舌癌は癌全体のわずか3%。
父の闘病中に、何度も何度も「舌癌」というワードで舌癌患者ご本人やそのご家族の方の手記やブログを検索しましたがほとんど出て来ませんでした。
当時はたとえネガティヴな内容だったとしても、なんでもいいから情報が欲しかったのです。
少しでも「誰かの世界を参考に出来ると有難い」と思う方がいるなら書くべきだと思いました。
とはいえ病気の話はどうしても暗い話になります。
興味のない方や、癌の話で辛い気持ちになってしまう方はご覧にならないでください。
よろしくお願い致します。
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2011.11.8
交代で父の病室に泊まることにしたので、この日はわたしの番。
前日に泊まった兄と祖母は不安そうな顔で帰って行きました。
ベッド代わりのソファを父のベッドにくっつけ、眠る父に寄り添うように横になりました。
もう栄養は点滴されず、痛み止めの点滴だけがされていました。
その痛み止めで眠っている父に、なにを話しかけても反応はありませんでした。
顔ももうわたしの知っている父の顔ではありません。
どこかの知らない御老人が老衰で亡くなるかのように見えました。
たまに反応があるのは、痰が詰まってむせて苦しむ時だけ。
すぐに看護師さんが来て吸引してくれるんだけれど、その吸引の最中ももがき苦しんでいるような動きをしていて見ているのが辛かった。
2011.11.12
同じような状態が4日続き、この日泊まっていた兄と交代するために病院へ行きました。
持って来た着替えやタオルと汚れ物を入れ替えて兄に渡そうとすると、父の目が開いていました。
兄と一緒に「父さん!」と声を掛け顔を覗き込むと、父の眼球がグルンと回り白目になりました。
ホラー映画に出てくるゾンビかなにかのような目。
兄はこの状態を一度見たことがあったらしく、すぐにナースコールを押しました。
父は陸にあげられた魚のように全身を弾ませて震えていました。
看護師さんがすぐに喉のカニューレの蓋を開け、そこから酸素を入れました。
5分ほど経つと、またスースーと寝息を立てて眠る父。
落ち着いたのを見て、兄が帰ろうとしたところを引き止めました。
「もう今夜で終わると思うから、一緒に見送りたい。」
兄は「眠いし無理」と言いましたが、泣いているわたしを置いて帰ることはせずにいてくれました。
続きます。