weekly 絶倫マンション / まみれた | 安眠妨害水族館

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weekly 絶倫マンション/まみれた

 

1. 月曜日:朝勃ちの朝にー。

2. 火曜日:ハミガキ

3. 水曜日:Gepp

4. 木曜日:もしもし

5. 金曜日:足裏の天使

6. 土曜日:桜フェラペチーノ

7. 日曜日:ため息の夜にー。

 

2020年1月にZepp Divercity Tokyo公演が決定しているまみれた。

本作は、彼らにとっては初となるミニアルバムです。

 

Dr.未来さんが、一身上の都合により活動休止に。

勢いに乗っているところでのアクシデントではありますが、結果論とは言え、そのようなタイミングでリリースされたのが「weekly 絶倫マンション」という下世話なタイトル。

変わらない姿勢を貫く、彼ららしい作品になったのではないかと。

 

1週間というコンセプトで制作された本作は、歌詞においても、サウンドにおいても、実に変態的。

人間の嘘や欲や本性を、汚い言葉に乗せて表現するという、美麗な言葉に置き換えるヴィジュアル系の美学とは真逆を行くアプローチで、カウンターカルチャーとしてゼロ年代に流行った"コテオサ系バンドの現在進行形"としての立ち位置を明確にしてきました。

 

寸劇と、それをサンプリングしたSEで構成される「朝勃ちの朝にー。」を導入として、彼らとしては王道となる「ハミガキ」で軌道に乗せる。

ラウドなサウンドと、破天荒なボーカルスタイル。

攻撃的なデスヴォイスも、ミドルテンポになってのメロディアスなサビも器用にこなしつつ、無茶苦茶しているなという印象をしっかり与えるキラーチューンに、序盤から飛ばしてくるなと期待を高めていきます。

 

しかし、本番はここから。

人によっては拒否反応が出るであろうアクの強さで、大衆性なんて狙っていないとでも言いたげ。

注意を引いておいてゲップをかますという最低な行為によりインパクトが絶大になった「Gepp」、"電話にでんわ"というナンセンスなフレーズを掛け合いに使ってしまう「もしもし」、カオティックな楽曲構成に痺れる「足裏の天使」と、個の強さで勝負していました。

「桜フェラペチーノ」についても、彼らにしては切ないロックと言えるのですが、案外ハマっているラップパートと、そこで織り込まれる下世話さにより、ぐちゃぐちゃに掻きまわされているところが面白いですね。

 

1曲目のSEと対になるイメージのタイトルである「ため息の夜にー。」をラストに持ってきて、コンセプト作品にまとめきった顔をしている強引さも良し。

率直に言って、アルバムとしての流れなんてあるようでないのだけれど、"曜日"の区切りと"マンション"という設定を持ってきたことによって、多種多様な人が、それぞれの汚さを持っていることを表現しているようにも思えてくるからズルいってものです。

 

メロディアスになった際のパターン化など、発表した曲数が増えてきたことによる課題も見えてきた感はありますが、まだまだ飽きずに聴くことができる範疇。

むしろ、ここまでやってしまうのか、という表現のエスカレーションは止まるところを知らない状況下であり、見たくないものをついつい見てしまう人間心理を上手く突いてくるバンドに成長したことを評価すべきでしょう。

貫き通せば、汚さも美学になると証明してくれそうな1枚。

 

<過去のまみれたに関するレビュー>

くしゃみ

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