【作品#0415】マジェスティック(2001) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

マジェスティック(原題:The Majestic)


【概要】

2001年のアメリカ映画
上映時間は152分

【あらすじ】

赤狩りが真っ只中の1951年のハリウッド。脚本家のピーター・アップルトンは学生時代に気になる女の子と一緒にいるために参加した集会が共産主義の集会だったことから下院非米活動委員会に召喚されてしまうことになる。落ち込むピーターは運転中の事故により記憶を失くしてしまう。

【スタッフ】

監督はフランク・ダラボン
音楽はマーク・アイシャム
撮影はデヴィッド・タッターサル

【キャスト】

ジム・キャリー(ピーター・アップルトン/ルーク・トリンブル)
マーティン・ランドー(ハリー・トリンブル)
ローリー・ホールデン(アデル)
ジェームズ・ホイットモア(スタン・ケラー)
ジェフリー・デマン(アーニー・コール町長)
ハル・ホルブルック(ドイル議員)
マット・デイモン(ルーク・トリンブルの声)

【感想】

2022年現在、4本の映画で監督を務めたフランク・ダラボンにとって唯一のスティーヴン・キングの原作を元としない映画である。

記憶を失ったピーターはローソンという街で戦死したと思われていたルークだと思われ、そのルークとして生きて行くことになる。ルークが戦死したと思われたことで、ルークの父ハリーも、ルークの恋人アデルも、映画館のマジェスティックも活気を失っていた。そこへピーターがルークとしてローソンの街にやって来ることでハリーもアデルも、そしてマジェスティックも復活していくことになる。かつての輝かしい映画の復活を望んでいるようで、主人公の描き方などはフランク・キャプラ監督作品を思わせるものは多少ある。

記憶を取り戻したピーターは、ルークの墓に行く場面でアデルと鉢合わせて、弁護士の忠告通り証言することを伝える。そこでアデルから「ルークなら戦った」と言われ、ルークからアデル宛の手紙とアメリカ合衆国憲章をもらう。ルークの手紙を読んでピーターは人としてあるべき姿に戻ろうとする。ピーターはルークとして長い間過ごしたわけである。ピーターが記憶を取り戻した時にはルークとしての経験が生かされないとピーターがルークになっていたという意義がない。ここでアデルと話して、手紙と合衆国憲章をもらったから心情が変化したようになってしまっている。映画の終盤になってもピーターが元の状態とあまり変わっていないのは残念である。

そして、ピーターが下院非米活動委員会に召喚された後、事実上の放免になる展開はこれこそダメな展開じゃないかな。集会に参加した理由を話した場面で女性の名前を言ったことを委員会側が証言したと捉え、さらにはその女性が半年前に自分の名前を証言していたという事実が後に判明する。そんなうまい話があるかな。下院非米活動委員会に召喚された人はたとえ共産党員であろうとなかろうと証言を拒否すれば投獄されたのは事実であり、映画製作者はそれを分かった上でピーターを正義の代弁者として描いたのだろう。それは理解するが、本音を語ったピーターに傍聴者やマスコミまでもが拍手喝采はさすがにやり過ぎかな。当時はマスコミですらやり過ぎなマッカーシズムはなかなか批判できなかったわけで。どこかファンタジックな映画ではあるが、例えば投獄されてしまうが、アデルなどのローソンの人たちにはピーターの意思が伝わるという形でも良かった。また、ローソンに帰ってからも町内の人が全員でピーターを出迎えるのも委員会を退場する時と同様やり過ぎな感じがする。映画の終盤で主人公に拍手を送るというのは多くの映画で取り入れられている演出だが、上述の流れからするとピーターに2度も拍手を浴びせるのはちょっと違うと思う。嗜好の問題ではあろうが、もっとこじんまりした話でも良かったと思う。

アメリカでは2001年12月というアカデミー賞狙いの時期に公開されたので、911以降に公開されたことになる。廃れた映画館を建て直す姿は、911で崩壊したアメリカを建て直す姿に重ね合わせることもできたとは思う。ただ本作は7,200万ドルの予算に対し、アメリカで2,700万ドル、全世界でも3,700万ドルしか稼げなかった大赤字映画である。うーん、やっぱりメッセージが露骨すぎたかな。

【関連作品】

「アフリカの女王(1951)」…冒頭に出てくる映画間にポスターが飾られている。
「ゾラの生涯(1937)」…アデルが弁護士を志す契機になった映画であると話す場面がある。ちなみに「ゾラの生涯(1936)」で主人公ゾラの夫人を演じたのは、本作でアデルを演じたローリー・ホールデンの祖母グロリア・ホールデンである。
「ビッグ・パレード(1925)」…映画館マジェスティックで最初に上映した映画として登場する。
「地球の静止する日(1951)」…映画館マジェスティックで上映される場面がある。



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映像特典

├劇中映画「サハラの盗賊」完全版
├未公開シーン集

 

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収録内容

├上記DVDと同様