☆新型コロナウイルス感染：妊娠中の感染　その３

妊娠中の新型コロナウイルス感染に関する最新の論文2編をご紹介します（米国産婦人科学会誌）。

Am J Obstet Gynecol 2020 Apr 23（イタリア）doi: https://doi.org/10.1016/j.ajog.2020.04.013

要約：現在までに報告されている妊娠中の新型コロナウイルス感染に関する論文のレビューを行い、6論文51名が該当しました（ランダム化試験はありません）。妊娠初期の感染者はおらず、妊娠中期の感染者が2名、さらに妊娠33週の1名を含めて3名は妊娠継続中でした。出産した48名のうち46名は帝王切開（96%）で、死産1名、新生児死亡1名でした。平均年齢30歳（27〜33歳）、出産時の妊娠週数は平均36.5週（35〜38週）、早産15名（39%）。また、症状出現から出産までは1〜7日で、出産後に症状が出現した方が3名おられました。症状は、発熱や乾燥した咳が中心で、妊娠していない方と同様です。34週に感染した30歳の方は、重症肺炎のためICU管理となり、ECMOを使用しました。他に、出産後に重症肺炎になった方もICU管理となりました。生産した赤ちゃん48名（双子1組あり）の出産時は問題ありませんでしたが（新型コロナウイルスPCR検査は全て陰性）、1名は出産後30分で呼吸状態が悪化し、NICU管理になり、多臓器不全のため生後9日で亡くなりました（新型コロナウイルスPCR検査は陰性）。なお、56%で新型コロナウイルス感染による肺炎のため帝王切開を実施しています。9例（19%）に前期破水が認められました。

Am J Obstet Gynecol 2020 Apr 23（中国）doi: https://doi.org/10.1016/j.ajog.2020.04.014

要約：2020年3月24日までに、妊娠中の新型コロナウイルス感染が中国の25病院で116名に確認されました（臨床的診断51名、臨床検査的診断65名）。入院時の妊娠週数は中央値38週（5〜41週）、症状は、発熱（51%）と咳（28%）が中心で、23%は無症状でした。また、CT検査の異常が96%で確認できました。重症肺炎は7%（8名）で認められましたが（28〜39週）、母体死亡はありませんでした。出産に至った99名のうち、85名は帝王切開（86%）で、早産は21名21%（34週未満の早産は2名）、6名（6%）に前期破水が認められました。平均年齢31歳（24〜41歳）、出産時の妊娠週数は中央値38.4週（28〜41週）、症状出現から出産までは1〜7日で、39%で新型コロナウイルス感染による肺炎のため帝王切開を実施しています。35週に感染した32歳の方は、重症肺炎のためICU管理となり、ECMOを使用し徐々に軽快していますが、赤ちゃんは新生児死亡となりました。妊娠初期および中期に感染した8名のうち、流産に至ったのは1名（妊娠5週）でした。誕生した赤ちゃん100名のうち47名がNICUに入院し、新型コロナウイルスPCR検査が実施できた86名全てで陰性でした。なお、現在入院中の母体は35%（40名）、新生児は23%（23名）おられます。