1. 入口
2. IF
3. 禁色
4. 悪夢
5. 人形の家
6. LOVE 4 U
7. 出口
cali≠gariによる"二十五周年記念贈呈盤"。
アルバム「14」に付属していた引換券と引き換えに、レコ発ツアーの各会場で配布されました。
これまで、過去の楽曲をリメイクしたミニアルバムを4枚発表してきた彼ら。
本作は、その番外編となるのでしょうか。
cali+gari表記だった初期の楽曲を現編成で作り変えるという、まさに周年企画ならではの取り組み。
デモテープ「洗脳」、および「第一実験室」に収録されていたレア曲だけでなく、未音源化の楽曲まで収録されていて、これが配布音源というから太っ腹ですよ。
スタートとなるのは、「洗脳」からのピックアップとなる「IF」。
切なく疾走するメロディアスチューンで、王道的なV系ナンバーが特徴的。
まさに古き良きの踏襲なのだけれど、cali≠gariの演奏であることを踏まえて聴けば、異色に映ってしまうから不思議です。
一方で、当時から変わらない"らしさ"も感じられるのだから面白いもので。
歌詞の過激さの裏に隠した深みであったり、哀愁のあるメロディであったり、この個性があったからこそ、その次のステップに進むことができたのだろうな、と。
「禁色」は、過去も何度か再録されている楽曲。
本作の趣旨からすると、「SODOM IN BLUE」という当時のタイトルでも良かったとも思いますが、初期からの楽曲なのですよね。
大幅にアレンジを上書きしており、お洒落なジャズテイストに仕上がっています。
譜割りにおける癖が強く、聴きにくさを孕んでいるのに、それでも格好良いと言わせてしまうパワーの強さ。
二丁目のギラギラした雰囲気が薄れてしまった感はないわけでもないのですが、再録すべくして再録されたな、と納得してしまいます。
アルバムの中間点に挿入されているのが、「悪夢」。
本来は「狂イ月夜」を収録予定だったのだが、歌詞ノートが見つからず断念とのことで、こちらを採用。
歌詞なども含めると、これがもっとも正統派なV系ナンバーなのでは。
90年代のモチーフがあらゆる場所に隠れており、ベタとしてもメタとしても楽しめる1曲でした。
「人形の家」は、「再教育」シリーズにて再録した経験がある楽曲ですが、この機会にも改めて。
当時のボーカリストに合わせていることもあって、石井さんとしては少しキーが高いのですかね。
普段は余裕を持って歌うタイプの石井さんが、出るか出ないかギリギリのラインにチャレンジしているのが興味深いというか。
不気味な静けさを持つ楽曲だけに、強めの表現がアクセントとなっていて、結果的にはバランスがとられたのかもしれません。
ラストは「LOVE 4 U」。
「IF」同様に、典型的なV系チューンに寄せた楽曲です。
クロージングについては、本編はフェードアウトさせ、コーラス枠だけそのまま残すという手法が効いている。
タイトルが頭にこびりついて、忘れたくても忘れられないのですよ。
なお、実験室シリーズの頃には定番だった「入口」と「出口」のSEが入っているのも嬉しい仕掛け。
どちらも、何か重要な音がパッケージされているというわけではないのだけれど、当時を意識していることを端的に示す良いアイディアです。
楽曲たちは25年前のものだが、並べて聴いてもそこまで違和感はなし。
ようやくcali≠gariに時代が追い付いてきた、ということなのかもしれません。
ちなみに、ジャケットはランダムで3種類。
それぞれメンバーのピンショットとなっています。
このクオリティで制作するのだったら、売り物にしても良かったのでは、と思ってしまうほどの1枚。
<過去のcali≠gariに関するレビュー>
憧憬、睡蓮と向日葵
12
2
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
ジュウイチジャナイ
続、冷たい雨
9-踏-編
「第2実験室」 改訂予告版