一年前の総会・日本祭が終わった後に「ひとの顔」というエッセイを書いた。

ちょうど自分が、諸々の事情によるストレスから逃れるために独り暮らしを始めたところだった。

 

あの頃にやっと、人の話を聴き、そこから学び取れるようになり始めた。

あの頃にやっと、自分の周りにはなんと素晴らしい人たちが居るのか!ということを知った。

 

それまでは、自分のするべきことや目指しているものに固執しすぎて、全くまわりが見えていなかった。フランス語をやろうと奮起すればもうそれしか見えないし、あまりに高すぎる目標を仰いではただ一人もがく――つまりはものすごく不器用な人間なのである。

 

この一年半、嫌というほど色々なところに突っ込んでいっては頭をぶつけ、恥ずかしくて言えない失敗もして、悔しい思いもして、ひどい言葉も浴びせかけられたこともあった。でもそれと同じくらい、親切な同僚やお隣さんや警備員そしてJICAの方々に見守ってもらい、優しく応援してもらっているからこそ、今日私は帰国せずに此処に居る。

 

そういうことがあって、「自分を許す」ことをいつしか覚え、不器用なのにそれを認めない自分をなだめることに成功し、寛容になった。つまり、余裕ができたのである。

 

自分に訪れ続ける変化は、いつもこのカメルーンで起こるすべての出来事に起因している。その変化を真っ向から受け入れることができて、自分自身を磨き上げるために熟考する習慣がついた――それはきっと自分のために割くことが出来る時間が、日本にいたころよりも多いからなのだろう。本当に有難いことだと思う。

 

 

先日、カメルーンに来てから二度目の日本祭が開催された。

5カ月近く前に日本祭の日程が定められ、何度となく大使館と打ち合わせの会議をした。

 

去年はソーラン節を踊っただけで特に運営には関わっていなかったのだが、今年は沖縄曲を披露するバンドメンバーのリーダーを務めることになり、去年の倍以上に増えた催し物すべてに出演することになった。

 



アニメソングのバンドや沖縄バンドはともかく、ダンスにセンスのかけらもない私に、AKB48のダンスやソーラン節を同時に記憶するなど無理だろうと「ネガティブ・ぴょん」は常に脳裏で呟き続けていたのだが、なぜか、同期がオリジナルで作った体験用ソーラン節(お客さんと踊るものなのだが普通に踊るソーラン節とは全く違う動きのもの)も踊ることになった。

 

3つも踊りを覚えるなんて無理無理、と思いながら首都に行くと、もっと過酷なスケジュールでも頑張っているカメルーン隊員がいるではないか。「これは、無理とか言うてられへん。むしろ自分楽な方。」と心の中で呟き、気を取り直した。ネガティブ・ぴょんが出てくる暇もなく、ただ毎日すべきことを一生懸命にこなした。




自分のすべきことを言われるまでほったらかしにしていたり、よく考えずに提案した「カメルーン人コラボバンド」で色々と人に手間をかけさせてしまったことや、細かい打ち合わせの手違いがあったりして日本祭リーダーや副リーダーはじめメンバーたちにに迷惑をかけながら(時には長電話をしたりしながら)、なんとか土壇場で本番に間に合わせたというのが現実である。正直、成功するのかドキドキしすぎて、ものすごく苦しかった。

 

でも、苦しいときや悩んで考えているときに自分の成長を感じられる余裕ができたのは去年と比べれば大きな進歩であると思う。失敗は学びとして、難問解決は自分の大きな経験として――そんな風に困難を捉えられるのは、未熟な自分を守ってくれている人が周りにいるからなのだけど。

 

ともあれ、懸命に練習や準備を重ねて迎えた日本祭当日。会場は一時期満席となり、浴衣コーナーや販売ブースも大盛り上がりで、全てが大成功だった。ステージに上がると、客席からカメラのフラッシュが飛んできて、歓声が聞こえる。キラキラとした照明に陶酔し、心から楽しいと感じた。

 



沖縄バンドは独自の楽器「三線」を際立たせる美しい仕上がりとなり、

ソーラン節では観客を巻き込んで踊りまくって笑顔が絶えないひと時となり、

『千と千尋の神隠し』はアフリカ大陸初上映(?)で、250席の会場が満席で入場制限が設けられるほど好評となり、

アイドルダンスでは華やかな浴衣を着て舞台に立たせてもらって、ちやほやされるし、キラキラできるしで幸せだったし、

アニメソングバンドはコスプレイヤーのヴォーカルたちやPAさんが制作してくれたアニメ動画でものすごく盛り上がった。

 

最後のアンコールで登場したのはリミスさんと彼の息子と弟。『GO!』の演奏をまかせ、当日のリハーサルで二・三回合わせることしかできなかったにも拘らず完璧に演奏をしてくれて、彼らのプロフェッショナルな技術に感動した。

 



それぞれの役割が明確化され、それぞれがすべきことを全員が行う――活動でも感じることだが、非常に難しいことである。とくに「役割を明確化する」係(つまりリーダー)を担うことはまだまだ私にはできていないと感じた。配属先での活動が上手くいかないのは、ここに原因があるのかもしれない。

 

でも、もうネガティブにはならない。「自分はあかんなあ」と落ち込んでいる暇があるなら、それを改善していくことに力を注ぐのが一番自分の成長につながるから。これも最近気づいた自分の変化である。

 

カメルーンの新聞に思いきり掲載された日本祭に関する記事や、次々に受信されるJICA所員の方々や大使館の方々そして隊員からの日本祭開催御礼メールを読んで、まだまだ日本祭の余韻が消えない夜である。


本当に本当に、隊員のみんな、JICAカメルーンの方々、在カメルーン日本大使館の方々にありがとうございますと叫びたい。ありがとうございます!!!