16 予告版 / cali≠gari | 安眠妨害水族館

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16 予告版/cali≠gari

 
1. カリ≠ガリのコマーシャル〝16〟
2. 狂う鐫る芥
3. 都市人
4. 燃えろよ燃えろ

 

 

アルバム「16」に先駆けて発表された、cali≠gariのEP。
 
先行シングルを"予告版"と銘打ってリリースするのは、彼らにとってはお約束。
導入SEの代わりにステッカー風のCMが挿入されるのも、変わらない安心感を与えてくれます。
本作は、メンバーの3人がそれぞれ1曲ずつ楽曲を持ち寄った形。
楽曲の傾向も分散されていて、予告版ではあるけれど、アルバムの仕上がりが更に未知なものになったのでは。
彼らのことだから、ブラフが紛れ込んでいたとしてもおかしくないですしね。
 
独自性の高いダークポップに仕上がっていたのは「狂う鐫る芥」。
シリアスにスタートしたと思いきや、明るいのか暗いのか、脳が混乱していく電波サウンドに突入していきます。
不協和音が心地良く、ポップなフレーズが気持ち悪く、これぞcali≠gari、これぞ桜井青。
デジタル色の強い今の彼らのサウンドで、奇形メルヘン音楽隊を再現するようなアプローチがたまりません。
解釈が広がった密室系というサブジャンル論に、これだという答えを突き付けた1曲と言えるでしょう。
 
「都市人」は、Ba.村井研次郎さんが作曲を担当。
これまた、ドリーミーな装飾は現在のcali≠gariなのですが、下地となっているのが80年代ビートロック。
当時量産されたようなベタなロックチューンを再解釈して、かえって新しいものにしてしまおうという試みになっていて、正統派の聴きやすさがありました。
 
Vo.石井秀仁さんがコンポーズした「燃えろよ燃えろ」は、キャッチーさを押し出しつつ、その裏にマニアックなテイストを潜ませたエレクトロナンバー。
スマートさの中に変態性を見出せる点で、狂気の中でポップスを繰り広げる「狂う鐫る芥」と対になっていた印象です。
いずれにしても、リードトラックとなり得るポテンシャルは十分で、これのどれを軸にするのかでも方向性は変わってきそうだな、と。
 
なお、流通される"良心盤"と、会場や通販での販売となる"狂信盤"の2種類でのリリース。
面白いのは"良心盤"で、リリース時点では未来の日付である2月10日の恵比寿LIQUID ROOM公演にて演奏された収録曲3曲のライブ版が、後ほどボーナストラックとしてダウンロードできる仕様となっています。
購入後にも将来的な楽しみが待っているCD。
企画力は衰え知らずで、「16」本編では何を仕掛けてくるのか、期待のハードルを上げてしまうのも仕方ないことなのですよ。

 

<過去のcali≠gariに関するレビュー>

A.B.C.(キャバレー盤)

そのまんま、KISS

だから京都は嫌いです

15

15 予告版

ブルーフィルム -Revival-

淫美まるでカードな

ある職業病への見解と、それに伴う不条理な事象とか

この雨に撃たれて

0

14

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13

汚れた夜

みんなの発狂

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12
2
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
ジュウイチジャナイ
続、冷たい雨
9-踏-編
「第2実験室」 改訂予告版

第6実験室

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君が咲く山
第5実験室