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柏木むつきです。
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最近、「昔読んだ小説をもう一度読み返したくなる熱」が定期的にやってきて。
以前読んだ本でも、
数年たって読み返すとまた違った感想を抱くのが新鮮で。
「自分」のアンテナを確認することもできますし。
昨日、読了したのが大好きな本のうちの一つ↓
三浦しをんさんの小説『舟を編む』。
出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!
この本、大好きなんです。
しをんさんの読みやすくテンポの良い文体はもちろんなのですが、
辞書作りに情熱を注ぐ人たちの「言葉」に対する想いが丁寧に表現されていて。
小説家のしをんさんの「想い」も載せた作品だなぁとも思います。
「想い」を紡ぎ、
誰かに伝え、残していく。
その時に必要不可欠な「言葉」。
「辞書は言葉の海を渡る舟だ」
「ひとは辞書という船に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。
もっともふさわしい言葉で、正確に、思いを誰かに届けるために。
もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」
私はこのセリフが特に好きです。
今でこそ紙の辞書を引く習慣は減ってしまって、
私自身も論文を書く際など、すぐパソコンで調べてしまうけれど、
あの紙の辞書特有の「高揚感」は私の中にも宿っています。
小学生のころ、
時間があれば本を読んでいましたが、時々「辞書」を読んでいました。
パラパラパラっとめくったページの言葉を片っ端から読んで、
「知らない言葉はないかな」
と読んでいたのでした。
その習慣は大きくなってもあまり変わらなくて、
中学生の頃は「国語便覧」、
高校生の頃は電子辞書で索引から調べて読む…。
そんなことを暇さえあればやっていたなぁと思い出しました。
今でも知らない言葉があれば調べる習慣は抜けていませんし
(最近はさぼりがちですが…)、
素敵な表現を見つけたり、
自分の思いを的確に表現する「言葉」と出会ったときはとても嬉しい。
そんな私の「想い」さえも受け止めてくれるのがこの『舟を編む』なんですよね。
まだまだ私の「想い」を紡ぐ言葉との出会いは続くだろうから。
「言葉の海を渡る舟」に私も想いを託したいな、と。
そんなことを思わせてくれる小説です。
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