東洋医学講座 No.22 気血津液 その4 血と津液 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


私たちの身体を形作っているものは何でしょう?


解剖生理学的にいえば、細胞ですね。人体にはおよそ60兆個もの細胞があって、部位ごとにその機能を果たすのにふさわしい形としくみを持っています。そして、細胞の種類によっては1~2日の寿命しか持たないものから、人そのものの寿命と同じ長さの寿命を持つものまで様々です。そして、細胞と細胞の間は、細胞間質と呼ばれる組織で埋められて、人体という形を成しています。


東洋医学における人体の構成要素は、気血津液の4つ。とは、気血津液の基本となるもので、人体の活力源でもあり、とともに精気として示されることもあります。には、両親から受け継いだ先天の精と、飲食物から得た後天の精とがあって、互いに補い合っています。「精力がある」とか「精力的」という言い回しがありますね。その場合、このが充実している状態を指しています。


については、これまで3回にわたってお伝えしてきました。今回は(けつ)と津液(しんえき)についてお話しましょう。


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1 とは

飲食物は、脾胃で消化されて、体内に取り込まれ、水穀の精微すなわち後天の精となることは、すでにご存じのとおり。は、この水穀の精微からつくられます。営気の働きで、津液の一部と微量のが結合して、は赤くなります。解剖生理学でいう血液と似ていますが、イコールではありません。


2 の働き

豊富な栄養を含んでいて、脈中を営気とともに流れながら全身にその栄養を運びます。つまり、滋養作用を持っているということ。の滋養作用によって、五臓六腑も皮肉筋骨も、目や耳、口や舌も、身体すべてがうまく動くのです。したがって、血が不足すると、眼精疲労、皮膚の乾燥やかゆみ、関節の不具合、四肢のしびれ、動悸、不眠などの症状があらわれやすくなります。


3 と関係の深い臓腑

は、によってその循行を調節されていて、の疏泄機能によってその流れが後押しされています。また、の蔵血作用により循環量が調節され、の統血作用により脈の外へ漏れ出ないようになっています。


4 津液とは

と同じく、水穀の精微からつくられます。体内の水分の総称で、清んで粘り気がない陽性の水分が、粘り気があって陰性の水分がと分ける場合もありますが、明確な境界はなく区別できないことも多いため、両者を合わせて津液としています。


5 津液の働き

全身に潤いを与える滋潤作用を持っています。体温調節にも働き、汗や尿、唾液、涙、鼻水となって排泄されます。津液が不足すると、皮膚・目・鼻・のどなどの乾き、関節の動かしにくさ、便秘などが起こります。反対に多すぎると、むくみや下痢の原因になります。また、津液の一部はになりますから、津液の量はにも影響します。


6 津液と関係の深い臓腑

津液のもととなる水穀の精微はでつくられて肺へ送られ、津液はの宣発粛降機能によって三焦を通路として全身に運ばれます。余分な水分は、の気化作用によって尿として膀胱から排泄されます。また、五液として五臓にも関係しています(汗…心、涕(鼻水)…肺、涙…肝、涎(よだれ)…脾、唾…腎)。


次回は気血津液の相互関係についてお伝えしますね。今日もいい1日になりますように。


春月の『ちょこっと健康術』-花菖蒲