CALL US / ナナ | 安眠妨害水族館

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CALL US/ナナ

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1. CALL US

2. ロックスターに憧れて

3. ダルメシアン

4. ホステスのピストル

5. 眼鏡フェチ1984年

6. SPEED

7. 夢と・・・・

8. 想

9. 恋愛花

10. 青より深く

11. 空×FREE

12. 美しいこの世界で

13. HANATABA

14. 少年

15. 『輪』

16. HONEY

17. DEAR

 

山沖 怜、SARSHI、Chiyu、AKI、藤原章人という布陣で再始動を果たしたナナ。

本作は、反撃の狼煙をあげる1stフルアルバムです。

 

SARSHIさんはHERO、ChiyuさんはSuG、AKIさんはSadieと、活動停止中に在籍したバンドで結果を出した彼ら。

当時とは比べ物にならないくらいの経験や実績をナナに還元したらどうなるか。

お洒落系全盛期の時代の楽曲をスタイリッシュに再構築するという、ある種の実験要素もあるのだけれど、その本気度は高く、当時のファンならずとも聴きごたえのある1枚に仕上がっています。

 

収録曲は、活動停止前に発表されたナンバーを中心に。

再始動のメンバーが、第一期、第二期の混合チームということもあり、どちらの楽曲も万篇なく選曲された印象ですね。

その結果、疾走感のある王道ロックもあれば、時代を反映したお洒落ポップも、デジタルに振り切ったサイバーチューンもあって、バラエティ性には富んでいるのかと。

 

中でも際立つのが、表題曲の「CALL US」。

本作の制作をするにあたっての書き下ろしとのことで、良い意味で時代感が抜けたといったところかな。

Chiyuさん、AKIさんという二人のベーシストの役割分担については、コーラスだったり、ピアノだったりと、流動的にやりたい放題やっているイメージです。

パート表記がないのは、そんなものにこだわらない、自由な表現方法でバンドを維持していくことを選んだからなのでしょう。

重ねる音が多くなったことにより、実に現代的な情報量の多いロックが出来上がりました。

どのバンドに近い、というわけではないのだけれど、活動停止中の経験が血となり、肉となっているのがわかりますよ。

 

既存曲にも触れると、オリジナルにお洒落系的要素が強ければ強いほど面白いな。

「ロックスターに憧れて」、「ホステスのピストル」、「眼鏡フェチ1984年」…

ビブラートを強引にかけるようで、どうもアクが強かった怜さんの歌声も、2018年にリテイクされて、随分と自然になった。

没個性ではなく、個性を残したうえで楽曲に馴染むように。

一部の歌詞には時代を感じるも、曲としては現代的に蘇った感覚です。

 

まずは、当時と現在を繋ぐリンク集的なアルバムをリリース。

17曲というボリュームに、得だと感じるか、もっとまとめてほしいととるかで評価は分かれそうですが、とにかく今ナナを聴くならこれを聴け、という作品であるのは間違いないわけで。

復活の衝撃と、アルバムを手に取ったときの喜びと、収録された楽曲を耳にしたときの懐かしさと、アレンジへの新鮮な驚きと。

次に訪れる感情は、いったいどんなものだろう。

もう少し聴き込みながら、これに続く展開を待っていようと思います。

 

<過去のナナ(Nana)に関するレビュー>

ホステスのピストル☆