ある職業病への見解と、それに伴う不条理な事象とか / cali≠gari
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“ある職業病への見解と、それに伴う不条理な事象とか”(頚椎盤)
2,970円
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1. ヘルニアI
2. 晴天仕掛けのルサンチマン
3. ヘルニアII
4. ヘルニアIII
5. 夢遊病
6. ヘルニアIV
"あまりメジャー向きではない陰湿さ"をコンセプトにしたcali≠gariのミニアルバム。
ライブ会場限定盤となる"椎間盤"と、流通盤となる"頚椎盤"の2種類でのリリースとなりました。
ビクターに復帰してメジャーから「この雨に撃たれて」を発表したのも記憶に新しい彼らですが、早々とメジャー感を無視した作品をインディーズから出してしまうあたり、cali≠gariらしいですよね。
しかも、"あまりメジャー向きではない陰湿さ"としたうえで、メインに据えているのがヘルニアというナンセンスさ。
アートワークも、とてもメジャーからは出せそうもないデザイン。
帯には、<痛曲>との記載もあり、デザインから何から、こだわりがとんでもないな、と。
「ヘルニアI」として収録されているのは、"復活十周年記念応援ソング"として先行的に発表されていた楽曲。
先行リリース時は「ヘルニア」のみの表記でしたが、なんと、その先に3曲もの「ヘルニア」が待っていたとは。
これがリードトラック扱いになるのかと思われますが、加えて、メンバー3人がそれぞれ作詞作曲した「ヘルニア」を1曲ずつ収録したといったところで、各々の解釈の違い、音楽性の違いが比較できるので面白いのでは。
曲目がアナウンスされた段階では、同じ曲の別バージョンが4種類入っているのかと懸念していましたが、すべて異なるナンバーでしたので、同じ不安を持っていた方は、ご安心ください。
「ヘルニアI」は奇形メルヘン音楽隊時代を彷彿とさせる、ナンセンスなショートチューン。
激しくもコミカルで、ポップなのかマニアックなのか、脳が混乱していくお得意のナンバーです。
大人びたロックサウンドに乗せられるのは「ヘルニアII」。
「ヘルニアIII」はダウナーに気怠く展開されて、デジタルサウンド満載で切れ味鋭く終える「ヘルニアIV」で締めくくり。
誰がどれを作曲したか、言わずともわかる個性の強さ。
久しぶりに、ここまで濃いcali≠gariを体験しましたよ。
ちなみに、「ヘルニア」シリーズ以外に収録された「晴天仕掛けのルサンチマン」と「夢遊病」も、粒揃い。
倒錯的な世界観を危ういフレーズで表現する「晴天仕掛けのルサンチマン」は、ヴィジュアル系がヴィジュアル系と呼ばれる前の古き良きをリアリティたっぷりに再現しつつ、cali≠gariのフィールドに昇華したと言える佳曲。
「夢遊病」についても、民族音楽的なドラムが癖になるダウナーチューン。
サビまで来れば石井節なのですが、それまでの展開は、むしろ青さんが究極にディープなところを掘り下げていくときに使いそうなマニアック性があり、意外性が武器になった1曲ではないかと。
スマホで聴くのに適したマスタリングを施したCD-ROMとの二枚組。
更に、本作のリリースに併せて行われているツアーのライブテイクを後日ダウンロードするためのM-CARDが付属するなど、リアルタイム性が強く意識されているのも、随分と面白いことをやっているなと感心するポイント。
タイトル等でのインパクトに比べてマニアック度合いが高いため、万人受けする作品ではありませんが、コアなファンであれば、ドキドキが止まらない作品となったことでしょう。
少し値は張りますが、"椎間盤"も聴いてみたいものです。
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「臓器のノゾキ穴。」/黒百合と影
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「臓器のノゾキ穴。」
2,367円
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詳細なレビューは<こちら>
あまり関連性を感じたことはなかったのだけれど、本作が持っているダウナー性と、ある種の狂気性。
この辺りのアングラ路線のバンドのリスナーが聴いたとしても、しっくりくるのではないかなと。
特に事務所離脱後の黒百合と影は、ダークでマニアックな雰囲気の中に崩しや遊びを入れるのが上手かったので、意外や意外、並べて聴いてみても案外馴染む。
もっとも、ヴォーカリストの個性は、お互い別のベクトルで強烈なのですけれど。
<過去のcali≠gariに関するレビュー>
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9-踏-編
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