【作品#0408】ドラえもん新・のび太の大魔境～ペコと5人の探検隊～（2014）

【タイトル】

ドラえもん新・のび太の大魔境～ペコと5人の探検隊～

【概要】

2014年の日本映画
上映時間は109分

【あらすじ】

前人未到の大魔境を探検したいと言うジャイアントスネ夫はドラえもんの道具を使って大魔境を探させることになる。すると、アフリカの秘境「ヘビー・スモーカーズ・フォレスト」が衛星写真で見つかり、みんなで探検することになる。

【スタッフ】

監督は八鍬新之介

【キャスト】

水田わさび（ドラえもん）
大原めぐみ（のび太）

【感想】

劇場版「ドラえもん」の第34作で、第2期では第9作にあたり、第1期の第3作「ドラえもんのび太の大魔境（1983）」のリメイク作品である。

第2期に入ってからのリメイク乱発の中では割とオリジナルに忠実な作品である。ただ、忠実だったら良いという訳でもなく、いくらでも改善できる箇所があるのにそれをそのままにしているということはその箇所に気付いていないか、そんな気すらなかったかのどちらかであると感じる。

まず、オリジナルの感想でも記載したが、ジャングルに足を踏み入れたドラえもんたちに襲い掛かる猛獣たちを、ドラえもんの道具で何とかする場面はいくらなんでもやりすぎであった。そしてリメイクである本作でもその場面はほぼそのまま使われている。襲い掛かる猛獣をスモールライトで小さくしたり、ショックガンで撃ったり、ジャイアントスイングで投げ飛ばしたり…。ドラえもん映画では環境保護をメッセージとする作品も多数あるわけで、ジャングルにいる動物たちをいくら襲い掛かってきたらと言って滅茶苦茶にやっつけるのはどうかと思うわ。しかもジャイアンにマントを着せて猛獣たちをわざわざ呼び寄せている訳である。オリジナルもリメイクもこの描写に対して批判的な視点はなく、あくまで猛獣たちを画面に出してドラえもんの秘密道具でやっつける展開を面白おかしく描いている。さらには、その前の場面で木に「植物改造エキス」を注入して文字通り木を改造までしている。これぞ自然を破壊する人類そのものじゃないか。こういう場面こそ2014年現在なりのアプローチで改善すべきところだろう。もし改善案がなければこの手の場面はすべてカットでも良いわけで。また、そもそも100キロも手前からスタートさせなければこんな猛獣に出会わなかったかもしれないし、改めてオリジナルも突飛な話だったと思わせられる。ちなみに100キロって東京駅から宇都宮駅までの距離ですよ!?フルマラソン2回やってもまだ到達しない距離を小学5年生の子供が挑戦するって、ドラえもんは鬼畜だわ。

また、細かい描写だが、どこでもドアを使ってジャイアンが家に帰った後にジャングルに戻ってくる場面では、ジャイアンは傷だらけで服も破けた状態になっている。直接的な描写はないが、ジャイアンの母親がジャイアンに暴力を振るったことが示唆される場面である。もう2014年という時代なんだから、こんな場面はカットすべきだとか言える人間は製作陣にいなかったんだろうか。叱られてしょんぼりして戻って来るという描写でも良かったはずだ。それから、前作でも指摘したが本作でもまたしずかちゃんの裸の場面がある。小学5年生の女性キャラを安易に裸にさせるということについても誰も何も言えないのか。この2か所だけ見ても90年代くらいから感覚がアップデートされていないように感じる。仮にオリジナル当時は何の問題もなかった描写でも2014年現在に見るとさすがにおかしいと言える描写が放ったらかしというのははっきり言って大問題である。

そして、本題の物語だが、上述のように100キロもジャングルを冒険する前半部はその冒険するところを描くことが目的化してしまい面白さは感じない。ジャイアンが孤立するに至る積み重ねとしてもちょっとしつこいし、こんなに尺を取らなくても描けた話である。それからペコが実はバウワンコ王国の王子であることが分かり、ドラえもんたちが彼らの王国を助けると言う後半になる。ペコの背景描写を考えると最後はペコが自分の手で敵をやっつけるべきだと思うが、ほとんどドラえもんの道具でやっつけてしまうのも気にかかる。

