私には1つ上の、年子の兄がいます。
兄と妹という間柄のため、
もちろん普段兄妹で遊ぶ時には、
兄がリーダーシップを取るのですが、
そんな兄が、
泣いて私の背中に隠れる事態が、
時々起こりました。
それは、虫が現れた時です。
私は近所に子供がいないような、
かなり田舎に住んでいたため、
幼い頃に遊ぶ相手は、
兄しかいませんでした。
家も山の中にあり、
木造の、元々貸家として建てられていた家だったため、
隙間だらけで、
家の中に虫が入ってくるなどしょっちゅうで、
それどころか、ムカデがよく発生する家だったため、
私と兄は幼い兄妹2人で、昼に親が不在の間にムカデが出た時に、
ムカデを安全に殺す方法を親から教わり、
かなりの数のムカデをやっつけていました。
それほど自然に恵まれた中で生活していたので、
家の中に虫が現れることは時々あり、
怖がって泣く兄を背中に庇いながら、
私が虫を退治することが度々ありました。
私も虫が得意という訳ではなかったのですが、
自分よりも先に怖がって背中に隠れられてしまうと、
平気なフリをするしかありませんでした。
怖がる兄を助けるために、
本当は私も怖いのを我慢して、
私が虫を追いやったり、
叩いたりしたのですが、
兄は虫がいなくなると、
そんな私の行為に対して、
「酷いヤツだな」
といった言葉を、
平気で私に言ってきたりしました。
兄は小学校に上がって、
同じ歳の友達が出来てしまうと、
私と遊ばなくなってしまったので、
兄があからさまに私の背に隠れていたのは、
どんなに大きくても兄が6歳、
私が5歳の時でした。
5歳の時に、庇って守った相手から、
「酷いヤツ」
と言われて、傷つかない人はいないと思います。
この頃にはもう、
父親は男の遊びについてこれない女の子は邪魔だと言っていて、
いつも兄だけを連れて遊びに行きたがる父に母が、
「可哀想だからじゅんも連れていってあげてよ」
と言ってようやく、
私は父と兄の遊びの仲間に入れてもらっていた時期でした。
そんな兄は父親のお気に入りだったため、
普段父親と一緒にいる時は、
兄も私を邪魔者扱いにしていたのですが、
兄妹2人だけでいる時には、
虫が出た時に自分に頼ってくれる兄が、
嬉しくて頑張ったように思います。
例え、その後に心無い言葉をかけられると分かっていても。
私は必死に、家族の役に立つことで、
家族の中での自分の居場所を、
確保しようとしていたのでした。
マルトリートメントと私7.父の母への愛情表現に続きます。