NEOSPIRAL/KIRITO
1. テロメア
2. ANTI-MATTER
3. Discord
4. BUTTERFLY IN A PHANTOM
5. VICTIM
6. INTO THE MIRROR
7. MASTERMIND
8. 雫
9. Storyteller
10. RAID
11. NEOSPIRAL
12. I BLESS YOU
Angeloが無期限活動休止となってからは初となる、KIRITOさんによるソロアルバム。
2007年にリリースした2ndアルバム「Negative」から、実に15年ぶりとなる3rdアルバム。
といっても、「Negative」よりも、Angeloの「CIRCLE」からの流れのほうが重視されているのですよね。
「NEOSPIRAL」というタイトルは、「CIRCLE」を立体的に見てみたら、始点と終点が繋がっていない螺旋だった、という意味が含まれているとのこと。
終わったと思ったストーリーは、実はまだ続いていた。
その事実だけでドキドキさせられるアルバムと言えるでしょう。
第一印象としては、ここまで激しく、重いサウンドで攻めてくるとは、という驚きが先立ったのが本音。
表向きに守りに入るとは言わなくても、バンドからソロへ、という転換もあったのだし、新しいアプローチに挑戦したくなるのも人間というものじゃないですか。
実際、かつてのソロ活動ではそういう向きもあった中で、聞こえてきたのは、むしろAngeloよりもバシバシぶつかっているのではないか、というバンドサウンドのせめぎ合い。
「テロメア」からしばらくは、バンドでの表現にこだわってきたKIRITOさんの矜持とも言えるハードなナンバーが続いていくのですよ。
もちろん、それには決意表明であったり、単純にびっくりさせてやろうという魂胆であったりも含まれているのでしょうが、ストーリーの面でも意味があるのが彼の音楽。
何度も聴いているうちに、これには、何層にも連なる物語であったことに気付かされます。
細胞レベルで備わった、抗いようのない大きな流れに巻き込まれる様子を、ヘヴィなサウンドで表現していた前半戦に対し、今を生きる人間として前に進んでいく意志を表明するのが、光の見える楽曲を固めた感のある後半戦。
「雫」、「Storyteller」という歌モノ2曲から、メッセージ性を強めて大きく展開し、叙情的なサウンドが目立つように構成されていました。
無機質的な作風と思わせて、急に涙腺を刺激するエモーショナルさを出してくるのは反則でしょ、と。
「NEOSPIRAL」を差し込むことで勢いは衰えず、そのうえで圧倒的なドラマ性が生まれていたのでは。
最後の「I BLESS YOU」は、人間の意志ということを強調するために、あえて"GOD BLESS YOU"にはしなかったのだとか。
相変わらず、設定においても、サウンドにおいてもこだわりが強く、ほどよく難解。
読み解いてみようと何回でも、何十回でも聴いてしまうのですが、きっとお釈迦様の手のひらの上なのだろうな。
気が付いたら、すっかり癖になり、抜け出せなくなっていた1枚です。
<過去のKIRITO(キリト)に関するレビュー>