第2期に入って9作目になる本作だが、第1期のリメイクとしては5作目である。リメイクに際してどこまで改変するかは難しいポイントだと思うが、ここまでオリジナル通りで、オリジナルの問題個所をそのままにしているのはどう考えても怠慢と言わざるを得ない。子供への描写も古臭いままだし、リメイクした意義を全く感じない駄作。

【関連作品】

「ドラえもんのび太の恐竜（1980）」…劇場版1作目
「ドラえもんのび太の宇宙開拓史（1981）」…劇場版2作目
「ドラえもんのび太の大魔境（1982）」…劇場版3作目
「ドラえもんのび太の海底鬼岩城（1983）」…劇場版4作目
「ドラえもんのび太の魔界大冒険（1984）」…劇場版5作目
「ドラえもんのび太の小宇宙戦争（1985）」…劇場版6作目
「ドラえもんのび太と鉄人兵団（1986）」…劇場版7作目
「ドラえもんのび太と竜の騎士（1987）」…劇場版8作目
「ドラえもんのび太のパラレル西遊記（1988）」…劇場版9作目
「ドラえもんのび太の日本誕生（1989）」…劇場版10作目
「ドラえもんのび太のアニマル惑星（1990）」…劇場版11作目
「ドラえもんのび太のドラビアンナイト（1991）」…劇場版12作目
「ドラえもんのび太と雲の王国（1992）」…劇場版13作目
「ドラえもんのび太とブリキの迷宮（1993）」…劇場版14作目
「ドラえもんのび太と夢幻三剣士（1994）」…劇場版15作目
「ドラえもんのび太の創世日記（1995）」…劇場版16作目
「ドラえもんのび太の銀河超特急（1996）」…劇場版17作目
「ドラえもんのび太のねじ巻き都市冒険記（1997）」…劇場版18作目
「ドラえもんのび太の南海大冒険（1998）」…劇場版19作目
「ドラえもんのび太の宇宙漂流記（1999）」…劇場版20作目
「ドラえもんのび太の太陽王伝説（2000）」…劇場版21作目
「ドラえもんのび太と翼の勇者たち（2001）」…劇場版22作目
「ドラえもんのび太とロボット王国（2002）」…劇場版23作目
「ドラえもんのび太とふしぎ風使い（2003）」…劇場版24作目
「ドラえもんのび太のワンニャン時空伝（2004）」…劇場版25作目
「ドラえもんのび太の恐竜2006（2006）」…2期劇場版1作目
「ドラえもんのび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜（2007）」…2期劇場版2作目
「ドラえもんのび太と緑の巨人伝（2008）」…2期劇場版3作目
「ドラえもん新・のび太の宇宙開拓史（2009）」…2期劇場版4作目
「ドラえもんのび太の人魚大海戦（2010）」…2期劇場版5作目
「ドラえもん新・のび太と鉄人兵団〜はばたけ天使たち〜（2011）」…2期劇場版6作目
「ドラえもんのび太と奇跡の島〜アニマルアドベンチャー〜（2012）」…2期劇場版7作目
「ドラえもんのび太のひみつ道具博物館（2013）」…2期劇場版8作目
「ドラえもん新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜（2014）」…2期劇場版9作目
「ドラえもんのび太の宇宙英雄記（2015）」…2期劇場版10作目
「ドラえもん新・のび太の日本誕生（2016）」…2期劇場版11作目
「ドラえもんのび太の南極カチコチ大冒険（2017）」…2期劇場版12作目
「ドラえもんのび太の宝島（2018）」…2期劇場版13作目
「ドラえもんのび太の月面探査記（2019）」…2期劇場版14作目
「ドラえもんのび太の新恐竜（2020）」…2期劇場版15作目
「ドラえもんのび太の宇宙小戦争2021（2021）」…2期劇場版16作目
「STAND BY ME ドラえもん（2014）」…3DCG劇場版1作目
「STAND BY ME ドラえもん2（2020）」…3DCG劇場版2作目

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