【タイトル】
サウンド・オブ・007（原題:The Sound of 007）
【概要】
2022年のアメリカ映画
上映時間は88分
【あらすじ】
シリーズ開始から60周年が経過した「007」シリーズの音楽の歴史を紐解いてくドキュメンタリー。
【スタッフ】
監督はマット・ホワイトクロス
【キャスト】
ダニエル・クレイグ
マイケル・ケイン
ハンス・ジマー
ジョン・バリー
キャリー・ジョージ・フクナガ
ビリー・アイリッシュ
バーバラ・ブロッコリ
【感想】
007シリーズの作曲家、主題歌を歌った歌手、監督、プロデューサー、出演者、関係者が語るドキュメンタリー映画は2022年10月5日よりAmazon Prime Videoにて配信が開始された。
シリーズに長きに渡って音楽を担当したジョン・バリー、最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ（2021）」の音楽を担当したハンス・ジマー、主題歌を歌ったビリー・アイリッシュの映像がよく使われている印象で、それ以外には3作品で主題歌を歌ったシャーリー・バッシー、「007/美しき獲物たち（1985）」の主題歌を歌ったデュラン・デュラン、そして「女王陛下の007（1969）」の挿入歌を歌ったルイ・アームストロングらはより印象的に取り上げられている。
あの有名なテーマソングが完成した背景、意外な関係者マイケル・ケイン、各主題歌に関するエピソードが次々に語られていき、存命の当事者が語ったり、別の関係者が過去の主題歌や音楽について語ったりしてくれる。なので、シリーズファンにとってはかなり昔の作品の主題歌を歌った歌手の元気な姿を見られるのは嬉しいポイントだろう。
また、逆に本作の中で全く触れられていないのは「007/ユア・アイズ・オンリー（1981）」のビル・コンティ、「007/消されたライセンス（1989）」のマイケル・ケイメン、「007/ゴールデン・アイ（1995）」のエリック・セラ、「007/トゥモロー・ネバー・ダイ（1997）」のシェリル・クロウである。それ以外にも、「007/リビング・デイライツ（1987）」の製作過程で揉めたa-ha、「007/カジノ・ロワイヤル（2006）」のクリス・コーネルに触れないのも違和感がある（彼の名前が一回だけ登場するのだが）。
なので、結果的にティモシー・ダルトンの2作品は完全スルーという感じでちょっと可哀そう。「007/リビング・デイライツ（1987）」のボンドガールを演じたマリアム・ダボが本ドキュメンタリーに出演しているのはそんな事情を察しての埋め合わせなのかと勘繰ってしまう。
シリーズ1作目から順番に取り上げていくと取り上げなかった作品、主題歌、音楽家が目立つからかかなりランダムに取り上げていったのだろう。「007/ムーンレイカー（1979）」の主題歌を歌ったシャーリー・バッシーも同名主題歌を「好きではない」と言うなど、マイナスのコメントでも取り上げているだけに、触れられなかった作品のことは察してくれということなのだろうか。
本作を見るような観客は当然シリーズ全作品を網羅しているだろう。シリーズは25作品もあるのだからすべての作品の総ての楽曲に触れるわけにはいかないにしても、ある程度平等に取り上げるべきではないだろうか。これほど多くの作品や楽曲が登場するとなれば各所への根回しや権利の所在を確認するなど製作までに甚大な努力があり、その上で事情があるのは察するが、せっかく良いドキュメンタリーだけにやや不満は残るのが正直なところだ。
【関連作品】
「007/ドクター・ノオ（1962）」…シリーズ1作目
「007/ロシアより愛をこめて（1963）」…シリーズ2作目
「007/ゴールドフィンガー（1964）」…シリーズ3作目
「007/サンダーボール作戦（1965）」…シリーズ4作目
「007は二度死ぬ（1967）」…シリーズ5作目
「女王陛下の007（1969）」…シリーズ6作目
「007/ダイヤモンドは永遠に（1971）」…シリーズ7作目
「007/死ぬのは奴らだ（1973）」…シリーズ8作目
「007/黄金銃を持つ男（1974）」…シリーズ9作目
「007/私を愛したスパイ（1977）」…シリーズ10作目
「007/ムーンレイカー（1979）」…シリーズ11作目
「007/ユア・アイズ・オンリー（1981）」…シリーズ12作目
「007/オクトパシー（1983）」…シリーズ13作目
「007/美しき獲物たち（1985）」…シリーズ14作目
「007/リビング・デイライツ（1987）」…シリーズ15作目
「007/消されたライセンス（1989）」…シリーズ16作目
「007/ゴールデン・アイ（1995）」…シリーズ17作目
「007/トゥモロー・ネバー・ダイ（1997）」…シリーズ18作目
「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ（1999）」…シリーズ19作目
「007/ダイ・アナザー・デイ（2002）」…シリーズ20作目
「007/カジノ・ロワイヤル（2006）」…シリーズ21作目
「007/慰めの報酬（2008）」…シリーズ22作目
「007/スカイフォール（2012）」…シリーズ23作目
「007/スペクター（2015）」…シリーズ24作目
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ（2021）」…シリーズ25作目
「007/カジノ・ロワイヤル（1967）」…本シリーズのパロディ
「ネバーセイ・ネバーアゲイン（1983）」…「007/サンダーボール作戦」のリメイク
「ジェームズ・ボンドとして（2021）」…ダニエル・クレイグに焦点を当てたドキュメンタリー
「サウンド・オブ・007（2022）」…本シリーズの音楽/主題歌に関するドキュメンタリー
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【配信関連】
＜Amazon Prime Video＞
言語
├オリジナル（英語）
【音楽関連】
＜CD（2枚組）＞
収録内容
├26曲/91分
※テーマ音楽と「007/ロシアより愛をこめて（1963）」から「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ（2021）」までの主題歌を収録。
