マルトリートメントと私6.兄を背にかばった妹 | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、

私には1つ上の、年子の兄がいます。
兄と妹という間柄のため、
もちろん普段兄妹で遊ぶ時には、
兄がリーダーシップを取るのですが、
そんな兄が、
泣いて私の背中に隠れる事態が、
時々起こりました。

それは、虫が現れた時です。

私は近所に子供がいないような、
かなり田舎に住んでいたため、
幼い頃に遊ぶ相手は、
兄しかいませんでした。

 家も山の中にあり、
木造の、元々貸家として建てられていた家だったため、
隙間だらけで、
家の中に虫が入ってくるなどしょっちゅうで、
それどころか、ムカデがよく発生する家だったため、
私と兄は幼い兄妹2人で、昼に親が不在の間にムカデが出た時に、
ムカデを安全に殺す方法を親から教わり、
かなりの数のムカデをやっつけていました。

それほど自然に恵まれた中で生活していたので、
家の中に虫が現れることは時々あり、
怖がって泣く兄を背中に庇いながら、
私が虫を退治することが度々ありました。

私も虫が得意という訳ではなかったのですが、
自分よりも先に怖がって背中に隠れられてしまうと、
平気なフリをするしかありませんでした。

怖がる兄を助けるために、
本当は私も怖いのを我慢して、
私が虫を追いやったり、
叩いたりしたのですが、
兄は虫がいなくなると、
そんな私の行為に対して、

「酷いヤツだな」

といった言葉を、
平気で私に言ってきたりしました。

兄は小学校に上がって、
同じ歳の友達が出来てしまうと、
私と遊ばなくなってしまったので、
兄があからさまに私の背に隠れていたのは、
どんなに大きくても兄が6歳、
私が5歳の時でした。

5歳の時に、庇って守った相手から、

「酷いヤツ」

と言われて、傷つかない人はいないと思います。

この頃にはもう、
父親は男の遊びについてこれない女の子は邪魔だと言っていて、
いつも兄だけを連れて遊びに行きたがる父に母が、
「可哀想だからじゅんも連れていってあげてよ」
と言ってようやく、
私は父と兄の遊びの仲間に入れてもらっていた時期でした。

そんな兄は父親のお気に入りだったため、
普段父親と一緒にいる時は、
兄も私を邪魔者扱いにしていたのですが、
兄妹2人だけでいる時には、
虫が出た時に自分に頼ってくれる兄が、
嬉しくて頑張ったように思います。

例え、その後に心無い言葉をかけられると分かっていても。

私は必死に、家族の役に立つことで、
家族の中での自分の居場所を、
確保しようとしていたのでした。