Bonsoir du Cameroun! こんばんわ。
日本は春!?
トレンチコート解禁して、洒落たスニーカーで梅田の本屋とか歩いて、桜がぽつぽつ咲き始めた京都の出町柳とか散歩して、疲れたら前まで働いてたあの素敵な、三丁目の珈琲店でコーヒー飲みながらぼーっとしたいなあ――とか贅沢な妄想をしています。
ま、そんなことは実現不可能なので、ここに居るうちにコツコツ自分磨きして、帰ってからさらに人生楽しめるようにしておこうと言い聞かせて毎日生きてます。
文章書くのも、一応自分磨きの一つなのです。読んでくれてる人見守ってくれてる人・・・うれしいです。ありがとございますほんといつも。
学校も終盤。今週末から二週間の休暇があり、五月後半からは長期休暇が九月まで続きます。学校はね。私は働くんやと思うけど。
今思えば、日本独特の季節の変化が気持ちを入れ替えてくれたり、時間の流れに敏感に気づかせてくれたりしていたように思う。というのも、カメルーンに来てからは日本のような著しい自然の変化みたいなのを感じることが無いから。
でも、季節の変わり目を感じる瞬間ってある。
はっと気づいて、思わず書き留めた瞬間。
私の文章が読む人の頭の中で絵になってしまったらいいのに。
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じりりと照り付ける太陽
コンクリートにため込まれた熱
じんわりと滲む汗
けれどすぐに乾く汗――
日本の夏とは違った匂いがする。
「この気だるい暑さがだらりと年中続くのか。」
と、私は思い込んでいた。
乾季と雨季があることは知っていたけれど、基本的にずっとこの暑さが延々と続くのだという印象は拭えぬままカメルーンへ来て9カ月が経った。
「年中暑いなら、絶対いるよな…」と、迷いに迷って扇風機を買った矢先、はっきりとした季節の節目がやってきた。
放課後に生徒が校門から四方八方へ散ってゆくのを、向いのブティックで冷たい麦酒を呑みながら見ていた。一週間最後の仕事を終えて、同僚がおごってくれた一杯。
昼の余熱が残る気だるい夕暮れを、一瞬にして冷たい湿った風が切り裂き黒い雲がどこからともなくやってきた。日本の夏の台風のような匂いがする。
「もうすぐ雨が降るね。魚たちが喜ぶよ」
家で養殖をしているエバレさんは嵐の往来を心待ちにしながら、二本目の麦酒をあけた。
動植物と会話ができるという彼曰く、
雨があまり降らない暑い毎日に、魚も元気がなかったのだという。
無変化の常夏な日々が続いていると、気だるさが身体の底から湧き上がってきて、カメルーンのだらりとした時間の流れに身を任せているうちに腐り果ててしまいそうだ。
空を仰ぎながら今日の晩御飯を何にするか考えていると、ぽつぽつ雨が落ちてきた。
次第に大粒の滴がぼたぼたと間髪無く地面を突き刺しはじめる。
子どもたちはあちこちに雨宿りをしようと走り、走っていたバイク・タクシーは道を引き返してどこかへ消えてしまった。靴を脱いで裸足で走る少女や、カバンを傘代わりにして小走りで家へ向かう青年がブティックを横切る。バケツを頭に乗せた少年が、びしょぬれになった顔を私に向けて笑った。
「ほら、氷が混ざっているでしょ!」
エバレさんは、嵐に負けないように大声で私に言った。
よく見ればコンクリートを突き刺しているのは雨だけではなかった。
まるい白い塊がそこら中に跳ねて、すぐに消える――
「霰が降るのは、雨季が始まったサインなんだ」
ぱりぱりぱりと屋根の上で氷が踊っている。
雨漏りする屋根の隙間を見計らっては、ブティックのおばさんはバケツを移動させていた。
急激に温度が下がり、滴をよけきれずに濡れてしまった服が肌に冷たい。
嬉しそうに空を仰ぐエバレさんが何かをつぶやいたが、雨音にかき消された。
頭の中でSingin’ in the rainを歌いながら、いつまで続くのかわからない雨をぼんやりと眺めていた。何にも急かされずに、何にもとらわれずに――
日本に居た時は、雨を眺めるなんてことはしなかった。
そんな暇があったらバイトをしたり、大学へ行ったり、とにかく毎日時間に追われて動きに動いていた――かつては外出の妨げになる煩わしい雨しか知らなかった私が、季節の変わり目に降る霰交じりの雨に愛おしささえ感じているというのは、不思議な変化だ。
冷やされた空気が、歩き疲れて熱を含んだ足首を優しく撫でる。
灰色の雲がちぎれては膨らみ、永遠に形を変えて流れていく。
時折突風が水飛沫とともに吹き付けては波のように引いてゆく。
綺麗な嵐だった。一時間くらいすると、雲のちぎれたところから瑠璃色の夕空がのぞき始めた。すっかり洗われた冷気を残して、嵐が去ってゆく――永いような短いようなひととき。
飛んでく時間。遠のく過去、近づいては通り過ぎる今日と明日。
お世話になった先輩や調整員が日本に帰国してしまったと思えば、再び日本から新しいボランティアがやってくる。もたもたしていると、あっという間に私の任期も終わってしまうのだろう。
高速で回転する地球の上で、でたらめに踊っている間抜けな自分
かっこわるい。
まあでも、これでいいのかな。って言い聞かせてる。
これからも、踊り続けよ。
笑われようが、馬鹿にされようが、私が此処に存在しているということが、きっと誰かにとって意味を成していると信じて。
透明に光る空を眺めながら、帰路についた。激しい変化と急速に回る時計の中、ゆったりと流れる時間。時間に喰われず過ごすことを許された夕暮れ時。
