【空蝉69-3】古文単語「にくし」
源氏物語イラスト訳のあいです
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…日本語にはあるが受験生世代はほとんど使わない語。
…ですが、今回の古語は、
文脈判断を要する幅広い古語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
憎しとはなけれど、御心とまるべきゆゑもなき心地して、なほかのうれたき人の心をいみじく思す。
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今回出てきた古文単語
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■【憎(にく)し】…気に入らない。憎らしい
■【と】…引用の格助詞
■【は】…区別の係助詞
■【なけれ】…ク活用形容詞「なし」の已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【御心とまる】…お気持ちが惹かれる
※【御―】…尊敬の接頭語
※【心とまる】…気持ちが惹かれる
■【べき】…当然の助動詞「べし」の連体形
■【ゆゑ】…風情。趣
■【も】…強意の係助詞
■【なき】…ク活用形容詞「なし」の連体形
■【心地(ここち)】…気持ち
■【し】…サ変動詞「す」の連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【なほ】…やはり
■【かの】…あの。その
■【うれたき】…いまいましい
■【人】…女。ここでは空蝉をさす
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【心】…気持ち。心
■【を】…対象の格助詞
■【いと】…とても
■【いみじく】…シク活用形容詞「いみじ」連用形
※【いみじ】…とてもひどい
■【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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本日の古語 ☆ 「にくし」 ☆
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センター試験もいよいよ間近に迫ってきましたね。
(。´・∀・)ノ゙
今日は、文脈判断を要する幅広い意味の古語☆
憎しとはなけれど、御心とまるべきゆゑもなき心地して、なほかのうれたき人の心をいみじく思す。
問)傍線部の意味として、最も適当なものを、次の中から選べ。
1.軒端荻を空蝉ほどひどいとは思わないけれど
2.軒端荻を奥ゆかしいとは思わないのだけれど
3.軒端荻を見苦しいと思っているわけではないけれど
4.軒端荻を憎いほどすばらしいとは思わないけれど
5.軒端荻を気に入らないということはないのだけれど
センター古文の問1では、
こんな重要古語を含んだ一節がよく出題されますよね~;;
(; ・`д・´) !!
【形容詞:ク活用】
①しゃくにさわる。気に入らない。いやだ。憎らしい
②感じが悪い。見苦しい
③(憎く感じるほど)見事だ。すぐれている
*「学研全訳古語辞典(Weblio辞書)」より
「こころにくし」という単語が、重要古語としてインプットされている受験生は、
「にくし」が問1なんかで出てくると、
慌てて古今異義語に飛びついちゃったりしませんか?
…で、結局意味を取り違えて、勝手に話を作り替えたり…
(;゚;∀;゚;)
実は、こんなふうに暗記に頼る受験生を惑わす設問を作るのが、
センター5択の出題者なのです!
Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
その思惑にハマらないように、
文脈をきちんと押さえながら読み進めましょうね♪
(●‘∀‘●)ノ"
ポイントは、
傍線部直後の逆接の「ど」。
ヽ(゚◇゚ )ノ
直後の文脈が、
「御心とまるべきゆゑもなき心地して…」
(=お気持ちが惹かれるはずの趣もない気持ちがして…)
…という、
軒端荻に対するマイナス評価が来ているので、
直前の傍線部は、
軒端荻に対するプラス評価のはず。
ヽ(゚◇゚ )ノ
正解……5
憎しとはなけれど、御心とまるべきゆゑもなき心地して、なほかのうれたき人の心をいみじく思す。
● 過去記事リンク
■も
■なほ
■か・かの
■うれたし
■心
■いみじ
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