【タイトル】
007/カジノ・ロワイヤル(原題:Casino Royale)
【Podcast】
Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。
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【概要】
2006年のイギリス/アメリカ/チェコ/ドイツ合作映画
上映時間は144分
【あらすじ】
殺しのライセンスを得たジェームズ・ボンドは、マダガスカルで爆弾密造人を捕まえ、携帯電話に残された「エリプシス」を探るため、バハマへ向かう。
【スタッフ】
監督はマーティン・キャンベル
製作はバーバラ・ブロッコリ/マイケル・G・ウィルソン
脚本はポール・ハギス/ニール・パーヴィス/ロバート・ウェイド
音楽はデヴィッド・アーノルド
撮影はフィル・メヒュー
【キャスト】
ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)
エヴァ・グリーン(ヴェスパー・リンド)
マッツ・ミケルセン(ル・シッフル)
ジュディ・デンチ(M)
ジェフリー・ライト(フェリックス・ライター)
ジャンカルロ・ジャンニーニ(ルネ・マティス)
【感想】
前作からボンドが金髪のダニエル・クレイグに代わり、大きく舵を取ったリブートとも言えるシリーズ21作。監督はピアース・ブロスナンが初めてボンドを演じた「007/ゴールデン・アイ(1995)」でも監督したマーティン・キャンベルが再起用された。公開前から金髪のボンドへの反対運動が起こるなど議論が起こったものの、蓋を開けてみるとシリーズ最大となる5億9千万ドルの大ヒットを記録した。
体の線の細さのあったピアース・ブロスナンから鍛えたダニエル・クレイグに代わり、その鍛えられた体には彼の格闘シーンの強さと、女性を惹きつける説得力となっている。まだ新米であるが故に粗削りで、見た目の厳つさが殺しのハードボイルドさを表現できていた。だからこそ、シャワールームーで泣いているヴェスパーへ寄りそう優しさが一層引き立っていた。
アバンタイトルの後にマダガスカルで爆弾男との追跡劇が繰り広げられる。この爆弾男を演じたのはフランス人のセバスチャン・フォーカンというフリーランニング(≒パルクール)というスポーツの創始者と言われる人物である。ボンドの粗暴さ、強引さ、ハードボイルドが、フリーランニングという動きの優雅さと見事に対比をなしていた。また、このセバスチャン・フォーカンの身体能力がとにかくすごい。この一連のシークエンスだけでもシリーズ屈指と言える。
次の大掛かりなアクションは空港でのシーンである。感情で動き暴走するボンドが、文字通り暴走するバスを止めようとするのはなかなか面白い。
そして、何といっても本作にはタイトルにもあるカジノが登場し、その場面が一番時間を割かれている。ポーカーという一歩間違うとただ退屈になってしまいかねないテーブルゲームを本作屈指の見せ場に仕立て上げたのも見事である。アクション、毒を盛られてからの蘇生、そして美しきヴェスパーの登場などを合間に挟むことでよりポーカーシーンを盛り上げることに成功しているし、娯楽映画の編集では名手とも言えるスチュアート・ベアードの仕事ぶりも素晴らしい。
それから、何よりも大事とも言えるヴェスパーというボンドガール。ダニエル・クレイグがボンドを演じた作品すべてを見ていれば分かるが、彼にとって最愛の女性である。確かにヴェスパーは二重スパイだったが、ボンドへの愛は確かなものだった。あのシャワールームのシーンだけでも胸に刺さるものはある。
なかなか名前を言わないボンドが最後に名乗って、モンティ・ノーマンのメインテーマが流れて映画が終わる。このラストのセリフは、プロデューサーがダニエル・クレイグをボンド役に決めるきっかけとなった「レイヤー・ケーキ(2004)」のラストにも通じるような気がする。未見の方はぜひセットでご覧を。
【音声解説1】
参加者
├マーティン・キャンベル(監督)
├マイケル・G・ウィルソン(プロデューサー)
上記2名による対話形式の音声解説。シーンの意図、撮影までのプロセス、キャスティング、演技プランの工夫、編集、音楽や小道具まで幅広く語ってくれる。特にボンドがシャワー室でヴェスパーの指を舐めるシーンについての試写時の反応とその後の対応の話は面白かった。※DVDには収録されているが、後に発売のBlu-rayには収録されていない。
【音声解説2】
参加者
├バーバラ・ブロッコリ(プロデューサー)
├カラム・マクドゥガル(製作総指揮)
├アンソニー・ウェイ(製作総指揮)
├デヴィッド・G・ウィルソン(製作助手)
├ロバート・ウェイド(脚本)
├ニール・パーヴィス(脚本)
├ポール・ハギス(脚色)
├フィル・メフュー(撮影)
├デヴィッド・アーノルド(音楽)
├ピーター・ラモント(プロダクション・デザイン)
