安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

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Myosotis/Călătorie-カラトリア-

 

1. Myosotis

 

2ヵ月連続でのリリースとなった、 Călătorie-カラトリア-のデジタルシングル。

 

前作に続き、"花"の名前をテーマにした楽曲。

サウンドアプローチとしても、ピアノとストリングスのみで構築するスタイルを踏襲しており、連作的な意味合いもあるのでしょうか。

あえて比較するとしたら、「Althaea rosea」は未来について歌っていたのに対し、「Myosotis」の背景にあるのは、過去なのかなと。

伸びやかな高音が、痛々しいほどに翳りをもたらしていました。

 

アレンジ面では、ストリングスの存在感が増して、第二のメロディラインを奏でています。

サビの入りから徐々に重ねられ、間奏では、ソロパート的なフレーズも。

歌が入っている部分での音の重ね方など、もう少し工夫の余地はありそうですが、メランコリックで耽美主義的なニュアンスを助長。

世界観の深掘りに一役買っていましたね。

個人的には、このストリングスのパートも含めて、ピアノ1本で再現してみても面白かった気がするな。

 

何はともあれ、Călătorie-カラトリア-最大の武器は、のるさんの深みのある歌唱。

その点については、これ以上ない際立ちっぷりで、ピッチの安定感と、表現の奥行きは、改めて溜め息が漏れるほどのクオリティでした。

ラストシーンでは、盛り上がりも最高潮。

ドラマティックに感情の渦を増幅しきったところで、ビブラートをきかせたロングトーンでしっとりと終わる緩急のつけ方も絶妙です。

1コーラス目と、2コーラス目で、サビ終わりのフレーズが正反対の意味になってしまった切なさといったら。

配信でのリリースではあるけれど、じっくり歌詞にも目を通したくなる1曲。

 

<過去のCălătorie-カラトリア-に関するレビュー>

Althaea rosea

ラストスターサイン

Reminiscence of Rose

「琥珀の花 -alius fabula-」「[kˈəʊmə]」

「WALK」「WoRLD's eND」

「 AMNESIA ~鏡に映る偽りの愛の中で~ 」「 栃の葉ヱレジィ ~愛憎編~ 」

「Whitely」「桃色レイトショウ」

「Psycho Neuropathy」「the Bottom of Despair」

罪に咲く華~affection of cruelty~

琥珀の花

Kreis/V.A.

 

1. Days… / D≒SIRE

2. Review for fate / Blüe

3. Sky / Ize

98.

 

現在はKαinのヴォーカリストとして活動しているYUKIYAさんが1996年に設立したレーベル、Kreis。

本作は、創設期の所属バンドが1曲ずつ楽曲を提供した、オムニバスCDとなります。

 

スリーブケースの一部が切り取られており、ブックレットや裏ジャケと連動したデザインになっている特殊仕様。

ブックレットには、各バンド、アートワークと歌詞で見開き分のスペースが確保されています。

加えて、バイオグラフィーが記載された3バンドそれぞれのアナザージャケットも付属する等、実に豪華。

CDバブル時代だからこそ、と言えるのかもしれませんが、現物を手にする価値がある作品に仕上がっていました。

 

YUKIYAさんは当時、D≒SIREに所属。

本作が発表された1998年は、メンバーが固定できず、バンド形式での活動が難しかった時期。

この「Days…」が、久しぶりとなる新曲でした。

シリアスなビートロックで、必ずしもバラードというわけではないのですが、6分半を越える長尺。

しかし、歌詩を読んでみると、このぐらいのボリュームが必要だったというのも頷ける。

それだけ、沈黙していた期間に伝えたかったメッセージが多かったのだと納得せざるを得ないのですよ。

バランス感覚も絶妙で、ヴィジュアル系としての佇まいを崩さずに、聴きやすさと奥深さを両立。

サビだけを聴けば、ポップでキャッチーなのだけれど、一度本質に触れると、グッときてしまう1曲なのです。

 

