安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

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赤春の林檎/ダウト

 

1. 赤春の林檎

 

 

オドロ/ダウト

 

1. オドロ

 

 

ダウトによる、"化樂反応-BAKEGAKU REACTION-"シリーズの第一弾と第二弾。

 

様々なアーティストと音楽を通じて、化學反応を引き起こす企画シリーズ。

第一弾となる「赤春の林檎」は、サックス奏者のユッコ・ミラーさんとのコラボレーション。

"ヴィジュアル系×ジャズ"がテーマになっており、ポップでパンキッシュなメロディラインに、サックスの深みのある音色が彩りを添えます。

明るく、疾走感があるのだけれど、それがかえって切なさを誘う。

ジャズとの融合ということで、大人びたサウンドを想像していただけに、軽快なポップチューンが届けられた意外性も手伝って、なんとも涙腺を刺激するのですよ。

 

第二弾の「オドロ」は、"ヴィジュアル系×ボカルP"。

かいりきベアさんとの異色のコラボを実現しています。

実にボカロ曲らしい、早口でまくしたてる歌詞に、情報量の多いサウンド。

なのに、ダウトらしい和の雰囲気や哀愁も漂っていて、確かにこれは化學反応である。

ダークで不気味なイメージはあれど、キャッチーに仕立てるバランスが絶妙ですね。

 

先行してMVが公開されてから、後にダウンロードで販売を開始。

現在は、シリーズ第三弾として、アーバンギャルドとのコラボレーションが解禁され、話題を集めています。

いつの間にか、シーンを代表する存在になっていたダウトですが、常に新たな刺激を求める姿勢は変わらず。
企画モノと侮るなかれ。
彼らのポテンシャルを更に引き出した作品となりました。

 

<過去のダウトに関するレビュー>

曼陀羅A

心技体

歌舞伎デスコ
high collar
MUSIC NIPPON
CARNIVAL浮世
登竜門

 

15/cali≠gari

 

1. 一つのメルヘン

2. ハイ!

3. 嗚呼劇的

4. ケセ

5. 裂け目の眼

6. 腐った檸檬

7. ニンフォマニアック

8. 鐘鳴器

9. 100年の終わりかけ

10. この雨に撃たれて -死すれども冠を捨てず篇-

11. そして誰もいなくなった

12. 四畳半漂流記

13. 光と影 -His Master's Voice-

 

cali≠gariによるニュウアルバム。

当初は10曲入りの予定でしたが、13曲にボリュームアップしてのリリースとなりました。

 

初回盤には、「PV撮影直前様々な申請と認可の壁に阻まれすべて白紙となり怒りに燃える担当が広過ぎるスタジオを調達しここで何とかしてくれと云う為別段驚きもせず何とかするキャリアの貫禄の違いを見せつけるスタジオセッションDVD」が付属。

タイトルがすべてを語ってくれているので、経緯や内容については解説要らず。

「ケセ」、「嗚呼劇的」、「四畳半漂流記」の3曲が収録されています。

 

音楽性やコンセプトは流動的に変化するも、歌詞や曲のセンス、演奏クオリティなど、平均点以上で当たり前。

"キャリアの貫禄"も伊達ではない彼らですが、ともすれば、新たに突き抜けた1枚を作り出すのも難しい立ち位置でもあるのでしょう。

ところが、この作品については、過去の良作を聴いていたうえでも、突き抜けたなと。
先行リリースされたEP「15 予告版」が、文字通り予告として機能していて、Vo. 石井秀仁さんが加入した前後の作風に立ち返るスタンスに、現在の彼らのスキルを最大限にぶち込むアプローチが、アルバムサイズで炸裂。
一度、こういうcali≠gariのアルバムを聴いてみたかった、という理想通りの作品に仕上がっているのです。
 

トップバッターの「一つのメルヘン」は、Gt.桜井青さんと秀仁さんの共作。

タイトルから象徴的ではあるのですが、過去と未来を同時進行で展開される、従来からのcali≠gariらしさと新機軸に向かう実験性が同居したキラーチューン。

ニューウェイブ色を強めつつも、80年代歌謡曲~90年代ポップスの懐かしさを帯びたキャッチー性でまとめていて、Ba.村井研次郎さんによるベースプレイは、1曲目からブーストがかかりっぱなしです。

そこからは、「ハイ!」、「嗚呼劇的」、「ケセ」と秀仁さんの楽曲が続くのですが、作曲者の色がくっきりと分かれていた加入当初とは異なり、すっかり、誰が作ってもcali≠gariの音楽として響くようになりましたね。

