マルトリートメントと私65.気絶するほどの疲労 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、

マルトリートメントと私1.私の1番古い記憶をご覧ください。

 
幼少期のまでの記事はこちら。
小学生までの記事はこちら。
中学生時代の記事はこちら。

※自分の記憶に基づいて書いているため、

事実と違っている可能性があります。
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小学生の頃から小児喘息を患っており、
体の弱い子供でした。

喘息で具合が悪い時は、
心も弱っていたためか、
兄は小学生の頃は、
学校で絶対に自分に話しかけるなと、
私に厳命していたくせに、
自分が寝込んでいる時には、
家に友達も呼べず、
遊べないからと、
私が小学校から帰ってくるのを、
楽しみに待っていたりして、
私はその話を母親から聞かされたら、
(兄は自分から私に遊んでとは言いませんでした)
友達のすーちゃんと遊ぶ約束をしていても、
何だか兄が可哀想になって、
すーちゃんと遊ぶ約束を断って、
兄の側についてあげたりしていました。

兄は体が弱いのだから、お母さんに構われるのを羨んではいけない。

小学生の頃の私は、
自分が母親に構われない寂しさを、
兄の喘息のせいにして、
自分を納得させようとしていました。

けれど、段々と成長するうちに、
兄の体も強くなっていき、
喘息の発作も出なくなっていきました。

体が強くなってきた兄は、
ますます私とは疎遠になっていきましたが、
私は母が兄にばかり構う姿を見なくて済むので、
心の中で母に甘えられない寂しさを我慢しなくても良かったため、
その状況に特段の不満はありませんでした。

そんなことよりも私は、
普通の中学生として振る舞うことに、
全神経を費やしていたため、
お風呂に入る体力も残らないほどに、
毎日の気遣いで疲労困ぱいしていました。

私がなぜ毎日このように、
学校にいくだけで疲れ果てているのか、
全く理由が伝わらず、
私が食事を摂るのがやっとで、
お風呂に入ることが出来なかった日などは、
母からはだらしが無いと散々なじられました。

けれど、どんなに母親からなじられて、
心が辛かったとしても、
お風呂に入るというそのひと手間にかける体力が、
私にはどうしても残っていなかったのでした。

それでも何とか気力と体力を振り絞って、
お風呂に入った時には、
湯船の中で寝落ちしてしまい、
お湯の中に頭まで沈み込んで、
どちらが上か分からなくなって、
お湯の中から出られずに、
溺れて暴れたことも何回かありました。

そんな私だったので、
自分の布団に入ると、
いつも微睡むことなく、
一瞬で寝落ちしていました。

私にとって布団の中は、
自分の母親の代わりにするくらいに、
唯一、心が休まる場所だったのです。

そんな私を見ていた母は、

「お前は寝つきがよくていいねぇ」

などと私に言いましたが、
布団に入ってすぐに意識が無くなる私には、
自分の寝つきが良いことさえ、
分かってはいなかったのでした。

だから私はある日の朝、
自分の部屋の布団の中で目が覚めて、
家の中で生活音が一切していないことを不審に思い、
パジャマのまま居間に行くと、
家族の姿が全くなく、
替わりに親戚の伯母さんが、
居間のコタツに座っていたことに、
非常に驚いたのでした。

言葉なく驚いて突っ立ったままの私に、
伯母さんはこう言いました。

「昨日の夜中、お前のお兄ちゃんが喘息の発作を起こして、
救急車で運ばれて、お母さんはお兄ちゃんについていった。
救急車がきてお兄ちゃんが運ばれても、
お前が一向に起きないものだから、
お前のお母さんがお前の面倒を私にお願いするために、
夜中に私に電話してきたんだよ」

私の家は6畳の和室が縦に4つ繋がっている、
決して大きくはない平家で、
私が自分の部屋として使っている和室は、
兄の使っていた和室と居間に、
挟まれた部屋でした。

私の部屋と兄の部屋と居間を隔てていたのは、
紙で出来た襖1枚のみで、
私はベッドを兄の部屋よりの壁に、
ピッタリ引っ付けて配置していましたが、
(私は和室にベッドを置いて寝ていました)
救急車がうちにきて、
隣の部屋から兄が運び出されたことなど、
一切気付いていませんでした。

「ご近所の人達も皆んな様子を見に家から出て来ていたんだよ。
本当に気付かなかったの?もうたまげた(驚いた)わ」

伯母さんからも、
病院からお昼頃に帰ってきた母親からも、

「兄が救急車で運ばれても寝続けていた妹」

と呆れて言われた私は、
自分がとてもいぎたない人間のようで、
とても恥ずかしかったのですが、
大人になってから私は、

「布団に入って微睡むことなく一瞬で寝落ちする人間は、
実は眠っているのではなく気絶している」

のだということを知りました。

普通は睡眠に入る場合、
10分ほどの時間がかかるそうなのです。
(詳しく知りたい方は営業サプリコラム様をご覧ください)

ASD(自閉症スペクトラム)の私は、
毎日布団の中で気絶するほど、
学校で神経をすり減らし、
何とか社会に溶け込もうと努力していたのですが、
学校にも家庭にも、
私のその努力に気付いてくれる人は、
存在しなかったのでした。