マルトリートメントと私18.伝わらない辛さ | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、

幼少期のまでの記事はこちら。

※自分の記憶に基づいて書いているため、
事実と違っている可能性があります。
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この教室に私の味方はいない。

入学して数日でそう思った私にとって、
学校は気を抜けない場所となっていました。

席を外そうものなら、
私の笛を自分のものと言い張る男の子とその友達が、
いつまた勝手に私の笛を机から取り出すか、
分からなかったからです。

教室の中に味方はいなかったけれども、
他に頼れる人もいなかった私は、
トイレに行く時には、
近くに座っていた、
言うことを聞いてくれそうな子に、

「机を見張っていてね」

と頼んで、席を立つようになりました。

けれどその後も、
何度か同じような出来事が起こりました。

私の敵になった4人のうちの1人は、
ドラえもんに出てくるジャイアンのような、
クラスの中心的人物だったため、
私が見ていることを頼んだ子は、
私の机から笛が盗り出される様を見ても、
男の子達に対して、
何も言ってはくれませんでした。

30人しかいないクラスで、
4人の人間が自分の敵になってしまったら、
それはかなり不利な状況になります。

私は自分を庇ってくれる友達も出来ないまま、
笛を盗ろうとする4人と対決し続け、
イライラして哀しい心をどうすることも出来ずに、
机や椅子を投げるといった大立ち回りを、
することもありました。

そんなことなど知らない先生は、
教室で暴れた私を、
悪いことをした子供として、
1人廊下に立たせました。

誰も上手く伝えられない私の気持ちを、
一生懸命に聞こうとはしませんでしたし、
誰も私を擁護してはくれませんでした。

私は1人廊下に締め出されて、
皆んなの輪から外された時に、
どうしようもない悔しさを感じました。

孤独で寂しくて辛くって。

私は教室の中にいる先生の気を引きたくて、
廊下の棚の上にあった鉢植えを、
生えていたお花が痛まないように気をつけながら、
廊下にばら撒きました。

それだけでは誰も教室から出てきてくれなかったので、
私は隣に置いてあったジョウロで廊下に水をまきました。

ここまでしてようやく、
教室から先生が出てきて、
様子を見て慌てて騒ぎ出しました。

出てきた先生に対して、
私は訴えたいことがいっぱいあったのだけど、
言葉にすることが出来なくて、
私の気持ちなどお構いなく、
ただ騒ぎ立てる先生に対して腹が立って、
私は1人で廊下にいた時よりも、
激しく暴れ出しました。

1学年1クラスしかない小さな小学校では、
あっと言う間にその騒ぎは広まって、

「この子の側は危ない」

と、私を何とか止めようとしていた女の先生達に変わって、
体格のいい、体育の男の先生が私の目の前に立ち塞がりました。

その時、私と体育教師は校舎の外に出ていたのですが、
その周囲は、
騒ぎを聞きつけて集まってきた野次馬の子供達が、
ぐるりと周りを取り囲んでいて、
その中央で私を見下ろしてくる体育教師を、
私は睨みつけました。

誰も、私の気持ちを聞いてくれない。

そんな、哀しみから発した怒りを抱えていた私は、
その哀しみや怒りをどうやって伝えていいか分からなくて、
私は体全体でその体育教師に突進していきました。

体全体といっても、
小学校1年生の早生まれの女の子の体格など、
体育教師の腰にも満たない身長で、
体育教師が振り下ろしてきた、
片手での張り手が私の頰にヒットすると、
私の体は周囲の野次馬の近くまで、
簡単に吹き飛んでしまいました。

それでも私の哀しみも怒りも消えなくて、
私は痛みでジンジンする頰を手のひらで抑えると、
もう一度、体育教師に全力で突進していきました。

結果は、同じでした。

簡単に体育教師に片手の張り手でもう一度吹っ飛ばされた私は、
もう、どうやったら、
自分の気持ちを聞いてもらえるのか分からずに、
悲しくて泣き出してしまいました。

その様子を見て、
先生達は周囲を取り囲んでいた野次馬の子供達を、
散らばらせ始めました。

その後の記憶はあまりありません。

ただ、私の笛を盗ろうとしていた男の子の話が、
ようやく先生に伝わって、
その男の子は先生に、
私の笛は自分の物だと主張していたけれど、
先生がその男の子に対して、
私の笛を盗らないように言ってくれたことで、
ようやく私は自分の笛が盗られるかもしれないという不安から、
解放されることが出来たのでした。