【タイトル】
007/ゴールドフィンガー(原題:Goldfinger)
【概要】
1964年のイギリス/アメリカ合作映画
上映時間は112分
【あらすじ】
ボンドはゴールドフィンガーという男が金の密輸に関係しているとして捜査を命じられる。
【スタッフ】
監督はガイ・ハミルトン
音楽はジョン・バリー
撮影はテッド・ムーア
【キャスト】
ショーン・コネリー(ジェームズ・ボンド)
ゲルト・フレーベ(ゴールドフィンガー)
オナー・ブラックマン(プッシー・ガロア)
ハロルド坂田(オッドジョブ)
【感想】
前2作品のテレンス・ヤングから監督がガイ・ハミルトンに交代したシリーズ3作目は更に予算アップし、興行収入もシリーズ最高を更新した。ちなみに、原作者のイアン・フレミングは本作公開1ヶ月前に亡くなっている。
ボンドはゴールドフィンガーの女ジルに手を出した結果、ジルは金箔まみれになって殺されてしまう(ボンドだけを生かす理由はよくわからんが)。そして、英国諜報部へ戻ると、Mからその失態を追求され、ボンドは平謝りするしかない。シリーズ3作目にしてこれほどピリピリしたMも初めてだ。更にはメカを開発したQでさえもボンドに厳しく当たっている。
そして、ゴールドフィンガーを殺そうとしたジルの妹ティリーまでもが登場し、ゴールドフィンガーへの仇討ちを企てている。ジルが死んだのはボンドのせいだが、そんなことは口が裂けても言えないボンドはティリーとともに行動する。ところが、最終的にこのティリーもゴールドフィンガーの手下によって殺されてしまう。ボンドが安易に女性に手を出すとその女性たちはことごとく死んでいってしまう。これは以降の作品でしばらくお見かけする光景である。ただ、ボンドが関わった姉妹二人ともが死ぬ展開は見ていて気持ちの良いものではない。
また、ティリーとともに行動してからQの開発した兵器を搭載したボンドカー(アストンマーチン)を使うアクションシーンに移行する。そこではQの開発した兵器が次々に使用されるのだが、結局のところボンドはこのアストンマーチンを大破させてしまう。Qから「無傷で返すように」と言われていたのにそれを守れないというギャグなのだが、上述のようにQがボンドに兵器を紹介する場面も妙にピリピリしていたのでこの場面では決してこのシーンは笑えない。
ボンドが関わった女性たちが次々に死んでいく展開に納得できないながらも、中盤までのテンポの良さはこのシリーズ3作品の地点で一番良いと思う。ところが、中盤以降のボンドが捕まってからの展開はやや冗長であり面白みに欠ける。せっかく捕まえたボンドを生かす理由がゴールドフィンガー側にないんだよな。ボンドはゴールドフィンガーのグランドスラム計画を知っており、仲間が応援に駆け付けると言ったことで死を免れることになるのだが、たとえそうだとしてもゴールドフィンガーがボンドを生かす理由にはならない。絶体絶命の状況を回避するところこそ、スパイ映画並びにボンド映画の楽しみの一つなのだから脚本はもう少し頑張ってほしかった。
そのグランドスラム計画なるものは考え方的にはボンド映画らしくて良いが、さすがにそんなにうまくいくはずがないと思ってしまうところだ。さらに以降の展開はボンドが活躍したわけでもなく、事実上のボンドガールが寝返りすることで好転するのである。そして、ボンドとハロルド坂田演じるオッドジョブの格闘シーンがあるが、音楽はなく、もっさりした格闘であり、折角のクライマックスも鈍重である。
肝心のゴールドフィンガーが捕まっていないというのに、何となくお開きの雰囲気が漂う。ラストは飛行機を奪ったゴールドフィンガーを同乗したボンドがやっつけるというもの。このあっけなさこそ当時の味なのだと思うが、ゴールドフィンガーは終始小物だったと断言できるオチであった。
また、ボンドはプッシーと助かるオチだったが、当然の如く序盤に死んだジルとティリーのことなんて覚えてすらいない感じになっている。序盤の「申し訳ないことしたな」と感じる描写があっただけに、後の能天気とも言える展開がより際立った。
【関連作品】
「007/ドクター・ノオ(1962)」…シリーズ1作目
「007/ロシアより愛をこめて(1963)」…シリーズ2作目
「007/ゴールドフィンガー(1964)」…シリーズ3作目
「007/サンダーボール作戦(1965)」…シリーズ4作目
「007は二度死ぬ(1967)」…シリーズ5作目
「女王陛下の007(1969)」…シリーズ6作目
「007/ダイヤモンドは永遠に(1971)」…シリーズ7作目
「007/死ぬのは奴らだ(1973)」…シリーズ8作目
「007/黄金銃を持つ男(1974)」…シリーズ9作目
「007/私を愛したスパイ(1977)」…シリーズ10作目
「007/ムーンレイカー(1979)」…シリーズ11作目
「007/ユア・アイズ・オンリー(1981)」…シリーズ12作目
「007/オクトパシー(1983)」…シリーズ13作目
「007/美しき獲物たち(1985)」…シリーズ14作目
「007/リビング・デイライツ(1987)」…シリーズ15作目
「007/消されたライセンス(1989)」…シリーズ16作目
「007/ゴールデン・アイ(1995)」…シリーズ17作目
「007/トゥモロー・ネバー・ダイ(1997)」…シリーズ18作目
「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ(1999)」…シリーズ19作目
「007/ダイ・アナザー・デイ(2002)」…シリーズ20作目
「007/カジノ・ロワイヤル(2006)」…シリーズ21作目
「007/慰めの報酬(2008)」…シリーズ22作目
「007/スカイフォール(2012)」…シリーズ23作目
「007/スペクター(2015)」…シリーズ24作目
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2021)」…シリーズ25作目
「007/カジノ・ロワイヤル(1967)」…本シリーズのパロディ
「ネバーセイ・ネバーアゲイン(1983)」…「007/サンダーボール作戦」のリメイク
「ジェームズ・ボンドとして(2021)」…ダニエル・クレイグに焦点を当てたドキュメンタリー
「サウンド・オブ・007(2022)」…本シリーズの音楽/主題歌に関するドキュメンタリー
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
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言語
├オリジナル(英語/中国語/スペイン語)
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言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語/中国語/スペイン語)
音声特典
├ガイ・ハミルトン(監督)による音声解説
映像特典
├メイキング・オブ「ゴールドフィンガー」
├ドキュメンタリー「ゴールドフィンガー現象」
├パブリシティ用映像
├オリジナル劇場予告編
├TVスポット(3種)
├ブックレット
<BD>
言語
├オリジナル(英語/中国語/スペイン語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ガイ・ハミルトン(監督)による音声解説
├製作スタッフ、キャストによる音声解説
映像特典
├MI6:機密書類保管庫
├秘密任務
├任務遂行レポート
├007プロパガンダ
├イメージデータベース:1964年『ゴールドフィンガー』公開当時のフォト・ギャラリー