【作品#0259】STAND BY ME ドラえもん(2014) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

STAND BY ME ドラえもん

 

【概要】

 

2014年の日本映画

上映時間は95分

 

【あらすじ】

 

小学5年生の野比のび太のもとへ、未来から猫型ロボットドラえもんがやって来る。

 

【スタッフ】

 

監督は山崎貴/八木竜一

音楽は佐藤直紀

 

【キャスト】

 

水田わさび(ドラえもん)

大原めぐみ(野比のび太)

妻夫木聡(未来の野比のび太)

 

【感想】

 

藤子・F・不二雄が原作の人気漫画「ドラえもん」の初の3DCGアニメ映画。日本では83億円、全世界トータルでも1億8千万ドルのヒットとなった。ちなみに、未来ののび太の声は、TOYOTAのCMでのび太を演じている妻夫木聡が務めた。

 

本作はオリジナルストーリーではなく、原作第1話となる「未来の国からはるばると」や、劇場版と同時上映された「帰ってきたドラえもん(1998)」や「のび太の結婚前夜(1999)」などの既存の話を繋ぎ合わせた作品となっている。なので、本作は短編を連続で見ているような感覚になり、その短編の継ぎ接ぎ感がある。ちょっと成長したかと思えば、次の場面でまた元通りという感じになっている。というか、オリジナルストーリーを考えず、人気のあるエピソードをただ羅列するって、作家として志が低すぎやしないか。3DCGだから画的に新鮮に見えるが、やっていることは要するにリメイク。というか、ドラえもんも2期(声優が変わって)からリメイクばっかりなので、そこは何とか頑張ってほしいところ。

 

ちなみに私は90年代の少年時代にアニメ「ドラえもん」を楽しんでいた世代であるが、大人になってから振り返って「それはおかしい」と思うところはいくらだってある(それは他の漫画やアニメにも言えることだが)。例えば、のび太は将来ジャイ子と結婚することになるが、のび太はしずかちゃんとの結婚を望んでおり、のび太の行動が実を結んでしずかちゃんと結婚できる将来となる。かわいくて優しいしずかちゃんが良くて、ジャイ子がジャイアンの妹であり、不細工で太っているから嫌だということなんだろう。20世紀ならこの感覚で物語を進めて、しずかちゃんとの結婚をゴールにしたって良かったのだろう。ところが、本作が作られたのは2014年である。いくら原作に忠実とはいえ、この部分をそのままにし、子供の成長を描く本作において結婚相手はしずかちゃんしかいないという、ある意味閉ざされた未来と言うのはどうも気にかかる。また、ドラえもんがのび太の幸せをしずかちゃんと結婚することと決めつけるのものび太の将来を閉ざしているように見える。のび太が大人になるまでの間に様々な経験をしてそれでもやはりしずかちゃんを選ぶなら分かるが、漫画としても映画にしても小学5年生ののび太から成人したのび太までの間を描くことはなく、この「ドラえもん」の抱える最大の問題点であると言える。

 

物語としては、未来から使命を託されてやってきたドラえもんがのび太が成長するというその使命を果たして帰るというところで終わっているように見えるのだが、ドラえもんはまた帰って来る。そもそも「帰ってきたドラえもん(1998)」は、原作の「さようならドラえもん」と「帰ってきたドラえもん」をくっつけた話だった。それでも「帰ってきたドラえもん(1998)」には、のび太の成長を感じさせる、そしていつかは離れなければならない本気度が伝わる作風であった。しかし、本作はあくまで短いエピソードの継ぎ接ぎである。ドラマとしてノッていけないと、ラストで感動はないし、むしろドラえもんが帰って来ることでぶち壊しになっている印象さえある。

 

