14/cali≠gari
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14 狂信盤
5,832円
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1. カメラ オブスキュラ
2. マシンガンララバイ
3. 天国で待ってる
4. 拝啓=BGM
5. 飛燕騒曲
6. 動くな!死ね!甦れ!
7. 月白
8. 火葬遊戯
9. いつか花は咲くだろう
10. 死は眠りを散歩する
cali≠gari、1年7ヶ月ぶりのフルアルバム。
狂信盤、良心盤、グラフ盤の3形態でのリリースとなりました。
狂信盤は、寺田克也さんによる書き下ろしの豪華イラストがジャケットに。
良心盤の、Vo.石井秀仁のプールショットもインパクトがあり、どちらを手に取るか迷ってしまいます。
本作では、「マシンガンララバイ」、「天国で待ってる」、「動くな!死ね!甦れ!」の3曲で上領亘さんがゲストドラマーとして参加しており、コアなリスナーであれば、そちらも聴き逃せないところでしょう。
前作「13」では、過去の作品へのオマージュ要素を含んでいた部分もあるのだけれど、この「14」は、その流れを汲んだうえで、cali≠gariとして自然体になったイメージ。
ここ最近はコンセプトをカッチリ決めて作り込む作品が続いていただけに、こういうのを待っていた、というファンも多かったのでは。
もう、1曲目となった「カメラ オブスキュラ」から、"奇形メルヘン音楽隊"時代の楽曲を彷彿とさせるメロディラインがたまらないのですよ。
セルフカヴァー作に取り組んだことでの原点回帰か、ヘクトウでの活動との住み分けか、Gt.桜井青さんの楽曲に、ポップさと気持ち悪さが同居するアングラテイストが帰ってきた。
相乗効果的に、石井さんが作曲を担当した「天国で待ってる」などにも、その頃のcali≠gari的な感覚が乗り移っているようで、1曲1曲、バラエティに富んでいるのだけれど、どこを切り取っても"らしさ"に帰結するのが本作の特徴と言えるのかもしれません
もっともそれは、懐古主義的な観点から良いというだけではなく、どこにもない、誰もやっていない、という意味でのcali≠gariらしさ。
攻撃的なショートチューン「飛燕騒曲」、フォーキーなメロディとハードロック的なサウンドを組み合わせたミスマッチが面白い「動くな!死ね!甦れ!」、ひたすら透明感に振り切った「月白」と、流行に飛びつくのではなく、"どこからそれを持ってきたの?"といったアプローチが随所に見られ、新しいものも貪欲に取り込んでいる。
やりたいことをやった結果、現時点での最先端として、流行の正反対にある音数を増やさず、薄めのサウンドに到達しているというのが、興味深いですね。
お約束通り、ラスト3曲は青さんゾーン。
カオティックに暴れまわる「火葬遊戯」、歌謡メロディが胸を打つ「いつか花は咲くだろう」ときて、ラストの「死は眠りを散歩する」で締めくくるのですが、こんなダウナーな終わり方というのは新鮮だったな。
終盤での破滅に向かっていくような演奏は、淡々と歌い上げるボーカルとの対比も手伝って、とてもショッキング。
ぼんやりと漂わせていた"死"というワードを明確に使った、耽美的なナンバーでした。
聴きにくさはあまりないのだけれど、聴けば聴くほど、そのディープさに驚かされる。
噛めば噛むほど味わいが増す作品を"スルメ系"と言うのも定着した感がありますが、この「14」は、噛めば噛むほど味が変わっていく新食材を発見したぞ、といったところ。
1年後、3年後、10年後と、長く楽しみが続きそうなアルバムです。
<過去のcali≠gariに関するレビュー>
憧憬、睡蓮と向日葵
12
2
1
春の日
さよなら、スターダスト
11
ジュウイチジャナイ
続、冷たい雨
9-踏-編
「第2実験室」 改訂予告版