ポーランドのワルシャワで開催されている、第18回ショパン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。
10月19日は、ファイナルの第2日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、第18回ショパン国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第18回ショパン国際ピアノコンクール 予備予選出場者発表)
(第18回ショパン国際ピアノコンクールの予備予選が4月から9月へと延期)
(第18回ショパン国際ピアノコンクール 予備予選免除の出場者発表)
(第18回ショパン国際ピアノコンクールの予備予選が2021年4月から2021年7月へと延期)
以下、曲はいずれもショパン作曲である。
また、以下の協奏曲はアンドレイ・ボレイコ指揮、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団との共演である。
2-1. J J Jun Li BUI (Canada, 2004-06-10)
- Piano Concerto in E minor Op. 11
ピアノはシゲルカワイ EX。
これまでの5人の中では最もスタンダードなスタイルと思われる、迫力・情感・技巧のバランスの良い演奏。
これは優勝争いに食い込むかと思ったが、終楽章に瑕があり残念(特に副主題再現の少し前の急速な経過句で崩れがみられる)。
こういうところ、やはり反田恭平の完成度はさすがである。
2-2. Alexander GADJIEV (Italy/Slovenia, 1994-12-23)
- Piano Concerto in F minor Op. 21
ピアノはシゲルカワイ EX。
からりと乾いた味わいが特徴で、この曲のイメージとは異なるが、新鮮で面白いといえば面白い(特に終楽章の副主題は小気味よい)。
ただ、タッチコントロールがいま一歩で(終楽章コーダなど)、ミスも少ないとは言えない。
2-3. Martín GARCÍA GARCÍA (Spain, 1996-12-03)
- Piano Concerto in F minor Op. 21
ピアノはファツィオリ F278。
存在感ある分厚い音に、はっきりした歌、なんともコンチェルト向き。
悠然としていて茶目っ気もあって、どことなく「巨匠」感が漂う。
技巧面の弱さも、コンチェルトではソロ曲のようには気にならない。
ここへきてダークホース的な存在となったか。
2-4. Eva GEVORGYAN (Russia/Armenia, 2004-04-15)
- Piano Concerto in E minor Op. 11
ピアノはスタインウェイ 479。
上記のJ J Jun Li BUIよりもさらにスタンダードなスタイルによる自然体の演奏で、かつ華やかなロシアの音が美しい。
コンチェルトは楽器が多い分、音色の華がソロ曲以上に際立つ。
どの楽章のどの瞬間にも、過不足ないみずみずしい情感がある。
技巧的には完全とは言えず、終楽章の難しい経過句はテンポが遅くなっているが、その分大きな事故もなく、ツボは押さえている印象。
この端正な名演、言うなれば前回大会優勝者チョ・ソンジンの同曲演奏から技巧的洗練を幾分取り去って、代わりにロシアの華やかな音色を付け加えた、そんなイメージか。
そんなわけで、ファイナル第1、2日の8人の演奏を気に入った順に並べると
1. Eva GEVORGYAN (Russia/Armenia, 2004-04-15)
2. Kyohei SORITA (Japan, 1994-09-01)
3. Hao RAO (China, 2004-02-04)
4. Martín GARCÍA GARCÍA (Spain, 1996-12-03)
5. J J Jun Li BUI (Canada, 2004-06-10)
6. Kamil PACHOLEC (Poland, 1998-11-11)
7. Leonora ARMELLINI (Italy, 1992-06-25)
8. Alexander GADJIEV (Italy/Slovenia, 1994-12-23)
といったところか。
優劣はつけがたく、感覚的に並べるしかなかったが、何となくこの1~4あたりが優勝争いに絡んできそうな気がしないでもない。
Eva GEVORGYAN、若き日のショパンが書いたこの曲のイメージにぴったりの演奏で、つい一番上にしてしまった。
反田恭平を応援していたではないか、と叱られそうだが、前回大会のチョ・ソンジンの端正な演奏をこの曲の最高のものの一つと考える私であるため(その記事はこちらなど)、好みの問題ということでお許しいただきたい。
もちろん、反田恭平が優勝する可能性も高いと思う。
貫禄と洗練の反田恭平、華やかさとみずみずしさのGEVORGYAN、といったところか。
次回(10月20日)はファイナルの第3日。
ついにファイナルの最終日である。
小林愛実をはじめ、腕達者たちがまだ4人もいる。
いったいどうなるのか、皆目見当がつかない。
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