃気すなわち消化吸収機能の良し悪しが反映されます。膩苔であればまちがいなく飲みすぎか食べすぎです。それが白ければ、生ものや冷たいものは当分控えたほうがいい。黄色い場合は、甘いもの、脂っこいもの、味のこいもの、アルコールを控えてね。


一天一笑、舌の状態もチェックして、今日もいい1日にしましょう。


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