├アレクサンダー・ウィット(第2班監督)
├ゲイリー・パウエル(スタント・コーディネーター)
├クリス・コーボールド(特殊効果)
├リンディ・ヘミング(衣装)
├スチュアート・ベアード(編集)
├アン・ベケット(マーケティング)
├デビー・マクウィリアムズ(キャスティング)
上記17名のスタッフによる音声解説。別撮りの音源を繋ぎ合わせた音声解説だが、関連する場面にそれぞれのスタッフが話しているので違和感は全くない。ピアース・ブロスナン時代が終わり、新たなボンド映画を作り上げる過程を聞くことができる。カジノディーラーのキャスティング、編集を担当したスチュアート・ベアードによる会話シーンやカジノシーンの編集の話は面白かった。
【関連作品】
「007/ドクター・ノオ(1962)」…シリーズ1作目
「007/ロシアより愛をこめて(1963)」…シリーズ2作目
「007/ゴールドフィンガー(1964)」…シリーズ3作目
「007/サンダーボール作戦(1965)」…シリーズ4作目
「007は二度死ぬ(1967)」…シリーズ5作目
「女王陛下の007(1969)」…シリーズ6作目
「007/ダイヤモンドは永遠に(1971)」…シリーズ7作目
「007/死ぬのは奴らだ(1973)」…シリーズ8作目
「007/黄金銃を持つ男(1974)」…シリーズ9作目
「007/私を愛したスパイ(1977)」…シリーズ10作目
「007/ムーンレイカー(1979)」…シリーズ11作目
「007/ユア・アイズ・オンリー(1981)」…シリーズ12作目
「007/オクトパシー(1983)」…シリーズ13作目
「007/美しき獲物たち(1985)」…シリーズ14作目
「007/リビング・デイライツ(1987)」…シリーズ15作目
「007/消されたライセンス(1989)」…シリーズ16作目
「007/ゴールデン・アイ(1995)」…シリーズ17作目
「007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)」…シリーズ18作目
「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999)」…シリーズ19作目
「007/ダイ・アナザー・デイ(2002)」…シリーズ20作目
「007/カジノ・ロワイヤル(2006)」…シリーズ21作目
「007/慰めの報酬(2008)」…シリーズ22作目
「007/スカイフォール(2012)」…シリーズ23作目
「007/スペクター(2015)」…シリーズ24作目
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)」…シリーズ25作目
「007/カジノ・ロワイヤル(1967)」…本シリーズのパロディ
「ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)」…「007/サンダーボール作戦」のリメイク
「ジェームズ・ボンドとして(2021)」…ダニエル・クレイグに焦点を当てたドキュメンタリー
「サウンド・オブ・007(2022)」…本シリーズの音楽/主題歌に関するドキュメンタリー
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(セルビア語/ドイツ語/イタリア語/フランス語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(セルビア語/ドイツ語/イタリア語/フランス語)
├日本語吹き替え
<BD(2枚組)>
言語
├オリジナル(セルビア語/ドイツ語/イタリア語/フランス語)
├日本語吹き替え
音声特典
├製作スタッフによる音声解説
├マーティン・キャンベル(監督)、マイケル・G・ウィルソン(製作)による音声解説
映像特典(Disc1)
├予告編集
├究極のジェームズ・ボンド トリビアクイズ
映像特典(Disc2)
├未公開シーン集
├『カジノ・ロワイヤル』製作までの道のり
├イアン・フレミンングの驚くべき創造の世界
├ボンド映画の舞台:バハマを語る
├イアン・フレミング:楽園への隠された道
├ヴェニスに死す
├ジェームズ・ボンド誕生までの物語
├生身のジェームズ・ボンド
├ボンド・ガールは永遠に(2006)
├フリーランニングという芸術
├空港シーンの撮影:絵コンテからスクリーンへ
├絵コンテから集:追跡シーン
├製作スタッフのインタビュー
├ミュージック・ビデオ:“ユー・ノー・マイ・ネーム”by クリス・コーネル
【書籍関連】
<007/カジノ・ロワイヤル>
形式
├電子
├紙
出版社
├東京創元社
著者
├イアン・フレミング
翻訳
├白石朗
長さ
├260ページ
【音楽関連】
<CD(サウンドトラック)>
収録内容
├25曲/74分