【作品#0414】ドラえもん 新・のび太の日本誕生(2016) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ドラえもん 新・のび太の日本誕生


【概要】

2016年の日本映画
上映時間は103分

【あらすじ】

親に叱られるなどの理由で家出を決意したのび太たちは、行く当てもなく途方に暮れていたが、まだ誰の土地でもなかった7万年前の日本へタイムマシンで向かうことにする。

【スタッフ】

監督は八鍬新之介

【キャスト】

水田わさび(ドラえもん)
大原めぐみ(のび太)

【感想】

劇場版「ドラえもん」の第36作で、第2期では11作目に当たり、第1期の「ドラえもん のび太の日本誕生(1989)」のリメイクである。また、興行収入が41億円と初めて40億円を突破し、シリーズの売り上げ記録を塗り替えた作品にもなった。

結論から言うと、第2期に入ってからようやくまともな作品に巡り会えたという印象である。あくまでリメイクであり、気になる箇所はあるにはあるが、オリジナルの弱点をカバーする改変ができていたと感じる。

序盤のみんなが家出する展開はオリジナルと同じなのだが、ジャイアンが親から「奴隷くらい働いてから…」と言うのは2016年にリメイクするなら真っ先に変更する箇所ではあると感じる。

そこから中盤までの話はオリジナルとほとんど変わらない。強いて言うなら、のび太たちの旅の途中で、のび太のママとパパの会話シーンが挿入され、家出から帰ったのび太をママが叱らないという場面が追加されている。テストで0点を取りまくるのび太にあまり同情の余地はないが、子供に何かうまくいかないとつい怒ってしまう保護者には響くものがあったのではないだろうか。

それから、中盤の改変で気になった箇所はツチダマの登場シーンである。オリジナルではあっさり壊されていたが、リメイクでは強大な力を発揮した末に壊されている。強大な力を発揮する場面は見せ場としての意図があったのは理解できるが、オリジナルのようにあっさり壊されたからこそ、後にドラえもんが形状記憶セラミックで出来ていることに驚くという展開に意義があったと思う。なので、ここはオリジナル通りにあっさり壊されるべきだったとは思う。

その後、ヒカリ族を日本へ連れて行き、のび太たちは一旦帰ることになり、その後また戻るとヒカリ族はクラヤミ族に連れ去られてしまう。そして、ドラえもんの道具「リニアモーターカーごっこ」で追いかけていると、のび太だけ振り落とされてしまうところまでは同じである。オリジナルでは、偶然にものび太を発見したタイムパトロールが助ける展開が用意されていたが、ここでのび太はクルルにもらった犬笛を吹いてのび太が作った3匹の空想動物が助けに来る展開に変更されている。のび太とクルルを繋ぐ、そしてのび太と空想動物を繋ぐ展開としてもうまい改変であると感じる。

また、オリジナルでは最後にタイムパトロールが助けに来るだけという、匙を投げたのかと思わせるような終わらせ方であったが、リメイクはのび太たちが立派に戦う展開に改変されており、これに関してはオリジナルの弱点を完全にカバーできている。特にここ最近のドラえもん映画でゲストキャラクターに見せ場のない終わらせ方が多かったことを考えると、クルルの勇敢な行動をしっかり描いたのは高評価できるポイントである。また、リメイクで追加されたラスボスを、クルルがマンモスを沼地に追いやるように、ドラえもんの秘密道具「ドンブラ粉」でやっつける展開もうまく重ね合わせられている。

そして、歴史を改変しようとしたギガゾンビはタイムパトロールによって逮捕され、ヒカリ族は再び新たな生活を始めることになる。ただ、ギガゾンビが歴史を改変しようとしていることをドラえもんが責め立てる展開があるなら、ヒカリ族は元の中国に戻すべきじゃないか。かつて住んでいた中国の地にクラヤミ族の恐怖はなくなったわけで、わざわざ日本で暮らす必要はないはずだ。歴史の改変をしてはいけないと言うのなら、ここは整合性を取ってほしかった箇所である。

