逝/まみれた
逝
3,240円
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1. お邪魔します
2. だるまさん
3. 死因:被害妄想
4. 死因:暮らし
5. 教えて
6. 食べたい
7. 死因:無視
8. 下半身中毒者
9. 有効期限-今日-
10. 死因:わからん
11. 僕が溶けてく帰り路
12. 死魔流し
13. 床舐めの天才
14. 終日終わり
まみれたが送る、発情快楽テキ完売音源集「逝」。
ソールドアウトしたシングルや、配布音源を網羅したうえ、音源未収録の2曲を追加したフルアルバムです。
彼らが注目を集めるきっかけとなった「お邪魔します」にしても、その後にリリースされたシングル3部作にしても、現在入手困難。
当然ながら、その前に発表していた「食べたい」も完売済みとなっており、まともに手に入る音源がない状況になっていたまみれたですが、買い逃していたファンにとって朗報となったのが、このアルバムのリリースでしょう。
実質的なベストアルバムと言っても、まだ活動を開始して1年程度。
音楽性としてはそこまで分散されておらず、オリジナルとして十分に機能する内容になっているのではないかと。
むしろ、アルバム制作を意識したハズシ等によるバランスの考慮が排除されている分、濃密に仕上がったとも言えるのでは。
下衆だったり、卑猥だったり、歌詞については実に変態チックなのだけれど、案外、普通に見える人も頭の中はこんなだったりするのかも。
そんな日常に潜む狂気を、演奏や歌唱でのギミックを上手く絡ませながら表現しており、ひとつひとつのアイディアを濃く煮詰めたからこそ、インパクトも大きいのです。
特に印象が強いのは、やはり「お邪魔します」のノック音。
キメのリズムにサンプリング音を用いてしまうという発想は、シーンを飛び越えるほどの衝撃でした。
それ以外でも、「死因:無視」でのセリフに演奏が呼応している部分や、「終日終わり」のイントロ時点で本当に終わってしまったのでは、と思わせる手法など、歌詞だけでなく、サウンドでも変態性を高める工夫を張り巡らせているのですよね。
また、そんなギミックの強さに埋もれてしまいがちではあるのだけれど、サビでキャッチーになるという現代シーンのセオリーを無視しているのも彼らの大きな特徴。
通常、1曲を聴き終わったときにもっとも耳に残るはずのサビのメロディが、何度か聴いてもあまり定着しないのです。
もちろん、センスがないからということではなく、おそらくは意図的に。
火力の強いフック的な部分をサビ以外に持ってくる天邪鬼な自意識と、がっつり濃厚なのに胃もたれさせず、飽きさせずを両立させるための戦略性。
誰もやっていないことを、という尖り方が、結果として中毒性を高めているのだから面白いものです。
商法的な賛否両論があるのは仕方ないが、そもそも音源をソールドアウトさせるほどの人気があってこその完売集。
ニーズのほうが勝っていたのは事実だし、同時にデジタルリリースもされているので、未発表曲だけを購入することも可能。
救済策としては良心的で、キャパ上げするにあたり必要な一手であったのは間違いありません。
エグみを隠さず旨味に昇華させた、まみれたの入門書となる1枚。
<過去のまみれたに関するレビュー>