おはようございます
昨日ご紹介した虫よけスプレー は、肌に吹きかけるタイプです。もちろん服にスプレーしていただいても構いませんが、精油がシミになる可能性はあります。おとな用なので、お子さんにも使うときは、精油濃度を薄くしてくださいね。
先週の『養生訓』、「小児への灸」 に出てきた驚風(きょうふう)について、忘れないうちに書いておくことにします。子どもによくみられるものとして、これまで疳の虫 、夜泣き 、夜尿症 、下痢 とお届けしていますが、食事と冷え、精神的なものの影響がけっこうあることに気づかれましたか?
何度も言いますが、子どものからだは発展途上、おとなよりも変化が大きいので、ちょっとしたことでも症状が激しくなりやすい。どんなに熱が出ていても、咳をしていても、目に光があって、元気そうにしていれば、さほど心配する必要はありませんが、今言ったように、急に変化することもあるので、見守ることが大切ですね。
本題の「驚風」ですが、これはからだがけいれんを起こして、意識を失う病証。いわゆる「ひきつけ」です。春夏秋冬どの時季でも起こりますし、どんな病気でも起こります。突発的に急に激しくひきつけるものを急驚風、ひきつけはさほど激しくはないけれどたびたび繰り返すものを慢驚風と言います。で、今日は急驚風について。
急なひきつけには、熱、痰、風、驚が深く関係しています。「子どもの身体を東洋医学的にみると」 にあったように 、子どもの臓腑はまだデリケートで、成長エネルギーとなる陽気が強いため、陰が不足しやすい。したがって熱を出しやすい。熱があって、津液が煮つまると痰を発生する。熱は風を生みやすい。風邪は陽邪なので、熱を生じやすい…という具合です。驚は、まさに驚風の名称になったもの。あまりの驚きは風を生じます。
外邪 による急驚風
六淫(りくいん)と呼ばれる外邪はどれも原因となりえますが、冬から春にかけての風邪 、夏から初秋にかけての暑邪 と疫癘(えきれい) によるものが大半です。インフルエンザなどの熱けいれんが、これに入ります。
外邪に襲われる原因は、
① 季節の変わり目、気候変化に合わせた着るものの調節ができていない。
② 春先、強い風に長時間あたる。とくにお風呂上りや寝ている間。
③ 夏、炎天下や蒸し暑い場所で長時間過ごす。
④ 夏から秋にかけて、水分補給が十分でない。
症状は、
① 突然、手足がけいれんして、意識を失う。ひどいときは、からだが弓なりにそる(角弓反張)。
② 発熱、頭痛、のどの充血、咳、口の渇き、胸が熱くてイライラする、悪心嘔吐を伴うこともある。
③ 舌質 紅、舌苔 薄黄(風邪)または黄膩(暑邪)、脈 浮数実、指紋 青紫
手当てに使うツボは、
人中 、大椎 、合谷 、太衝 、十二井穴 で、嘔吐には内関 ・中かん を、熱が強いときは曲池 を追加。
痰熱 による急驚風
子どもの食欲は、ときに旺盛過ぎて、つい食べ過ぎたりするもの。食べたものが滞ってしまうと、脾胃を傷つけ、消化がうまく進みません。すると、痰飲 が発生してしまい、気の流れをじゃましてしまいます。それが長引くと、熱を生じます。その熱が極まったときに、驚風が発生するのです。
痰熱の原因は、
① 食べ過ぎ、とくに甘いもの、あぶらっこいもの、味の濃いものは痰熱になりやすい。
② 冷たいものの食べ過ぎも、脾胃を傷つけやすいので要注意。
③ おなかがすき過ぎるのも、その後の過食を招きやすい。
④ よく噛まないで、早食いするのも、食積になりやすい。
症状は、
① 突然、手足がけいれんして、意識を失う。後頸部がこわばり、顔が紅潮する。
② 発熱、鼻息が荒い、のどに痰がありゴロゴロいう、おなかがはる、腹痛、嘔吐、便秘、便に血が混じる。
手当てのツボは、
人中 、中かん 、内関 、豊隆 、合谷 、太衝 、曲池 、神門
驚恐 による急驚風
子どもは、元気 もまだ不安定で、神 も不安定。不意打ちには弱いため、突発的な出来事があると、心神が乱れて驚風を生じます。
子どもが心神を見だす原因になるのは、
① 突然、異様な物音を耳にしたり、大声でどなられたりする。
② それまで出会ったことのないものを見る。
③ うっかり転んでしまって、びっくりする。
④ 両親や親しい人同士が、激しく言い争うのを見る。
症状は、
① 突然、手足がけいれんして、意識を失う。後頸部がこわばる。
② わめく、泣き叫ぶ、安眠できない、手足が冷たい。
手当てのツボは、
痙攣が激しく、よだれが多い場合は、横向きに寝かせて、気道を確保したほうがいいですね。また、厚く巻いた清潔なガーゼを歯の間に差し込んで、舌を噛まないようにしましょう。発熱している場合(とのケース)は人中 と合谷 を、熱がなくのケースであれば印堂 と神門 か百会 を刺激して、病院へ連れて行くのがよいかと思います。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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