公務員に効くビジネス書 vol.12 新しい道徳/北野武著 | 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

仕事も家族・友人との私事も楽しみながら、魂を燃やして挑む“志事”で社会を変えていきたい! 地方公務員として働きながら、NPO活動、講演、執筆、ワークショップデザイナーなどに取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”として活動しています。



新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか



随分と書いていませんでした「公務員に効くビジネス書」。

久しぶりにご紹介するのは、
皆さんご存知の北野武が書いた『道徳本』。


『北野武』と『道徳』という組み合わせに
出版社・編集者のプロモーション上の戦略を感じないでもないですが、
読んでみると日ごろ感じている『道徳教育』というものへの違和感が
何となくですが自分なりに理解できるような気がします。


ご紹介したい本文からのフレーズはこちら。

道徳は将来の理想的な国民を育成するための道具ではないはずだ。
一にも二にも、子どもたちの成長や発達のためのものだろう。
今の道徳教育は、子どもはこうあらねばならないという型がまずあって、
その型にむりやり子どもを押し込めようとしているみたいだ。
(P134)



子どもに“あるべき姿”ってあるんでしょうか?


元気ハツラツなら いい子ども?(大人しくて物静かな子どもは?)
礼儀正しければ いい子ども?(反抗的でツッパッてる子どもは?)
目上の人を敬うなら いい子ども?(敬語が使えない子どもは?)
道端でごみを拾えば いい子ども?(ごみを見て見ぬふりする子どもは?)


いや、もちろん、どの比較も
何となく後者より前者の方がいいような気がしますけど、

後者の子どもはダメ! なんていう風に思いますか?

それって、やっぱり社会の雰囲気を背負った
大人の勝手な鋳型に過ぎないのではないでしょうか?


え? じゃあ、躾は全否定しちゃうの?


いや、そうではないと思います。


そこに、単なる社会の雰囲気を背負った
つまらない大人の鋳型に当てはめる行為ではなくて、

親がその子どもの成長を本気で願った結果として

「こういう習慣は身に付けてもらいたい」と考えるのは、
道徳教育の鋳型とはちょっと違うかなって思います。


道徳教育と躾の間の違いは、私なりに感じるのは、

(教えている人はそれほど思っていないけど、
 またはどうして正しいのかが理解できていないけど)
社会的にどうやら正しいことだと言われていることを、
義務的に子どもに押し付けようとするのが道徳教育で、

教えようとしている人が、真に相手を思って
身に付けてほしいと願うのが躾。


だから思うんですよね、
街中や電車の中など公衆の場で子どもが騒いだときに、
自分が恥ずかしいというキモチで子どもを叱るのは、

アレ、やっぱり本当の躾ではないんじゃないのかな?

って。


本書にも書いてあるんですけど、

自分なりの道徳とはつまり、
自分がどう生きるかという原則だ。(P151)


と。本当にそうですよね。



自分が恥ずかしいと感じる慌てふためきを、
子どものせいにして怒鳴りつけたりしてはいけないのでは?

怒鳴られた子どもは、親が怖くて黙るかもしれない。
でも、公衆の場で騒ぐのが恥ずかしくて黙るわけではない。

だから怒られなければ、またはその恐怖を忘れてしまえば
何度でも繰り返し繰り返し騒ぎますよね。


じゃあ、どうすれば子どもが騒がなくなるのか。


ヒントは、
公衆の場で騒ぐことは本当にダメなことなの?

という子どもの純粋な問いにどう答えるか
にあるような気がします。



皆さんは如何お考えでしょうか。



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6月29日
 vol.9  アイスブレイク入門/今村光章著
5月10日 
vol.8  それでも社長になりました!/日本経済新聞社編
4月11日 vol.7  働く人のためのキャリア・デザイン/金井壽宏
3月23日 vol.6  自分らしいキャリアのつくり方/高橋俊介
3月19日 vol.5  7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
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3月 6日 vol.3  35歳の教科書/藤原和博
3月 5日 vol.2  人を動かす/D・カーネギー
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