公務員の教科書 vol.15 場づくりの教科書/長田英史 | 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

仕事も家族・友人との私事も楽しみながら、魂を燃やして挑む“志事”で社会を変えていきたい! 地方公務員として働きながら、NPO活動、講演、執筆、ワークショップデザイナーなどに取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”として活動しています。

公務員目線で仕事や課外活動など様々な場面で“効く”本を、
島田の自分勝手な観点からご紹介する
「公務員の教科書(旧:公務員に効くビジネス書)」シリーズ。


第15弾は、
NPO法人れんげ舎代表理事の長田英史(おさだ・てるちか)氏

『場づくりの教科書』。


場づくりの教科書




長田英史氏は、大学卒業後企業に就職することなく、
社会活動を仕事にしてしまった、まさにプロフェッショナルな活動家。

ご自身が代表を務めるNPO法人れんげ舎では、
子どもの居場所づくりなどの活動をしていますが、

これまでにNPOとしての活動などを通して蓄積された
組織運営や場づくりについて、個人や団体を支援したり
コンサルタントとして入り込んだり、講演活動などもされています。


NPOとしての地域での活動を主戦場とする著者は、
企業で組織をマネジメントするのとは異なる経験を蓄積していて、

それはつまるところ、
給与や身分保障で結ばれた労務関係下での組織マネジメントではなく、
やる気や個人の志による繋がりの下での組織マネジメントの
まさにプロフェッショナルであるということ。



いきなりですが、目次の章立てをご紹介します。

1章 場はたった一人の思いから生まれる
2章 ゼロから新しい場をつくるには
3章 組織を立ち上げるには
4章 会議のやり方
5章 継続的な場をさらに豊かにするには
6章 場づくりはいつも自分の内側から



私もそうですが、NPOなど課外活動に関わっている人にとって、

この章立てに興味を惹かれない人はいないのでは!?



新しい、まだ世の中にない“場”を創るということは、
常に自分の内側から始まるんだと説く著者。

だから、社会(外)が望むかどうか、求めるかどうかではなく、
自分(内側)がやりたいと思うかどうか、

社会の期待に応えると言えば聞こえはいいですが、
それは活動の様々な場面で、
いいことも、うまくいかないことも社会の責任にし得るということ。

そうではなく、自分がやりたいと思うことだから、
誰にせいにもしないで、自分が責任を持ち、
それはやるのか、やらないのか、ということも
自分の責任で判断するということ。

組織で活動するとしても、
その組織にどの程度コミットするのか、
会議で影響力を発揮するのかどうかも
自分が自分の責任で判断するということ。

そして、だからこそ、
自分が立ち上げる、または参加する組織から
自分自身が自由でいられるということ。

手にするべきは、責任を放棄するという自由ではなくて、
責任を持つことで関わり方を自ら選択できるという自由。


本書を読むと、
場づくりとはなんて厳しいんだ、と思うと同時に、
なんて自由で創造的でパワフルな行為なんだ、
と思わずにはいられません。


内容としては、1章、2章の心構え的な内容で
場づくりに関わることへ背中を押してもらいながら、

3章、4章、5章の非常に実務的・実践的な内容で
すぐにでも最初の一歩を踏み出し、
既に活動している人にとっては、
明日から自分のチームで試したくなるノウハウ満載で、

6章で、今一度、自分がなぜ場づくりに関わるのか、
どうやってこれから関わっていきたいのかを
自分の内側に問いかける時間が与えられます。



個人的には、
3章の組織づくり、4章の会議については、
いずれも会社組織におけるそれらのノウハウは
参考にできる資料も書籍も豊富にあるのですが、
NPOや課外活動におけるこれらのノウハウについて
ここまで体系的に整理された資料を私は知りません。

また、5章で書かれている、
組織の継続性の話の中で書かれている

仲間が“客体化”してしまうきっかけ(P185)


という節は、状況の分析も対処方法も
まさに現場の感覚に即した実践的な内容で
様々な活動・団体で活かせるノウハウです。


最後に、本書から私がとても重要だと思った箇所を
一部抜粋してご紹介します。


場づくりは、いつも自分の内側から始まります。
まず、自分の内側を整えるのです。

そうすると、身の回りも自然と整います。
波紋のように、あなたを中心として場が広がっていきます。

日常のさまざまな場面でも、
本当に思ったことを言うだけで、場が変わります。

(以上、本作 P238 より引用)




場づくりに取り組む一人のプレイヤーとして、
とても考えさせられます。



皆さんは如何お考えでしょうか。



★★★公務員の教科書 バックナンバー★★★
vol.14  魂の退社/稲垣えみ子
vol.13  稼ぐまちが地方を変える/木下斉著
vol.12  新しい道徳/北野武著
vol.11  読んだら忘れない読書術/樺沢紫苑著
vol.10  人事よ、ススメ!/中原淳編著
vol.9   アイスブレイク入門/今村光章著

vol.8   それでも社長になりました!/日本経済新聞社編
vol.7   働く人のためのキャリア・デザイン/金井壽宏
vol.6   自分らしいキャリアのつくり方/高橋俊介
vol.5   7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
vol.4   KP法 シンプルに伝える紙芝居プレゼンテーション/川嶋直
vol.3   35歳の教科書/藤原和博
vol.2   人を動かす/D・カーネギー
vol.1   京セラフィロソフィ/稲盛和夫