また、冒険が終わったのび太の家に戻ると、朝まで勉強を頑張ったのび太をママが優しく見守るシーンで映画は終わることになる。クルルの姿を見たのび太が頑張った姿を見せて終わるのも映画のテーマに即しており、これまでの作品で映画の出発点に対して着地点がずれていると指摘してきたが、ようやくきれいな終わり方になっていると感じる。

細かい箇所で色々指摘こそしたが、映画全体で見るとオリジナルの弱い箇所を確実に良くしており、傑作とまでは到底言えないものの第2期に入ってようやくまともなドラえもん映画を見た気分になった。

【関連作品】
 
ドラえもん のび太の恐竜(1980)」…劇場版1作目
ドラえもん のび太の宇宙開拓史(1981)」…劇場版2作目
ドラえもん のび太の大魔境(1982)」…劇場版3作目
ドラえもん のび太の海底鬼岩城(1983)」…劇場版4作目
ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984)」…劇場版5作目
ドラえもん のび太の小宇宙戦争(1985)」…劇場版6作目
ドラえもん のび太と鉄人兵団(1986)」…劇場版7作目
ドラえもん のび太と竜の騎士(1987)」…劇場版8作目
ドラえもん のび太のパラレル西遊記(1988)」…劇場版9作目
ドラえもん のび太の日本誕生(1989)」…劇場版10作目
ドラえもん のび太のアニマル惑星(1990)」…劇場版11作目
ドラえもん のび太のドラビアンナイト(1991)」…劇場版12作目
ドラえもん のび太と雲の王国(1992)」…劇場版13作目
ドラえもん のび太とブリキの迷宮(1993)」…劇場版14作目
ドラえもん のび太と夢幻三剣士(1994)」…劇場版15作目
ドラえもん のび太の創世日記(1995)」…劇場版16作目
ドラえもん のび太の銀河超特急(1996)」…劇場版17作目
ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記(1997)」…劇場版18作目
ドラえもん のび太の南海大冒険(1998)」…劇場版19作目
ドラえもん のび太の宇宙漂流記(1999)」…劇場版20作目
ドラえもん のび太の太陽王伝説(2000)」…劇場版21作目
ドラえもん のび太と翼の勇者たち(2001)」…劇場版22作目
ドラえもん のび太とロボット王国(2002)」…劇場版23作目
ドラえもん のび太とふしぎ風使い(2003)」…劇場版24作目
ドラえもん のび太のワンニャン時空伝(2004)」…劇場版25作目
ドラえもん のび太の恐竜2006(2006)」…2期劇場版1作目
ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜(2007)」…2期劇場版2作目
ドラえもん のび太と緑の巨人伝(2008)」…2期劇場版3作目
ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史(2009)」…2期劇場版4作目
ドラえもん のび太の人魚大海戦(2010)」…2期劇場版5作目
ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜(2011)」…2期劇場版6作目
ドラえもん のび太と奇跡の島〜アニマル アドベンチャー〜(2012)」…2期劇場版7作目
ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(2013)」…2期劇場版8作目
ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜(2014)」…2期劇場版9作目
ドラえもん のび太の宇宙英雄記(2015)」…2期劇場版10作目
「ドラえもん 新・のび太の日本誕生(2016)」…2期劇場版11作目
ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険(2017)」…2期劇場版12作目
ドラえもん のび太の宝島(2018)」…2期劇場版13作目
ドラえもん のび太の月面探査記(2019)」…2期劇場版14作目
ドラえもん のび太の新恐竜(2020)」…2期劇場版15作目
「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021(2021)」…2期劇場版16作目
STAND BY ME ドラえもん(2014)」…3DCG劇場版1作目
STAND BY ME ドラえもん2(2020」…3DCG劇場版2作目



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├小学館

長さ

├142ページ