【作品#0407】ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(2013) | シネマーグチャンネル

 

  タイトル

 

ドラえもん のび太のひみつ道具博物館

 

  概要

 

2013年の日本映画
上映時間は103分

 

  あらすじ

 

ドラえもんは首元にいつも付けている鈴を怪盗Xと名乗るハンターに盗まれてしまう。怪盗Xからのカードを受け取ったのび太はシャーロック・ホームズセットを使ってドラえもんの鈴の行方を探すことになる。

 

  スタッフ

 

監督は寺本幸代

 

  キャスト

 

水田わさび(ドラえもん)
大原めぐみ(のび太)

 

  感想

 

劇場版「ドラえもん」の第33作で、第2期の第8作にあたる。また、原作漫画を原案としない作品は第2期では初めてとなった。

本作は一応推理ものとしての側面もあり、これはドラえもん映画では初の試みだろう。と言っても子供向けなので難解な推理があるわけではないのだが、やはり「ホームズ」とか「怪盗」という言葉が出てくると、それは「名探偵コナン」を連想するに決まっている訳で、どうしてもこのキャラクターに触れないといけないという気はしない。さらには悪役らしい悪役も登場しない作品となっている。

本作は描くテーマがまたもやすっとぼけた感じになっている。「誰にでも取柄はある」というテーマだと思うのだが、のび太は自分のことを「飽きっぽくて何の取り柄もない人間だ」と思っている。今までの劇場版でものび太はあやとりと射撃が得意で、その得意の射撃能力を生かして活躍する描写だってあった。なのに、それをなかったことにするのはどうかと思う。映画は一話完結ではあるが、過去作との整合性を無視して製作し続けるのはファンへの冒涜だと感じるし、そこを曲げてでも製作しなければならない状況なのであればもう打ち切りを考えるべきだと思う。

そして、ドラえもんの鈴を一生懸命に探すのび太の姿を見てドラえもんが「良い奴だ」と言う回想シーンがある。その中でドラえもんはのび太のことを「勉強もダメ、運動もダメ、そして根性もない」と言うのだが、人を判断する時に勉強と運動という観点からしか判断しないのはどうかと思うわ。子供だって大人だって1人の人間には多くの側面がある。これは子供を連れて見に来た保護者向けとしてもダメだと思うわ。そして、この場面ではのび太に「優しさ」という取り柄があることを伝えたいのだろう。だとしたら、本作におけるのび太にはもっと「優しさ」にフォーカスした描写は必要だったんじゃないかと思う。回想シーンであれだけ一生懸命に探していたドラえもんの鈴を現代のパートでは本気で探していないし、ラストには回想シーンと同様に偶然見つかるという展開になっている。ここは努力して見つかったという描写にすべきじゃないかな。これだとのび太の「優しさ」は回想シーン以外では何も表現されていなかったことになる。他の場面でものび太が他者を優しく思いやる場面なんてほとんどない。前作同様、示したテーマに対して明確な回答を用意せずに映画が終わっているのは残念である。

そして、その鈴はドラえもんから離れると野生の猫と化してしまうとドラミが序盤に説明している。以降の場面でドラえもんが野生の猫っぽくなる場面こそあるが、たまにそうなるだけであり、何の意味もなしていないところは気にかかる。それ以外にもジャイアンとスネ夫が小さくなる必要も全くないし、ジンジャーというキャラクターも登場した意義は感じない。まるで尺伸ばしのような感じになっている。

あと、のび太が「ハイパー掃除機」を使ったことでしずかちゃんが丸裸になる場面があるが、いい加減にこういう女の子を裸にする描写はやめようよ。女の子=脱ぎ要員という第1期にあった悪しき伝統を思い出す。2013年に製作されたというのが嘘みたいに古臭い描写である。

第2期に入ってようやく原作漫画を原案としないオリジナル作品を作り上げた点は評価すべきところだろう。ただ、多くのドラえもん映画でも感じるように、出発点に対して着地点がまたしてもずれてしまっている。序盤と結末を別の脚本家が書いたのではないかと思うほどである。見に来た子供や保護者が何かを感じる話にしてはあまりにも弱々しい。

 

  関連作品

 

ドラえもん のび太の恐竜(1980)」…劇場版1作目
ドラえもん のび太の宇宙開拓史(1981)」…劇場版2作目
ドラえもん のび太の大魔境(1982)」…劇場版3作目
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ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984)」…劇場版5作目
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ドラえもん のび太の日本誕生(1989)」…劇場版10作目
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ドラえもん のび太の創世日記(1995)」…劇場版16作目
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ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜(2007)」…2期劇場版2作目
ドラえもん のび太と緑の巨人伝(2008)」…2期劇場版3作目
ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史(2009)」…2期劇場版4作目
ドラえもん のび太の人魚大海戦(2010)」…2期劇場版5作目
ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜(2011)」…2期劇場版6作目
ドラえもん のび太と奇跡の島〜アニマル アドベンチャー〜(2012)」…2期劇場版7作目
「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(2013)」…2期劇場版8作目
ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜(2014)」…2期劇場版9作目
ドラえもん のび太の宇宙英雄記(2015)」…2期劇場版10作目
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「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021(2021)」…2期劇場版16作目
STAND BY ME ドラえもん(2014)」…3DCG劇場版1作目
STAND BY ME ドラえもん2(2020」…3DCG劇場版2作目

 

 

 

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映像特典

├向井理 アフレコ風景&インタビュー
├完成披露試写会舞台挨拶(2013年2月24日・東京ドームシティホール)
├公開初日舞台挨拶(2013年3月9日・TOHOシネマズ日劇)
├ノンテロップオープニング&エンディング
├特報/予告/TVスポット集

 

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出版社

├小学館

長さ

├142ページ