【作品#0260】STAND BY ME ドラえもん2（2020）

【タイトル】

STAND BY ME ドラえもん2

【概要】

2020年の日本映画

上映時間は96分

【あらすじ】

のび太はドラえもんにおばあちゃんの話をしていると会いたくなってしまい、ドラえもんとともにおばあちゃんの生きていた時代へタイムマシンへ向かう。おばあちゃんから「のび太のお嫁さんが見たい」と言われたのび太はその約束を果たそうとする。

【スタッフ】

監督は山崎貴/八木竜一

音楽は佐藤直紀

【キャスト】

水田わさび（ドラえもん）

大原めぐみ（野比のび太）

妻夫木聡（未来の野比のび太）

宮本信子（のび太のおばあさん）

【感想】

大ヒットした前作から6年ぶりとなる続編だが、前作の売り上げの1/3にも満たない約27億円程度の売り上げとなった（それでもそこそこヒットしたと言えるが）。本作も前作と同じく、原作の中でも人気の高いエピソードを繋ぎ合わせた継ぎ接ぎ感のある映画となっている。

前作も酷い映画だと思ったが、本作はそれに磨きがかかっている。のび太は多くのトラブルを引き起こし、家族や友人、ドラえもんをも巻き込み、そして大した成長もしないまま戻って来て、しずかちゃんから「よくできました」って言われるってどういうことや。人間誰しも欠点はあるが、ただのクズで成長も反省もしていない大人ののび太を受け入れるしずかちゃんって何なの。ありのままの男性を受け入れる女性こそ理想の女性であるかのごとく描かれるしずか像は製作者側の願望の押し付けでしかなく、はっきり言って気持ち悪い。

しずかちゃんとの結婚当日にして自信のない成人したのび太はタイムマシンを偶然発見して（映画的には）現代に戻って来る。そこで、のび太の自信を付けるためにドラえもんの提案する「入れかえロープ」が最適解には全く見えない。子供時代の身体に入り込んだ成人したのび太は子供時代を満喫し、中学生相手にトラブルを起こす。「助けに来た」しずかちゃんを「助ける」ことで自信を取り戻すことになるのだが、それは違うだろう。ここは傲慢な態度で中学生相手に喧嘩を売ったこと、それが原因でしずかちゃんたちを巻き込んで危険な目に遭わせたことを本気で反省しないとダメだろう。というか、成人したのび太が自信を付けるために、中学生の暴力に立ち向かうって何だよそれ。暴力に対して暴力で立ち向かうことが良いことなのか。言っておくが、こののび太は「成人したのび太」である。前作でジャイアンに立ち向かったところへの焼き直しだろうが、この2020年に暴力とか根性とかを成長の物差しにしているって製作者側の頭の中は昭和から時代が止まっているのだろうか。

それから、前作で成人したのび太が現代ののび太からドラえもんに会うか聞かれて、「君の友達だからやめておくよ」と言っていたが、前作で垣間見えた成長を本作で現代に戻って来てドラえもんに会って、しかも道具に頼ることでぶち壊すなんて、はっきり言って節操がない。

また、エピソードの継ぎ接ぎだからか、自分の生まれた日に戻るのも唐突過ぎて、なぜその行動を選択しているのかが分からない。そのエピソードを最後のスピーチで回収するためだけの後付けの設定にしか見えない。というか、のび太のお父さんの「まるで見てきたみたいだな」というセリフは全く粋じゃない。

大人になってもドラえもんに頼り、友人、家族、結婚相手のしずかちゃんに散々迷惑をかけまくって、それを対して反省もせずに終わらせる映画ってヤバいだろう。これぞ子供に見せたくない映画だわ。

【関連作品】

「ドラえもんのび太の恐竜（1980）」…劇場版1作目

「ドラえもんのび太の宇宙開拓史（1981）」…劇場版2作目

「ドラえもんのび太の大魔境（1982）」…劇場版3作目

「ドラえもんのび太の海底鬼岩城（1983）」…劇場版4作目

「ドラえもんのび太の魔界大冒険（1984）」…劇場版5作目

「ドラえもんのび太の小宇宙戦争（1985）」…劇場版6作目

「ドラえもんのび太と鉄人兵団（1986）」…劇場版7作目

「ドラえもんのび太と竜の騎士（1987）」…劇場版8作目