 

圧巻だったのは、「100年の終わりかけ」からの終盤5曲。

お約束的に言えば、"アルバムの最後に入っている歌モノ"を、直接的なパターン被りに気を付けてバランスをとりながら、出し惜しみせずに送り込んでくるのです。

フォーキーなノスタルジック歌謡「100年の終わりかけ」、終盤の疾走感を強化してシングルヴァージョンよりも切なく心を駆り立てる「この雨に撃たれて -死すれども冠を捨てず篇-」、素朴なメロディがノスタルジーをくすぐる「そして誰もいなくなった」。

「四畳半漂流記」は、青さんお得意の歌謡パンクで、正真正銘のラスト、「光と影 -His Master's Voice-」は7分超の哀愁バラード。

いちいち心がぎゅっと摘ままれるようで、余韻に浸る間もなく名曲が押し寄せる贅沢さ。

何回でも聴いていたくなりますよ。

 

驚いたのは、「100年の終わりかけ」の作詞・作曲は、秀仁さんが担当していること。

クレジットを見るまで、青さんだと信じて疑わなかったな。

本作が素晴らしさは、ある種、この曲に集約されているのだけれど、原点回帰を試みることと、青さんに作曲のイニシアティブを戻すということをイコールにしなかった点。

中盤では研次郎さんの楽曲も採用されているし、作曲者のバランスは、むしろ平準化された印象。

その結果がこの滑らかなグラデーションなのであれば、個性が強いメンバーたちが、同じ方向を目指してアルバム制作を行ったことを意味しているし、cali≠gariが無敵になったということもあるわけです。

 

先行してアルバム曲を公開していたと思ったら、リリースとともに、サブスクリプションサービスでの配信も開始。

いつになく、多くのリスナーに聴かれることを前提としていますが、この内容であれば納得だという1枚。

 

<過去のcali≠gariに関するレビュー>

15 予告版

ブルーフィルム -Revival-

淫美まるでカードな

ある職業病への見解と、それに伴う不条理な事象とか

この雨に撃たれて

0

14

4

3

13

汚れた夜

みんなの発狂

憧憬、睡蓮と向日葵
12
2
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
ジュウイチジャナイ
続、冷たい雨
9-踏-編
「第2実験室」 改訂予告版

第6実験室

ブルーフィルム
君が咲く山
第5実験室

思春期 2ndプレス/いろは

 

1. 吐息

2. 待ち人

3. 蜻蛉花火

 

2001年にリリースされた、いろはのデモテープ。

 

初回盤が即時完売となったことから、1曲追加で発表された2ndプレス版。

ビニールにカセットテープが直で封入されており、ハードケースはなし。

歌詞は便せん風の紙に印刷されており、封筒とともに同梱されていました。

封筒は"ラブレターとしてご使用ください"との記載がありますが、既にハートのシールで封緘されてしまっているため、実際に使うのは難しかったと思われます。

 

内容としては、じめじめした雰囲気と、重低音を意識したサウンド。

登場時は、ムックのフォロワーバンド的な立ち位置であったこともあり、密室系を彷彿とさせる音楽性と言えるでしょうか。

「吐息」は、気色の悪い声色で"好き?嫌い?"を繰り返す冒頭のインパクトで勝負あり。

ウネウネしたギターも相まって、アンダーグラウンドな変態性を見せつけていました。

 

もう1曲、メインとなる「待ち人」は、重苦しい歌謡曲調のミディアムナンバー。

ムックの影響をストレートに感じさせますが、まだ昭和歌謡系、哀愁系といったサブジャンルが確立されていない中で、この黄金進行に辿り着いていたというのが面白いですね。

「蜻蛉花火」は2ndプレスでの追加曲。

歌詞は掲載されておらず、曲名だけが記載されています。

アコースティック調で、しんみりとした空気感のフォークチューン。

2ndプレスがリリースされた夏の終わりにぴったりな1曲だったかと。

 

唄人.真乃助さんの声色に、少し作った感があるというか、無理にそれっぽい歌い方に寄せようとしている印象。

癖が強いので、好き嫌いを分ける可能性はありそうです。

結果的に、本作の収録曲はCD化されないまま。

ザラザラとした音質で分離も良くないため、後期の自然体な歌唱法で、この辺りの楽曲を再録してほしかったな。

良くも悪くも、強烈なインパクトを残した作品でした。

 

<過去のいろはに関するレビュー>

浅き夢みじ酔ひもせず