猛スピードで流れゆく街で
電車が3分おきに来ても、常にホームいっぱいの列ができるのは何故なんだろうか。千葉から東京へ向かう電車は、今日もいっぱいである。私はいつもの音楽を聴きながら、持参した本を開いて自分の世界に潜り込む。今日はどんな発見があるのだろうか――そう思いながら、未だ慣れない東京のど真ん中あたりを歩く。彷徨う。漂う。*向いの人とぶつかりそうになるくらい、人の流れがめちゃくちゃで空が塞がって見えるくらいビルがどれも高くって目が開けないくらいのネオンがギラギラしていて雑踏でぼんやり立ち止まることも出来なくて多分大学時代の自分だったらまいにち同じような、気が狂いそうな混沌に身を浸しているだけで疲れを感じていたかもしれない。一体私はどうやって、いつ変化したのだろう。いつしかこの巨大な街の一部となって猛烈なスピードで回るサイクルに身を任せるのも悪くないなと思い始めている。*「何でもあって、何もない街だと」誰かが言う。「時間に追われてばかりの日々が嫌だ」と聞こえてくる。でもこの道を歩いている一人一人に何もないわけがないことが、最近よくわかる。でも時間が飛ぶように過ぎてゆくのは東京だけじゃないということを、なんとなく知っている。東京は大きくて、うねっていて、輝きながら泣いているような。だから、自分がここに居ることが常にあいまいで、静かで、孤独でなんだか水の中を漂っているようなそんな気がしてちょっと心地がよい。でもずっと漂っているわけにもいかないので、来年はまたどこか、違うところを見てみたいと思う。想う。でも、やはり、カメルーンが恋しい。