おはようございます
先週の胆と胃の変調 に続いて、六腑の変調の残り、小腸・大腸・膀胱・三焦の変調についてお届けします。
小腸の変調
小腸に寒邪が侵入したり、からだを温める根本である腎陽の不足があって小腸が十分に温められなかったりすると、小腸が冷えます。すると、受盛や清濁の泌別(→No.15 )がうまくいかなくなって、精微(栄養分)と糟粕(不要物)を分けられなくなり、おなかが鳴ったり、下痢や嘔吐を起こしたりします。
湿熱が小腸にこもったり、心火(→No.45 )が小腸に影響したりすると、尿が濃くなって赤みを帯びたり、尿が濁ったり、排尿するときにひりひりする熱さを感じたりします。
大腸の変調
大腸が熱を持ったり、津液(水分)が不足して大腸の潤いが失われたり、肺の粛降(→No.12 )や胃の降濁(→No.15 )の不調が影響して大腸の伝化(→No.15 )がうまくいかなかったりすると、便秘を生じます。
飲食の不摂生によって食滞を生じたり、湿熱が大腸に入ったりすると、便がゆるくなり、ひどければ下痢を生じます。寒湿が大腸に入って冷えた場合は、ひどい下痢を起こします。
膀胱の変調
膀胱の不調は、貯尿と排尿(→No.15 )の異常となってあらわれ、尿がなかなか出ないとか、排尿回数や尿量が増えるとか、尿をもらす、尿が濁るなどの症状が出ます。腎のコントロールを受けるため、腎の不調(→No.49 )も影響します。
三焦の変調
三焦は水の通り道(→No.15 )であり、上焦・中焦・下焦のいずれかで変調が起こると、そこに水分が停滞して、むくみが生じ、水分の代謝が悪化して尿が出にくくなります。
こうしてみていくと、六腑の変調は五臓の変調の影響を受けやすいことがわかりますね。出ている症状の組み合わせから、どこがおおもとになっているのかを見定めることで、治療方針が定まります。
五臓六腑のどこで、内因・外因・不内外因のどれが原因で、陰陽・気血津液の状態がどうなっているのかを診ることを、臓腑弁証といいます。気血津液の状態だけで判断する場合は、気血津液弁証となります。診断によって病気の状態を把握することを「証を立てる」といって、証が立つとおのずと治療方針が決まるため、東洋医学では細かな診断基準があります。
次回は、陰陽・気血津液・臓腑の変調によって生じる風・寒・湿・燥・火の邪についてお届けします。風・寒・湿・燥・火の邪って、外邪(→No.26 )じゃないの?はい、違うんです。臓腑の失調をごらんいただいて、その存在をうすうす感じていらっしゃったのではないでしょうか。これをご説明して、その後に診断基準へと話を進めていきますね。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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