【作品#0405】ドラえもん のび太と奇跡の島~アニマル アドベンチャー~(2012) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ドラえもん のび太と奇跡の島~アニマル アドベンチャー~


【概要】

2012年の日本映画
上映時間は99分

【あらすじ】

大きなカブトムシを捕まえようと、のび太は300年前のニュージーランドから希少動物ジャイアントモアを捕まえてしまう。そのまま元の場所に戻せば絶滅するのではないかと考えていると、ドラミから動物を保護する島を教えてもらう。

【スタッフ】

監督は楠葉宏三

【キャスト】

水田わさび(ドラえもん)
大原めぐみ(のび太)

【感想】

劇場版「ドラえもん」の第32作目で、第2期では7作目にあたる作品。監督は「ドラえもん のび太の人魚大海戦(2010)」の楠葉宏三が務めた。

特に2000年に入ってからのドラえもん映画は終盤に泣かせようという演出が多かった。製作者側はそれが正しいと思っているようで、その演出をほぼ毎作品続けている。ただ、本作は泣かせるのが最優先で作られているかのようで、登場人物のみんなが序盤近くから目をウルウルさせている。のび太のパパとママがのび太の生まれた日の話をするところや、のび太たちが親の存在について話すところは脈絡もないし、とにかく「泣かせよう」としてそういった話を盛り込んでいるのが分かる。感動に導くために導線を作るのは良いが、感動させることがただの目的になっている。観客に楽しんでもらうということはもちろんとして、ドラえもん映画はのび太の成長を描くことが観客の子供にとって必要な要素だろう。こういった大前提を無視して感動させることを軸に物語を作るということは作品全体の質を後回しにしていると言えるわけで、本作に限って言えばこの観点から見て最低の作品であると感じる。

本作は冒頭にのび太とパパの約束が明示される。パパに買ってもらったカブトムシを大事に育てるという約束である。そのカブトムシに「カブ太」と名付けてジャイアンたちと虫相撲をして体格で劣るカブ太は連敗してしまう。そこでのび太やのび太のパパをみんなで笑い者にするのはかなり不愉快である。体の小さなカブ太では勝てないと悟ったのび太はドラえもんに「もっと大きいのが欲しい」とごね始める。ついさっきした約束はどこへやら。このまま話を進めてしまったらでかくて強いのが正義というメッセージになってしまう。たとえ体格が小さくても辛抱強く育てるとか、体格の小ささを生かした虫相撲の戦略を考えるとか、虫相撲に勝てなくても他に優れたところを見つけて伸ばすとか…そっちに話を持っていかないと、見に来た子供たちに非常に閉ざされたメッセージを伝えてしまうことになる。案の定、中盤以降すっかり忘れ去られたカブ太は大きくなることで活躍する。この着地はダメだろう。結局大きかったら良いという話になっているじゃないか。序盤以降もカブ太はドラえもんが世話していたのに、コロンからカブ太を交換してほしいと言われると「絶対にダメ」と断るなど、この設定がブレブレである。結局、親子の約束という観点で映画を見ると、若き日のパパまで登場しているのに何にも回収されることなく映画が終わっている。せめて冒険を終えたのび太が約束を守っている様子を少し見せるだけでも印象は変わるのにそういったことをしようとした形跡すら見えない。ドラえもん映画に多いのだが、本作も明確な出発点を冒頭に明示しておきながら、着地点がすっかりズレているのだ。

それからドラえもんの戦う武器がない状況でのび太が消極的になると、周囲全員から「それではダメだ」と嗾けられる。ただ、結局その後はドラえもんの武器を使って戦いに勝っていくことになるわけで、もし仮にドラえもんの武器がなくて消極的になるのなら、ドラえもんの道具だけでなくのび太たちの勇気が必要であるという明確な道筋は用意すべきだと思う。ドラえもんの道具で戦えるのなら、のび太の望んだ道具がないだけで消極的になる必要性は感じない。しかもそういうフリをしているにもかかわらずのび太が大活躍するわけでもない。この辺のドラマの核になる部分も非常にいい加減だ。

