舌癌は癌全体のわずか3%。
父の闘病中に、何度も何度も「舌癌」というワードで舌癌患者ご本人やそのご家族の方の手記やブログを検索しましたがほとんど出て来ませんでした。
当時はたとえネガティヴな内容だったとしても、なんでもいいから情報が欲しかったのです。

少しでも「誰かの世界を参考に出来ると有難い」と思う方がいるなら書くべきだと思いました。

とはいえ病気の話はどうしても暗い話になります。
興味のない方や、癌の話で辛い気持ちになってしまう方はご覧にならないでください。

よろしくお願い致します。



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父は舌癌でした を最初からお読みになりたい方はこちらからどうぞ。

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2011.4.29
GW中、放射線技師の方々が休暇を取るので治療なし。

一泊だけ外泊の許可が下りたのでお迎えに。

けれど、水もしみるくらいの口内炎…というかもう口内全体がただれているままなので、飲む事も食べることも出来ず。

苦しそうな父をただ見ているだけで、なにもしてあげられなかった。
話しかけても鬱陶しがられてしまい、正直どうしたらいいかわからなかった。 

ただ、犬がそれはそれは嬉しそうだったので、興奮してはしゃぐ犬を見ながら微笑む父を見られたのは良かった。

父が寝室に一人で寝るのは不安だったので、リビングのソファベッドで寝てもらった。 
父のいびきを聞くのも久しぶりで涙がでた。 

夜中に3回も痛みで起きて薬を飲んでいた。
 
病院では痛み止めを点滴で入れて貰えば良いけれど、家では口から飲むしかない。
30分ほどの時間をかけ、薬を溶かした水を少しずつやっとの思いで飲み込み横になる。

1時間後にイビキが聞こえて来たと思ったら1時間足らずでまた起きて、キッチンで薬を溶かしながら溜息を吐く。

結局わたしは一睡も出来なかったけれど、話しかけるとイライラさせてしまうので寝たフリをしながら見守った。

翌日の夕方に病院へ戻った。
同室の3人は連休明けまで帰宅しているので、不気味なくらいシーンとしていた。

パジャマに着替えてベッドに座り、「疲れた。」と言われた。 
なにも言えなかった。 





2011.5.5
連休中、病院の1階ロビーは薄暗くて静かだった。
しかしこの日はこどもの日だからか、病院のロビーで面会する子供が多く見られ賑やかだった。

ここはがんセンターなので、入院している患者さんはみんな癌。
ステージは違えど、みんな癌患者。

まだ子供が小さいのに、、と胸が苦しくなる。

この時、わたしは30歳。
まだ30歳なのに父までいなくなるのか…

でも30歳まで生きてくれたんだから、この子達と比べたらまだ恵まれているのか…

そんな風に考えてしまう。
比べる事じゃないんだけれど。






2011.5.9
今日から抗がん剤の3クール目が始まる。 

GW中に休まれていた放射線も再開。 
今まで以上の副作用を覚悟してくださいと医者に言われた。 

今だってこんなに辛いのに、まだ…?

「もう白血球の数もかなり減って、免疫力がなくなっているので誤嚥してしまったら命取り。これからも食事は鼻から、水分は点滴でとりましょう」と。 

「こんなに辛い思いをしても治るわけじゃないのにね、俺はなにをやっているんだろう。」 
と、父がポツリ。

わたしは涙を堪え、 医者は苦笑いしていた。 





続きます。