マルトリートメントと私31.普通を教わる小学生 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、

マルトリートメントと私1.私の1番古い記憶

をご覧ください。

 
幼少期のまでの記事はこちら。

マルトリートメントと私20.貯まらないお金

マルトリートメントと私21.父親を迎えにいく小学生

マルトリートメントと私22.問題児認定

マルトリートメントと私23.先生からの無視

・ マルトリートメントと私24.破かれた日記

マルトリートメントと私25.失った味方

マルトリートメントと私26.記憶の奥底の恩人

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私と兄が通っていた小学校は、

1学年1クラスの、

とても小さな学校でした。


しかも1学年の子供の数は、

30人前後だったため、

全校生徒で数えても、

子供の数は200人もいませんでした。


そんな小さな小学校だったため、

だいたい生徒はお互いに、

顔も名前も知っている人ばかりで、

誰と誰が兄弟姉妹だというのも、

当然、皆んな知っている事項でした。


けれど、そんな中で。


問題を起こして暴れ回った私を、

恥ずかしいと感じていた兄は、


「絶対に学校で自分に話しかけるな」


と、

私に厳命していました。


なので私は、

全校生徒が私と兄が兄妹だと知っている中、

学校で会っても、

まるで赤の他人のように、

絶対にお互いに目を合わすことも、

口をきくこともありませんでした。


本当に幼い頃は、

いつも兄と2人で遊んでいて、

怖がりの兄を、

背にかばったりしていたのですが、

少しずつ成長していくとともに、

学校生活の比重が重くなっていくと、

集団生活に上手く適応出来ない私は、

兄にとって妹だとバレたくない、

邪魔な存在になってしまったようでした。


そんな兄と私は小学生になると、

よくケンカをするようになりました。


一番覚えている、

ケンカで兄に言われた言葉は、

タオルで私を叩き続ける兄に対し、

母が止めに入った時に、

兄が母に対して言った、


「こいつには体で覚えさせないと、

口で言っても分からないんだ」


という言葉でした。


それは、その当時、

我が家で飼っていた犬をしつけと言って、

父が逃げられないように、

犬の耳を握って拳で殴りつける時に、

よく言っていた台詞でした。


兄にタオルで叩かれた皮膚は、

ミミズ腫れを起こしていました。


体も痛かったのですが、

その時の私は、心の方が更に痛みました。


それは兄から、

自分が人間扱いされていないと感じたからでした。


自分を動物と同じように扱う兄に、

私は憎悪さえ抱きました。


もちろん私もそんな兄に対して、

心を開こう、

などと思うことはありませんでした。


でも、家族からも見放され、

誰にも理解されない学校生活を送るのは、

とても苦しいものでした。


私は、孤独でした。


ASD(自閉症スペクトラム障害)に該当する私は、

普通と言われる人々と、

モノの考え方や感じ方が違うからか、

それとも機能不全家族の中で育って、

自分の感情や考えを言葉にするのが苦手だからか、

人に自分の意見を理解してもらうまでには、

泣き続けたり暴れたりして、

何とか自分の言葉に、

じっくりと耳を傾けてもらわなければ、

なりませんでした。


私はASDゆえ、

元々はとても拘りの強い人間だったのですが、

ある日、そうやって自分の言葉を発し続け、

自分として生き続けることに、

疲れ果ててしまいました。


そんなことをしていても、

誤解ばかりされて、

孤独で辛くて苦しいだけだ、

と思いました。


そして私は、

誰にも理解されない自分の人生を、

生きることを諦めることにしたのでした。


私はその当時、

自分と同じ子供会に所属していて、

よく一緒に遊んでいた、

同じ歳のすーちゃんに、

こんなお願いをしました。


「私に普通を教えてください」


すると、すーちゃんからは、

こんな言葉が返ってきました。


「だったら私の真似をしなさい」


私はすーちゃんに言われた通り、

すーちゃんの真似をするようになりました。


すーちゃんを見ながら、

手や足を動かして、

すーちゃんと同じ言葉を、

発するようになりました。


すーちゃんの真似をする毎日は、

とても虚しくて、

私の心は少しずつ、

空っぽになっていったけれど、

周囲の大人たちは、そんな私をみて、

社会性が出てきたと喜びました。


そんな、

誰も私の本当の気持ちなど理解せず、

全く的外れな言葉を口にする大人を、

冷めた目で見つめながら、

私の心はどんどんと、

硬質化して動かなくなっていきました。


私は周囲の人間に溶け込むために、

おどけてバカな真似をして、

媚を売って暮らしていました。


顔は笑っていましたが、

心は虚ろでした。


私は自分以外の誰かになることでしか、

学校で生き延びる術を、

得ることが出来なかったのでした。




この時のことを私は、


「魂の自殺」


と自分の人生の中で位置付けています。


【追記】


私はこの本に中学生で出会って、

号泣してしまいました。



この本に出てくる、

心が崩壊してしまった女の子の感性が、

あまりに自分に似ていると、

感じたからでした。


その女の子も、

学校の先生や周囲の同級生達に、

自分の感性が理解されず、

心が崩壊し、

道化を演じることになったのでした。


最後にこの女の子は、

自分を取り戻すのですが、

中学生の私はもう、

周囲の人間に合わせ過ぎていて、

自分がどんな人間だったのかさえ、

思い出すことが、

出来なくなってしまっていました。


魂の自殺を実行してから、

再び自分を取り戻すまで、

私は20年以上の歳月を、

費やすることになってしまったのでした。


マルトリートメントと私32.変わってきた父の態度に続きます。