公務員目線で仕事や課外活動など様々な場面で“効く”本を、私が自分勝手な観点からご紹介する「公務員の教科書(旧:公務員に効くビジネス書)」シリーズ。
第16弾は、
ホリエモンこと堀江貴文(ほりえ・たかふみ)氏の『多動力』。
私自身あまり得意ではないし、公務員の相性もよくなさそうな“ホリエモン”の本作を手に取ったのは、多動力という概念が、
LIFE SHIFT とか
パラレルキャリア
の話と通じるものがあるから。
結論から言えば、これから人生の中で多様な“キャリア”を渡り歩く、というか、“変化し続けることができるという安定感”の中を生きていくためには、多動力はメッチャ重要だということが分かります。
多動力というのは、私の理解で噛み砕いて表現すれば、
自身が超マルチタスクでありつつ、
自らはアイデアの上流に陣取り、
他人が自分のアイデアで動く
ということ。
超マルチタスクというのも、別に仕事としての作業を多くこなすというよりは、たくさんの人と楽しいと思う限り会い、話し、そこから面白いアイデアが生まれ、結果として上流に陣取り、大きな影響力を持つということ。
そのために、必要のないもの、面白くないものを徹底して排除するということ。(このあたりの記述は、考え方というより、やはTIPS的な要素が強いので、読み飛ばしましたが)
私自身が公務員でありながらパラレルキャリアの実践者を標榜する上で、とても大切な考え方だなと感じたのは、「原液」を作れているかどうか、という問いかけです。
僕の1滴の原液がアメーバのように無限に広がるのだ。
(中略)
僕が実際に動かなくても、考えや主張は自動的に生産され続け、何人もの僕が動いているのと同じことになる。
(中略)
関わっているプロジェクトの数が少ない人は大体、カルピスの原液を作れていない。他の誰かの作った原液を薄める仕事しかしていないのだ。
(『多動力』(堀江貴文著)P111~114より引用)
著者自身が多くの作業をして、多くの価値を生み出しているのではなく、彼の考えたこと(アイデアや仕組み)を使って多くの人が価値を生み出し、結果として彼の考え方が社会に大きな影響力を持つことになっています。
もちろん、私のような普通の公務員がちょっとパラレルキャリアを実践したくらいで、社会に大きな影響を及ぼすことはできませんが、多くの人が共感して一緒に動きたくなるような考えを、自分が熱い気持ちを持って掲げることができれば、結果として、自分自身の行動量に依存することなく自分自身の考え方を拡げる(つまりは、目指すような社会を作る)ことにつながるのではないかなって感じています。
某人気忍者漫画の『影分身』という忍術みたい。
これを多動力と呼ぶかどうかは分かりませんが、個人のレベルでいえば、自分が小さくたくさん動くだけじゃなくて、自分がやりたい(やるべき)ことのために自分以外の誰かの手が常に動いている状態をどうやって作るかということであり、役所の組織レベルでいえば、直接役所が高いコストで実行するのではなく、様々な立場の人たちが自分たちで動いて全体最適に向かってくれるような制度や仕組みを作れるかどうこと。
この点については、仕事でもそうではない活動でも共通するところが多い気がします。
全体を1時間くらいで読める軽めの内容です。パラパラっと自分が真似できそうなところや、強く興味がひかれるところだけをつまみ食いしてもいいかも。
★★★公務員の教科書 バックナンバー★★★
番外 場づくりに使うこの2冊
vol.15 場づくりの教科書/長田英史
vol.14 魂の退社/稲垣えみ子
vol.13 稼ぐまちが地方を変える/木下斉著
vol.12 新しい道徳/北野武著
vol.11 読んだら忘れない読書術/樺沢紫苑著
vol.10 人事よ、ススメ!/中原淳編著
vol.9 アイスブレイク入門/今村光章著
vol.8 それでも社長になりました!/日本経済新聞社編
vol.7 働く人のためのキャリア・デザイン/金井壽宏
vol.6 自分らしいキャリアのつくり方/高橋俊介
vol.5 7つの習慣/スティーブン・R・コヴィー
vol.4 KP法 シンプルに伝える紙芝居プレゼンテーション/川嶋直
vol.3 35歳の教科書/藤原和博
vol.2 人を動かす/D・カーネギー
vol.1 京セラフィロソフィ/稲盛和夫