監督は山崎貴である。「ALWAYS~」シリーズに代表されるように、基本的に感動を押し売りするタイプの作家である。いかにも感動できる話を並べ立て、得意の仰々しい音楽で畳みかける演出など、ある意味一貫しているが、そのアプローチは間違っていると思う。「ドラ泣き」とか言っていたが、この映画が素晴らしくて泣けるのではなく、原作のモノ自体が良くて泣けるものだろう。「泣ける=良い映画」という錯覚も意図しているとしたら相当悪質である。

 

【関連作品】

 

ドラえもん のび太の恐竜(1980)」…劇場版1作目

ドラえもん のび太の宇宙開拓史(1981)」…劇場版2作目

ドラえもん のび太の大魔境(1982)」…劇場版3作目

ドラえもん のび太の海底鬼岩城(1983)」…劇場版4作目

ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984)」…劇場版5作目

ドラえもん のび太の小宇宙戦争(1985)」…劇場版6作目

ドラえもん のび太と鉄人兵団(1986)」…劇場版7作目

ドラえもん のび太と竜の騎士(1987)」…劇場版8作目

ドラえもん のび太のパラレル西遊記(1988)」…劇場版9作目

ドラえもん のび太の日本誕生(1989)」…劇場版10作目

ドラえもん のび太のアニマル惑星(1990)」…劇場版11作目

ドラえもん のび太のドラビアンナイト(1991)」…劇場版12作目

ドラえもん のび太と雲の王国(1992)」…劇場版13作目

ドラえもん のび太とブリキの迷宮(1993)」…劇場版14作目

ドラえもん のび太と夢幻三剣士(1994)」…劇場版15作目

ドラえもん のび太の創世日記(1995)」…劇場版16作目

ドラえもん のび太の銀河超特急(1996)」…劇場版17作目

ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記(1997)」…劇場版18作目

ドラえもん のび太の南海大冒険(1998)」…劇場版19作目

ドラえもん のび太の宇宙漂流記(1999)」…劇場版20作目

ドラえもん のび太の太陽王伝説(2000)」…劇場版21作目

ドラえもん のび太と翼の勇者たち(2001)」…劇場版22作目

ドラえもん のび太とロボット王国(2002)」…劇場版23作目

ドラえもん のび太とふしぎ風使い(2003)」…劇場版24作目

ドラえもん のび太のワンニャン時空伝(2004)」…劇場版25作目

ドラえもん のび太の恐竜2006(2006)」…2期劇場版1作目

ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜(2007)」…2期劇場版2作目

ドラえもん のび太と緑の巨人伝(2008)」…2期劇場版3作目

ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史(2009)」…2期劇場版4作目

ドラえもん のび太の人魚大海戦(2010)」…2期劇場版5作目

ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ 天使たち〜(2011)」…2期劇場版6作目

ドラえもん のび太と奇跡の島〜アニマル アドベンチャー〜(2012)」…2期劇場版7作目

ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(2013)」…2期劇場版8作目

ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜(2014)」…2期劇場版9作目

ドラえもん のび太の宇宙英雄記(2015)」…2期劇場版10作目

ドラえもん 新・のび太の日本誕生(2016)」…2期劇場版11作目

ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険(2017)」…2期劇場版12作目

ドラえもん のび太の宝島(2018)」…2期劇場版13作目

ドラえもん のび太の月面探査記(2019)」…2期劇場版14作目

ドラえもん のび太の新恐竜(2020)」…2期劇場版15作目

「ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021(2021)」…2期劇場版16作目

「STAND BY ME ドラえもん(2014)」…3DCG劇場版1作目

STAND BY ME ドラえもん2(2020)」…3DCG劇場版2作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【配信関連】

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【ソフト関連】

<BD(通常版)>

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映像特典

├未完成未公開映像
├STAND BY ME ドラえもん ができるまで
├STAND BY ME ドラえもん公開日 放送 「徹子の部屋」
├ひまわりの約束 Music Video <映画「STAND BY MEドラえもん」コラボレーションVer.>
├映画「STAND BY ME ドラえもん」タイアップCM集
├予告特報CM集
封入特典

├ブックレット(64ページ)