東洋医学講座 No.52 内生の五邪 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


先週のNo.51 で予告のとおり、今日は陰陽・気血津液・臓腑の変調によって生じる風・寒・湿・燥・火(熱)の邪についてお届けします。


外因に分類される外感六淫(No.26  No.27  No.28 )が引き起こす症状や病態と、とてもよく似た変化をからだに生じさせます。外からやってきた外邪と区別するため、内風・内寒・内湿・内燥・内火または内熱と呼ばれ、「内生の五邪」と総称されます。


1 内風

陰虚(陰の不足)、陽盛(陽の過剰)あるいは陰虚陽亢(陰が不足して相対的に陽が亢進)によって、めまいやけいれん、ふるえなどが起こることがありますが、これは体内に生じた風邪が動くためにそうなります。肝火上炎、肝陰虚による肝陽上亢(→No.46 )、熱病の高熱、慢性疾患による陰虚の悪化、長引く血虚(→No.37 )、精の不足(→No.40 )からくる精血不足(精血同源なので精の不足は血の不足を招く)、ひどい血お(→No.38 )による気血の生成障害、気血の不調和などが原因となります。


2 内寒

陽気が衰弱したために、からだを温めることができないでいると、内寒を生じます。五臓の陽気はそれぞれにからだを温めて、自らの機能を正常に保つように働きますが、中でも腎陽はすべての陽気の根本であり、これが弱るとからだ全体が冷えて、顔色は蒼白になり、寒がりになり、手足は冷たく、かぜをひきやすくなります(→No.45  No.47  No.48  No.49 )。


3 内湿

水分を摂りすぎたり、肺・脾・腎・三焦の働きが失調して水分代謝が悪化したりすると、内湿が発生します(→No.47  No.48  No.49  No.51 )。湿は重く停滞しやすいために、内湿が生じるとなかなか治りにくく、さらに気のめぐりをじゃまする傾向が強いため、ますます停滞しやすいというやっかいさを持っています。これが長く停滞すると、熱を帯びてきて、湿熱になります。冷やすと寒湿になります。


4 内燥

津液・血・精などの陰分がひどく不足して、臓腑や組織がうるおいを失うと、内燥を生じます(→No.37  No.39  No.40 )。皮膚が乾いてカサカサになり、しわが増え、口やのど、唇、目や鼻が乾き、爪が割れやすくなります。肺に生じれば乾いた咳と喀血、胃に生じれば口内炎や歯肉の出血、大腸に生じればひどい便秘などが起こります。


5 内火(内熱)

陰陽のバランスを失うと、陽気が強くなって内熱となり、ひどくなれば内火となって燃え上がります(→No.45  No.46  No.47  No.48  No.49 )。長期にわたる痰湿やお血、食積の停滞(→No.38  No.39  No.50 )、精神的な抑うつ状態の長期化(→No.35  No.46 )も内熱の原因となります。


こうして見てみるとわかるように、どこかしらの不調をほうっておくと、別の不調が発生して、悪化すればからだの中に外邪と同じような内生の邪をかかえこむことになるのです。これまでご紹介してきた、さまざまな病いは、別々のようでいて、つながりを持っていることに気づいていただけたことと思います。


そして、どんな病いを生じやすいかは、もともと体質的にどこが弱いかによりますし、生活環境や生活習慣もまた影響します。同じ病気でも人によって見える症状が違ったり、違う病気でも同じ症状が出たりするのはそのためなんですね。なので、東洋医学の治療では、いまどんな病気のどの段階なのか、細かい症状を確認しながらも、全体を診て判断することが重要になるんです。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-椿

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