マルトリートメントと私50.理解出来ない恋愛感情 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、

マルトリートメントと私1.私の1番古い記憶

をご覧ください。

 
幼少期のまでの記事はこちら。
小学生までの記事はこちら。
中学生時代の記事はこちら。

※自分の記憶に基づいて書いているため、

事実と違っている可能性があります。
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中学校で仲良くなったTちゃんは、本当に普通の女の子でした。 
私は小学校の頃に普通を教わったすーちゃん、
同じく小学校の頃に頑張って仲良くなったさっちゃん、
その他3人の女子グループに所属することで、
ASD(自閉症スペクトラム)で、
本来、自分の思った通りに行動してしまうと、
学校や先生達の意図から外れて問題児認定されてしまう自分を、
何とか中学校生活に溶け込ませようと努力していましたが、
この普通すぎて悪気のないTちゃんの発言に、
ついていけなくて本当に困っていました。

Tちゃんは中学校に入学してしばらくしたら、
好きな男の子が出来たようでした。
そのため、

「誰が誰を好きか」

という恋愛話をグループの中でしたがるようになったのですが、
自分の心を押し殺して普通に合わせ過ぎたがために、
自分の好みが分からない人間に育っていた私には、
好きな男の子など出来るはずもありませんでした。

けれど私のこのような心理は、
定型発達者として育ち、
家庭でも親や兄から、
可愛がられて育ってきているTちゃんには、
全く理解されることはなく、

「私はグループの皆んなに好きな人を話してるのに、
じゅんちゃんは教えないなんてズルい」

と、
所属していた女子グループの中で、
非難の的になってしまい、
私はやむなく、
対策をとらなければならなくなりました。

そのため私は、
好きな人をでっち上げることにしました。

けれど同じ学校の人間だと、
グループの女子達がその男の子を見るたびに、
騒いだりしたら厄介なため、
私は卓球部の中体連の試合で出会った、
よその中学校の卓球部の男の子を、
好きだということにしました。

その男の子は、
他の誰かがカッコいいと言った言葉に、

「あ、あの人いいよねぇ」

などと便乗して好きなことにしたために、
正直、私は最初、
その男の子の顔もよく知りませんでした。

けれどやっぱりTちゃんは、
私の予想通り、
中体連でその男の子の姿が見えると、
騒いで私をつつきながら、

「ホラ、あそこにいるよ♡」

と私に教えてくれたため、
私はTちゃんから、
その自分が好きだと設定した男の子の、
顔を教わったようなものでした。

私はTちゃんからそうやって、
自分が好きだといった男の子の存在を教えてもらうたびに、
Tちゃんが好きな男の子の姿を見て喜ぶリアクションを真似して、
照れた風を演じていたのですが、
心の中ではそんな自分の姿を、
馬鹿らしく滑稽だと感じていて、
いつも心の中でもう1人の自分が、
本当は何も感じていない、
心を失くした自分が騒いで演じている姿を、
冷ややかで皮肉な笑みを浮かべて眺めているのを、
感じていました。

私の心は虚しさでいっぱいになっていましたが、
グループの皆んなは好きな男の子を話した私に対して、
とても満足していたようでした。

私はそんなグループの皆んなの姿に、
決定的な疎外感を覚えていました。

中学生になると人を好きになるのが当たり前なのだろうか?

幼い頃からずっと、
自己否定の環境で育ってきた私は、
誰かに好かれた経験がありませんでした。

だから皆んなが当たり前に語る、
"好き"という感情が、
私には分かりませんでした。

人に好かれるとどんな気持ちがするのだろう?
人を好きになるとどうなるのだろう?

その感情は私にとって。

小説やマンガの中でしか出会えない、
感情だったのでした。