第6実験室/cali≠gari
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第6実験室
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1. 「第6実験室」入口
2. -187-
3. ギャラクシー
4. フラフラ スキップ
5. ドラマ「近代的コスメ唱歌」
6. 近代的コスメ唱歌
7. ア.イ.ノ.カ.ワ.キ
8. マス現象 ヴァリエーション1(有象無象編)
9. ひらきなおリズム
10. 3S/道はロード
11. 5!5!レッツゴースト!
12. コバルト
13. ママが僕を捨ててパパが僕をおかした日
14. ただいま。
15. 「第6実験室」出口
2001年にリリースされた、cali≠gariの実験室シリーズ6作目。
Vo.石井秀仁さんが加入してからは、初のフルアルバムとなりました。
良くも悪くも、cali≠gariの尖った部分がもっとも出ている作品ではないかと。
石井さんが作曲に参加するようになり、実質的なメインコンポーザーとして君臨。
それまでにGt.桜井青さんが得意としてきた電波系のナンバーや、フォークやジャズといった昭和レトロな楽曲の印象は弱まります。
ただでさえ、ボーカリスト交代による賛否両論が巻き起こる最中に、ここまでバンドの方向を変えてきたのだから、そりゃ置いてきぼりにされるファンがいたって不思議ではないわな。
そして、音楽性以上に尖っていたのが歌詞ですよね。
ファン批判、先輩バンド批判、業界批判に事務所批判・・・
とりまく環境のすべてに牙を剥く。
罵倒だけで構築された「-187-」や、3Sというユニットの著作権フリー楽曲「道はロード」など、アプローチは様々ですが、すべてを敵にしてしまいかねない切れたナイフ的な様相は、聴いているほうが"これ、大丈夫か?"とヒヤヒヤしてしまうくらいです。
リードトラックとなる「近代的コスメ唱歌」と、La' royque de zavyというバンドを生み出した、その前フリとなるドラマが特に象徴的。
V系シーンのお約束をメタ的な視点でコミカルに切り取る、その後のcali≠gariのイメージを決定づけました。
若気の至りも、こうも振り切ってしまえば気持ちが良いものだ。
ただし、「コバルト」からの青さんゾーンにおける神懸りっぷりは、純粋に痺れます。
青さん自らがボーカルをとる、cali≠gari流の渋谷系チューン「コバルト」から、一転して情緒たっぷりに淡くて鈍い痛みを抉る「ママが僕を捨ててパパが僕をおかした日」、そしてフォーキーな泣きのバラード「ただいま。」というラインナップ。
ここまでの周囲を小馬鹿にした反抗的な流れは一気に浄化され、終わりよければすべて良しと言わんばかりの名盤の風格がありました。
ちなみに、石井さんの楽曲が多いので、ピコピコ感が強まったのは事実なのだけれど、振り返って聴いてみると、現在の彼らにあるニューウェーブ要素はそこまで感じないのですよ。
急展開を見せたように演出していても、実は段階的に、戦略的にグラマラスなサウンドにシフトしていたのだな、と気付くことができる。
本作でしか味わうことができない独特な空気は、きっとこの過渡期的な雰囲気に起因するもの。
これぞまさに、"実験"の産物なのでしょう。
<過去のcali≠gariに関するレビュー>
憧憬、睡蓮と向日葵
12
2
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
ジュウイチジャナイ
続、冷たい雨
9-踏-編
「第2実験室」 改訂予告版
ブルーフィルム
君が咲く山
第5実験室