Blüeは、「Review for fate」で参加。

解散時にリリースされたベスト盤に収録されるまで、他の作品には未収録だったので、本作の価値を高めることに寄与していました。

ストレートなビートロックをキーボードの音色でファンタジックに色付け。

正統派の疾走チューンとして、彼らの強みを存分に出したうえで大きなインパクトを放っています。

アウトロのノリに合わせて、呟くような英詞を重ねるアプローチは、L'Arc~en~Cielの「予感」のオマージュ的な意味合いもあるのかな。

彼らが白系サウンドにルーツを持っていることを示しているようで、余韻を残しつつ、アピールにも成功していたのでは。

 

Izeは、代表曲である「Sky」を収録。

ミニアルバム「Ark」の制作と並行していたこともあり、先行発表のような位置づけとなったのかな。

「Ark」収録版とはテイクが異なっており、聴き比べも面白いでしょう。

この段階で、"Kreis"の色というのは見えてきた感触で、白系的世界観と、ビートロックを融合したサウンドを、彼らも踏襲。

ただし、彼らの場合は、Vo.HIROKIさんのロックバンド然としたスタイルも相まって、他の2バンドとは異質な雰囲気に仕上がるから面白いですね。

強いて例えるなら、MUCCの逹瑯さんのような声質で、表現力にも長けていました。

 

発売年にちなんで、98トラック目に、シークレット扱いでレーベルソングである「MOMENT」を収録。

後にシングルとして発表されるものとは異なり、YUKIYAさん、ARIHITOさん、HIROKIさんでのKreis All Starsとなります。

2コーラス目が終わったところで、フェードアウト。

完全盤はシングルで、ということなのでしょうが、その頃にはレーベルメイトが増えていることもあって、これまた違った味わい。

このヴァージョンもフルで聴きたかったな。

 

まさに少数精鋭。

白系バンドを、所謂ソフトヴィジュアル系のフォーマットに落とし込んだ功績は大きく、その後のブームを牽引したと言っても過言ではないかと。

曲数の少なさ故に、レーベルオムニバスの文脈でも話題にされにくいのがもったいない。

インディーズシーンを含めたV系史を語るうえで、忘れてはいけない1枚です。

UNDER THE SKIN/STAY GOLD/LOST ASH

 

1. UNDER THE SKIN

2. STAY GOLD

3. piano solo Op.1 "prélude"

 

 

2015年に発表された、LOST ASHの両A面シングル。

 

ライブ会場限定盤と、一般流通に乗せた通常盤の2種類でのリリース。

収録曲に差異はありませんが、ライブ会場限定盤には"テイクアウトライブ"が付属する仕様で、ライブ映像をダウンロードすることができました。

もっとも、既にダウンロード期限は終了してしまっているため、今となってはジャケットの違いと捉えたほうがよいかもしれませんが。

ターミネーターをモチーフにしたメンバーのヴィジュアルが印象的ですね。

 

「UNDER THE SKIN」は、Dr.Dyeさんが作詞・作曲を担当したアッパーチューン。

ルーツとなった90年代ポップスをLOST ASHとして昇華しており、特にサビのインパクトは絶大です。

面白いのは、そこにプラスアルファとしてクラブミュージックとの融合を試みていること。

イントロから女声コーラスが挿入され、聴くたびに爽やかになったりケバケバしくなったり、表情を変えていくのですよ。

 

もう1曲の「STAY GOLD」は、それとの対比も意識してかバンドサウンドを強めて。

ただし、アッパーでキャッチーという方向性は揃えています。

ラストはDyeさんによるピアノソロ「piano solo Op.1 "prélude"」でしっとり締めるも、本作にて提示したかったメッセージは明確。

イチゼロ年代のソフトヴィジュアル系とも言える、ポップロックとV系の親和性を再び高めていこうとするアプローチは、案外ど真ん中に刺さる層も多いのでは。

どちらも、ラストアルバム「LOST ASH」に収録されているので、触れるのであればアルバムからが効率的でしょうか。

その意味ではファンアイテムになってしまった作品ですが、会場限定盤となるとなかなか手放す気になれない1枚。