公務員に効くビジネス書 vol.6 自分らしいキャリアのつくり方/高橋俊介 | 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

仕事も家族・友人との私事も楽しみながら、魂を燃やして挑む“志事”で社会を変えていきたい! 地方公務員として働きながら、NPO活動、講演、執筆、ワークショップデザイナーなどに取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”として活動しています。

ビジネス書を、公務員目線でご紹介する
「公務員に効くビジネス書」。


第6弾は、
「自分らしいキャリアのつくり方」(高橋俊介)


「公務員キャリアデザインスタジオ」
という団体を立ち上げた関係で、
いわゆる「キャリア」というものについて
勉強をしておりまして、
その一環として読んだ一冊です。
(3月8日新しく活動の場所を創りました!
3月16日不安を感じさせない程度の知識はマナーとして参照)


著者にとっての正解を押し付けるのではなく、
44のキーフレーズから、読者一人ひとりが
自らのキャリアについての気づきを得る
ヒントを与えてくれる一冊です。


例えば、#10 魚は対面販売で買え では

どんなに事前に綿密にリサーチしても、その仕事を通じて自分らしさを感じられるかどうかは、実際にやってみるまでわからない。だから、まずはやってみる。そして、仕事をやりながら気づいたり学んだりしているうちに、自分らしいキャリアが少しずつできあがってくるから、そこでまたキャリアを振ることをくりかえすのが、現実的なキャリア形成(P57)

つまり、キャリア形成は「正解主義」ではなく
「修正主義・仮説思考」で考えるべき
と指摘。

そう考えると、「9時5時」「安定」だけで
公務員を目指してしまうと、入職と同時に
計画上はゴールに到達してしまっていて、
その後、自分のキャリアと向き合うことなく
40年間無事に過ごすことが目的の
職業人生になってしまうのかもしれません。

また、たとえ「9時5時」「安定」だけではなく
「地域に貢献したい」といった意識でいても、
市役所にはそのような実感が得られない職場が多く、
そういった職場に配属されたときに
そこでの仕事に精一杯打ち込むことができなければ
地域への貢献を実感できる職場に配属されても
十分なパフォーマンスを上げられず、
入職前の理想とのギャップに苦しむことも。


例えば、#19 辺境の仕事・辺境の組織がキャリアを強くする では

若者は歯車として仕事に甘んじるしかないのだろうか。必ずしもそういうわけではない。メイン事業ではない辺境の仕事を買ってでればいいのだ。(中略)大組織の一部分では経験できない経営目線や顧客目線で仕事ができる。つまり、辺境の小さな仕事ほど目線を上げるのに役立つのだ。(P92)

これは私も少し経験がありまして、
環境局で新規事業を自分で立ち上げたときに
自分で調査の設計もして、委託発注もし、
社内調整に、会場の手配、公募、接客、
協力者獲得の営業、プロモーション等々
何から何まで自分が中心になって進めて、
売り上げや出資といった話ことないものの、
小さな企業の営業部長兼事業部長
みたいな仕事を入って数年で経験
させていただくことができました。

その時は内容の決まったルーティンでは
味わえないような経験ができましたが、
あの時の経験は、その後の私の仕事ぶりに
大きな影響を与えてくれています。

公務員に効くビジネス書



他にもご紹介したいキーフレーズは
まだまだたくさんあるのですが、
それは本書を読んでいただくとして、
私が感じ取ったポイントを3つほど。


1.個人に焦点が当てられている
キャリアの形成は組織にしてもらうのではなく、
自ら積極的に行うべきもの
そのために必要な姿勢のヒントが得られます。

2.読者自身が仮説を立てる
全体として「あなたはこうあるべき」という
書き方ではなく、課題→原因→対処法を
紹介している項が多いため、自分にとって
この課題は当てはまるかどうかを考えて、
当てはまるとしたら原因→対処法は
具体的にどのように組み立てられるのか。
そうやって
仮説を立てて自分事とすることで
本書の内容を取り入れることができます。

3.官民問わない汎用性がある
上記でご紹介した項もそうですが、
キャリアパス、人材育成、上司との付き合い、
暗黙知、異動、動機付け、スキル……と、
内容は公務員であっても当てはまるものばかり。


冒頭でご紹介した
「公務員キャリアデザインスタジオ」
の代表としての勉強以上に、
公務員としての自らのキャリア形成に
非常に役に立つ一冊でした。

皆さんも、公務員としてのキャリアを考えるために、
一度、お手にとってみてはいかがでしょうか。

自分らしいキャリアのつくり方 (PHP新書)