というか、のび太のパパまで知らぬ間にパーティに参加している状況に必然性も感じない。見た目が似ていることを理由にジャイアンたちから笑われるくらいだ(というか似てたか!?)。若き日ののび太のパパまで引っ張り出して、親子の約束というテーマを冒頭に明示したにもかかわらず、感動を軸に話を作り、親子の約束なんて話はそっちのけで映画は終わる。本作よりも退屈なドラえもん映画はあったと思うが、総合的に判断してドラえもん映画では最低の出来と言わざるを得ない。

【関連作品】
 
ドラえもん のび太の恐竜(1980)」…劇場版1作目
ドラえもん のび太の宇宙開拓史(1981)」…劇場版2作目
ドラえもん のび太の大魔境(1982)」…劇場版3作目
ドラえもん のび太の海底鬼岩城(1983)」…劇場版4作目
ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984)」…劇場版5作目
ドラえもん のび太の小宇宙戦争(1985)」…劇場版6作目
ドラえもん のび太と鉄人兵団(1986)」…劇場版7作目
ドラえもん のび太と竜の騎士(1987)」…劇場版8作目
ドラえもん のび太のパラレル西遊記(1988)」…劇場版9作目
ドラえもん のび太の日本誕生(1989)」…劇場版10作目
ドラえもん のび太のアニマル惑星(1990)」…劇場版11作目
ドラえもん のび太のドラビアンナイト(1991)」…劇場版12作目
ドラえもん のび太と雲の王国(1992)」…劇場版13作目
ドラえもん のび太とブリキの迷宮(1993)」…劇場版14作目
ドラえもん のび太と夢幻三剣士(1994)」…劇場版15作目
ドラえもん のび太の創世日記(1995)」…劇場版16作目
ドラえもん のび太の銀河超特急(1996)」…劇場版17作目
ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記(1997)」…劇場版18作目
ドラえもん のび太の南海大冒険(1998)」…劇場版19作目
ドラえもん のび太の宇宙漂流記(1999)」…劇場版20作目
ドラえもん のび太の太陽王伝説(2000)」…劇場版21作目
ドラえもん のび太と翼の勇者たち(2001)」…劇場版22作目
ドラえもん のび太とロボット王国(2002)」…劇場版23作目
ドラえもん のび太とふしぎ風使い(2003)」…劇場版24作目
ドラえもん のび太のワンニャン時空伝(2004)」…劇場版25作目
ドラえもん のび太の恐竜2006(2006)」…2期劇場版1作目
ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜(2007)」…2期劇場版2作目
ドラえもん のび太と緑の巨人伝(2008)」…2期劇場版3作目
ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史(2009)」…2期劇場版4作目
ドラえもん のび太の人魚大海戦(2010)」…2期劇場版5作目
ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜(2011)」…2期劇場版6作目
「ドラえもん のび太と奇跡の島〜アニマル アドベンチャー〜(2012)」…2期劇場版7作目
ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(2013)」…2期劇場版8作目
ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜(2014)」…2期劇場版9作目
ドラえもん のび太の宇宙英雄記(2015)」…2期劇場版10作目
ドラえもん 新・のび太の日本誕生(2016)」…2期劇場版11作目
ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険(2017)」…2期劇場版12作目
ドラえもん のび太の宝島(2018)」…2期劇場版13作目
ドラえもん のび太の月面探査記(2019)」…2期劇場版14作目
ドラえもん のび太の新恐竜(2020)」…2期劇場版15作目
「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021(2021)」…2期劇場版16作目
STAND BY ME ドラえもん(2014)」…3DCG劇場版1作目
STAND BY ME ドラえもん2(2020」…3DCG劇場版2作目



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├小学館

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├141ページ