本論文は、システマティックレビューにより、新型コロナウイルス感染はSTDではないことを示しています。ただし、精液所見がやや低下します。
Fertil Steril Rev 2021; 2: 140(米国)DOI:https://doi.org/10.1016/j.xfnr.2021.01.002
要約:2020年12月までに発表された新型コロナウイルス感染に関する論文で、STD(性感染症)について言及した23論文を対象に、システマティックレビューを行いました。これまでの疫学研究(統計)では、新型コロナウイルス感染がSTDであることを示す論文はありません。ACE2受容体は存在しますが、精巣、精子、卵子に新型コロナウイルスの侵入に必要なTMPRSS2発現が認められませんので、性交を介した感染は否定的です。なお、臓器別の新型コロナウイルス検出率は下記の通り、極めて低いものです。
新型コロナウイルス検出率
精液 2.0%(6/299)
精巣組織 5.6%(1/17)
前立腺液 0%(0/89)
膣分泌物 1.7%(1/58)
子宮頸管 0%(0/35)
卵子 0%(0/16)
しかし、男性では新型コロナウイルス感染による精巣炎、男性ホルモン値低下、精子数低下、精子運動率低下が認められることがあります。
解説:これまで、全世界で7100万人が新型コロナウイルスに感染し、150万人が死亡しています。いくつかのウイルス感染はSTD(性感染症)であるため、本論文は、新型コロナウイルスがSTDであるか否かをシステマティックレビューにより検討しました。その結果、新型コロナウイルス感染はSTDではないことを示しています。ただし、精液所見がやや低下しますのでご注意ください。
下記の記事を参照してください。
2021.4.21「☆新型コロナウイルスワクチンに関する声明:ASRM」
2021.4.17「妊娠初期に新型コロナウイルス感染した症例」
2021.4.4「Q&A2889 新型コロナウイルスワクチン」
2021.3.23「Q&A2877 ☆新型コロナウイルスワクチンを接種すべきか?」
2021.2.19「☆新型コロナウイルス感染症対策:妊婦の方々へ」
2021.2.17「☆妊活中および妊娠中の新型コロナウイルスワクチン」
2021.1.27「☆コロナワクチンに関する日本産科婦人科学会の公式見解」
2021.1.24「コロナのワクチンを打っても良いですか?」
2021.1.17「☆新型コロナウイルスの妊娠初期感染の影響は?」
2020.10.11「Q&A2714 コロナウイルス感染対策にビタミンDは?」
2020.10.9「☆☆新型コロナウイルス治療薬:アビガン」
2020.9.5「☆新型コロナウイルスの子宮内膜への影響は?」
2020.9.4「☆新型コロナウイルスの精巣への影響は? その2」
2020.8.7「☆新型コロナウイルスの精巣や卵巣への感染は?」
2020.7.17「☆新型コロナウイルスの精巣への影響は?」
2020.6.25「Q&A2606 新型コロナウイルスへのアビガン」
2020.6.19「☆新型コロナウイルス感染:産婦人科学会ガイドライン」
2020.5.11「Q&A2561 新型コロナウイルス時代の妊活」
2020.5.5「☆新型コロナウイルス感染:妊娠中の感染 その3」
2020.4.29「☆新型コロナウイルス感染:ビタミンDが有効!?」
2020.4.12「☆新型コロナウイルス感染:妊娠中の感染 その2」
2020.4.12「☆新型コロナウイルス感染:妊娠中の感染」
2020.4.3「☆新型コロナウイルス感染症対策:妊婦の方々へ」
2020.4.3「☆新型コロナウイルス感染に対する対策:BCG接種は?」
2020.3.21「☆☆新型コロナウイルス感染:ウイルスの残留性」
2020.3.18「☆新型コロナウイルス感染:ISUOG学会ガイドライン」
2020.3.17「新型コロナウイルス感染:ダイヤモンド・プリンセス号の対応」
2020.3.12「☆新型コロナウイルス感染 その4」
2020.3.6「☆新型コロナウイルス感染:産婦人科学会ガイドライン」
2020.2.27「☆新型コロナウイルス感染 その3」
2020.2.14「☆新型コロナウイルス感染 その2」
2020.2.5「☆☆新型コロナウイルス感染」