東洋医学講座 No.54 八綱弁証 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


この間の日曜日、大阪国際女子マラソンが雨の中行われました。優勝はエチオピアのアマネ・ゴベナ選手。3歳のお子さんがいらっしゃるママさんランナーとのこと。決してきれいなフォームではありませんが、力強い走りでした。


この大会のデータ放送で、元マラソン選手の瀬古利彦さんの「つぶやき」が流れていたのですが、「気温がさほど低くなくて、風がなければ、雨が降っているほうが、肺がらくなので走りやすい。」とおっしゃっていました。東洋医学の肺は、乾燥に弱くて、湿潤を好むので、「そう、そう、やっぱりね!」なんて、力をこめてうなづいてしまいましたー(→秋は「燥」と「憂・悲」に気をつけて )。


さて、先週のNo.53 でお伝えしたように、東洋医学では弁証がきちんと立てられれば、論理的に治癒へみちびくことができます。弁証を立てるために、四診で情報を集めますが、もちろん情報量は多ければ多いほどよい。集めた情報を、いかにシステマティックかつロジカルにまとめるか?その手順を示すものが弁証法であり、弁証法の基本中の基本が八綱弁証なんです。


八綱弁証の八綱とは、表・裏、虚・実、寒・熱、陰・陽の、2つ1組4セット、合計8つの綱目になります。


1 表裏

病変が、(ひょう)すなわち体表面にあるのか、(り)すなわち臓腑や血脈にまで入り込んでいるのか、その位置(病位)を判断します。表証のほとんどがカゼの初期症状で、それ以外は裏証になります。


2 虚実

正気(せいき)と邪気(じゃき)のどちらか盛んで、どちらが衰えているか、病変の勢い(病勢)を判断します。No.25 にある邪正の盛衰の状態を診るものです。


3 寒熱

病気の性質(病情)をとに区別して、No.25 にある陰陽の失調すなわち陰陽バランスを診ます。陽は弱くないけど陰が強い状態ならば実寒、陰は弱くないけど陽が強ければ実熱となり、陰は普通で陽が弱いと虚寒、陽は普通で陰が弱ければ虚熱になります。


4 陰陽

陰陽は八綱弁証を総括する項目。表証・実証・熱証陽証であり、裏証・虚証・寒証陰証となります。したがって、表裏・虚実・寒熱を弁証すれば、陰陽は決定します。


図式化すると↓こんな感じ。


春月の『ちょこっと健康術』-八綱弁証


とってもシステマティック!八綱弁証を立てたら、裏証に関しては、出ている症状がどの臓腑に関係しているのか、気血津液や病理産物あるいは外邪・内生の邪によるものなのか、詳しく診ていくことで、病変への対処がより的確にできる。そのために、No.26~52の間でご説明した情報を使うことになります。気血津液の状態から立てる弁証を気血津液弁証、臓腑の状態を診るものを臓腑弁証といいます。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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