4/cali≠gari
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4 [良心盤] ※正確表記は「4」反転表記
2,142円
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1. 誘蛾燈
2. さよなら、スターダスト
3. 君が咲く山
4. 月光ドライブ
5. わずらい
cali≠gariのセルフカヴァーミニアルバムの第四弾。
同時発売の「3」よりも1曲少ない、全5曲を収録しています。
テーマはジャズ。
それも、V系ナイズされたお洒落系ジャズではなく、その道のスペシャリストがアレンジを手掛けた本格派ジャズに挑戦しているのです。
ピアノ、バイオリン、アコーディオン、バリトンサックスにビブラフォン…
それらが即興風にせめぎ合う、繊細かつ大胆なサウンドは、轟音ロックに慣れ切った耳には新鮮に響きますね。
完成形が一番イメージできたはずの「誘蛾燈」すら、ここまでダイナミックに姿を変えてくるとは。
ゲストミュージシャンによるアドリブ風のフレーズも多く、攻め気の演奏は、本作の方向性を決定づけます。
おいおい、想像以上のものが待っているぞ、と。
お洒落なスウィングが、サックスの音と心地良く絡み合うのは、「さよなら、スターダスト」。
ジャジーなアレンジになると、コーラスワークすら大人びて聴こえるから不思議です。
あっけらかんとしたマーチであったはずの「君が咲く山」は、こうも軽快なカントリー調サウンドに進化を遂げたのか、と驚かされる。
猟奇性のある歌詞とのギャップ、という意味では、オリジナルにも負けていないインパクトを放っていました。
「月光ドライブ」は、まるで星の降る夜空が見えるよう。
ジャンルレスなジャンルであるV系にあっても、こんな空想的な楽曲は聴いたことがないというレベルのロマンティシズムですよ。
Vo.石井秀仁さんの魅力を引き出すのは、案外、こういう夢見がちなナンバーだったりして。
最後は、正統派のジャズに戻ってきて演奏される「わずらい」。
カッチリ決まっているかに見えて、徐々に崩壊に向かっていくような演出が、cali≠gariらしくて格好良いですな。
音楽性としては、比較的初期からジャズを取り入れていた彼ら。
それこそ、シーン内でシャッフルリズムが大流行した、ゼロ年代のお洒落系ブームよりも前からチャレンジを繰り返していたのですが、それでも、まさかここまで本格的なジャズに仕上がっているなんて。
それっぽい曲をまとめてリテイクしただけでしょ、と軽い気持ちで聴いてしまうと、その技術レベルの高さに溜め息が漏れるでしょう。
オリジナルと聴き比べて楽しむ、を通り越して、既にもうひとつのオリジナルと呼べるクオリティです。
<過去のcali≠gariに関するレビュー>
憧憬、睡蓮と向日葵
12
2
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
ジュウイチジャナイ
続、冷たい雨
9-踏-編
「第2実験室」 改訂予告版