新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の3月9日付け「新型コロナウイルス感染症対策の見解」に現段階での対策が明確かつ簡潔に示されています。その大まかな内容をご紹介します。
1. 感染拡大の防止に向けた日本の基本戦略
社会・経済機 能への影響を最小限としながら、感染拡大の効果を最大限にするための3本柱
①クラスター(集団)の早期発見・早期対応
②患者の早期診断・ 重症者への集中治療の充実と医療提供体制の確保
③市民の行動変容
2. 現在の国内の感染状況
感染者の数は増加傾向にあるが、国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていない。現時点までは、クラスター(集団)の発生を比較的早期に発見できている。これは、急激なペースで感染者が増加している諸外国と比べて、感染者数の増加のスピードを抑えることにつながっている。2月24日の専門家会議の見解で「これから1〜2週間が急速な拡大に 進むか、収束できるかの瀬戸際となる」と述べたが、一定程度持ちこたえているのではないかと考える。
3. 重症化する患者さんについて
重症化する患者さんも、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、その段階では重症化するかどうかの区別をつけるのは難しい。日本で死亡者数が大きく増えていないのは、医師が重症化しそうな患者さんの多くを検出し、適切な治療ができていることを示している。
4. 北海道における「人と人との接触を可能な限り控える」対策について
対策の効果については(2週間かかるため)、3月19日頃を目途に公表する予定。
5. 今後の長期的な見通しについて
国内での急速な感染拡大を抑制できたとしても、世界的な流行を完全に封じ込めることはできない。再流行あるいは国外から感染が持ち込まれる事例も、今後繰り返されるものと予想される。WHOは、今回の新型コロナウイルス感染症の地域ごとの対策を考えるために、次の3つに分類して対応を考えることが必要だとしている。
①感染者が他地域からの感染者に限定されている地域(Cases)
②クラスターを形成している地域(Cluster)
③地域内に広範に感染者が発生している地域(Community Transmission)
6. みなさまにお願いしたいこと
集団感染しやすい場所や場面を避けるという行動によって、急速な感染拡大を防げる可能性がより確実な知見となってきた。これまで集団感染が確認された場に共通するのは、
①換気の悪い密閉空間で、
②多くの人が密集し、
③近距離(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われた
という3つの条件が同時に重なった場です。これらの3つの条件が同時に揃う場所や場面を予測し、避ける行動をとってください。
7. クラスター(集団)の発生のリスクを下げるための3つの原則
①換気を励行する:窓のある環境では、可能であれば 2方向の窓を同時に開け、換気を励行する。
②人の密度を下げる:人が多く集まる場合には、会場の広さを確保し、お互いの距離を1〜2メ ートル程度あけるなどして、人の密度を減らす。
③近距離での会話や発声、高唱を避ける:周囲の人が近距離で発声するような場を避ける。やむを得ず近距離での会話が必要な場合には、自分から飛沫を飛ばさないよう、咳エチケット の要領でマスクを装着する。