公務員の教科書 vol.20 AI vs. 教科書が読めない子どもたち/新井紀子 | 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

仕事も家族・友人との私事も楽しみながら、魂を燃やして挑む“志事”で社会を変えていきたい! 地方公務員として働きながら、NPO活動、講演、執筆、ワークショップデザイナーなどに取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”として活動しています。

 

 

 

公務員の教科書 第20弾 はこちら

 

 

 

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

 

 

 

最近、AI関連本が書店に多く並んでいます。

それらの中にあって、本書が特徴的なのは、

 

AI技術に対する評価が冷静で

その時代を生きる人々に温かい

 

という点かもしれません。

 

 

 

 

乱暴を承知で、私なりに本書のメッセージをザックリと読み解けば・・・・・・。

 

AI技術には数学的に明確な限界があるので、SFじみたディストピアな未来は到来しない

その一方で、現実として大量の人材がAIに代替されるし、その人材の多くはAIによって生まれる新しい仕事には就くことができない

現在の教育は、AIに代替され新しい仕事にも就けない人材を生み出し続けている。

 

といった点に集約されます。

 

 

より噛み砕いた言い方をすれば、

 

AIの限界はあるし、労働市場での棲み分けは可能だが

わざわざAIに代替されやすい人間ばかり育ててきた

 

ということが、本書からは大変よく分かります。

 

 

 

 

本書を書いている新井紀子氏は、数学者であり、国立情報学研究所で人工知能のプロジェクト『ロボットは東大に入れるか』プロジェクトを率いているリーダーです。

 

その著者の視点は、研究者としてAI技術の限界とそれがもたらす社会の変化をきわめてクールに分析し、分かりやすく伝える一方で、

 

AI技術に限界があるとしても(限界があるからこそ)、代替されない人材となるために必要な行動やパラダイムシフトを私たちに求めています。

 

 

 

 

AI関連本として本書が私たち読み手にもたらしてくれる価値を、以下の3点にまとめてみました。

 

 

①AI技術の限界の“意味”が理解できる(第1章、第2章)

 

②AI技術に勝てるのが誰かだけではなく、AI技術に勝てる人材を育てるとはどういうことなのかの示唆が得られる(第3章、第4章)

 

③AI技術との関係で、将来自分がどうありたいかに思いを馳せる材料が得られる(第5章を中心に全体)

 

※( )内の章は、本書の中で各項目を読み取れるパートです。

 

 

 

 

上記の①、②、③のそれぞれによって、私の中でAI技術というものに対する以下のような変化がありました。

 

・シンギュラリティが到来し、AIが支配する時代が来るかも

 ⇒(少なくとも数十年のオーダーでは)来ない

 

・(漠然と)公務員の仕事の大半はAI技術に代替される

 ⇒公務員のアノ仕事はAI技術に代替されそうだな~

 

・たくさん本を読んでる我が家の娘たちはマシなのでは

 ⇒読む量は関係ないらしいのでヤバイかも

 

・公務員の中でも自分は(相対的に)大丈夫な方だろう

 ⇒自分の中のコレをしっかりと伸ばし、補強する必要アリ

 

 

 

本書を読んだことで、漠然と考えていたAIによる社会の変化を、より精緻に思い描くことができました。

 

そのおかげで、公務員という業界の変化や、子どもたちの教育のこと、そして何より私自身がどのように働き、学び、様々なものを越境していくことが求められるのかをリアルに感じ取ることができたのが、大変大きな収穫です。

 

 

公務員の未来の働き方に関心のある私としては、この本を読まずに、人前で何かを語るのは怖いな~と思わずにはいられない一冊。

 

 

ぜひ、公務員に限らず未来の働き方、これからの人材開発(学校教育を含む)について関心のある人に読んでいただき、一緒に議論していきたい内容です。

 

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

 

 

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