本論文は、新型コロナウイルスの精巣への影響を検討したものです。
Fertil Steril 2020; 114: 233(ドイツ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2020.05.028
Fertil Steril 2020; 114: 257(米国)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2020.06.013
要約:2020年4〜5月に新型コロナウイルスに感染した20名(軽症既往14名、中等症既往4名、現在感染中2名)と対照群14名の精液検査を実施しました(既往の方は症状消失後8〜54日に実施)。なお、軽症は自宅療養のみ、中等症は入院し最大6Lの酸素投与まで実施した方と定義しました。どなたの精液中にも新型コロナウイルスを認めませんでした。また、中等症だった方の精液所見は有意に低下していました。
解説:これまで、新型コロナウイルスが精液中に存在するという論文は1件、存在しないという論文は3件報告されており、結論が出ていません。本論文は、精液中に新型コロナウイルスが存在しないことを示しています。また、入院が必要な中等症の方では一時的に精液所見が低下することを初めて示しています。
コメントでは、精液を介したウイルス感染は否定的であるとしながらも、精液所見が低下することを重視しています。また、現段階では、新型コロナウイルスによる胚発生や胎児の器官形成に与える影響は不明であり、今後の研究が必要であるとしています。
下記の記事を参照してください。
2020.8.7「☆新型コロナウイルスの精巣や卵巣への感染は?」
2020.7.17「☆新型コロナウイルスの精巣への影響は?」
2020.6.25「Q&A2606 新型コロナウイルスへのアビガン」
2020.6.19「☆新型コロナウイルス感染:産婦人科学会ガイドライン」
2020.5.11「Q&A2561 新型コロナウイルス時代の妊活」
2020.5.5「☆新型コロナウイルス感染:妊娠中の感染 その3」
2020.4.29「☆新型コロナウイルス感染:ビタミンDが有効!?」
2020.4.12「☆新型コロナウイルス感染:妊娠中の感染 その2」
2020.4.12「☆新型コロナウイルス感染:妊娠中の感染」
2020.4.3「☆新型コロナウイルス感染症対策:妊婦の方々へ」
2020.4.3「☆新型コロナウイルス感染に対する対策:BCG接種は?」
2020.3.21「☆☆新型コロナウイルス感染:ウイルスの残留性」
2020.3.18「☆新型コロナウイルス感染:ISUOG学会ガイドライン」
2020.3.17「新型コロナウイルス感染:ダイヤモンド・プリンセス号の対応」
2020.3.12「☆新型コロナウイルス感染 その4」
2020.3.6「☆新型コロナウイルス感染:産婦人科学会ガイドライン」
2020.2.27「☆新型コロナウイルス感染 その3」
2020.2.14「☆新型コロナウイルス感染 その2」
2020.2.5「☆☆新型コロナウイルス感染」