第18回ショパン国際ピアノコンクール 予備予選 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ポーランドのワルシャワで開催されている、第18回ショパン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

7月13日は、予備予選の第2日。

ネット配信を聴いた(こちらこちら)。

ちなみに、第18回ショパン国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

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予備予選 第1日

 

 

 

 

 

以下、曲はいずれもショパン作曲である。

 

 

1. Aleksandra Hortensja DĄBEK (Poland, 1996-10-01)

 

- Nocturne in C sharp minor Op. 27 no 1

- Mazurka in A minor Op. 59 no 1

- Mazurka in A flat major Op. 59 no 2

- Etude in C sharp minor Op. 10 no 4

- Etude in A minor Op. 25 no 4

- Ballade in A flat major Op. 47

 

ピアノはスタインウェイ。

スラヴ風のメランコリックな美しい音を持つ。

ルバートはあまりかけず淡々としながらも情感豊か。

テクニック的には、エチュードop.10-4ではややもたつくが、op.25-4ではなかなかに安定した左手スタッカートが聴かれる。

 

 

2. Stephanie DRAUGHON (United States, 2002-12-10)

 

- Mazurka in E minor Op. 17 no 2

- Mazurka in A minor Op. 17 no 4

- Etude in C sharp minor Op. 25 no 7

- Barcarolle in F sharp major Op. 60

- Etude in A minor Op. 25 no 4

- Etude in C minor Op. 10 no 12

 

ピアノはスタインウェイ。

こちらも端正な演奏で悪くない。

ただ、一つ前の人に比べると音色はやや地味か。

テクニック的には、エチュードop.25-4は一つ前の人よりもテンポが速いが揺れがちで安定感に欠ける(op.10-12は悪くない)。

 

 

3. Hsin-Yu DUAN (Chinese Taipei, 1990-07-01)

 

- Etude in C major Op. 10 no 1

- Etude in A minor Op. 25 no 4

- Mazurka in G minor Op. 24 no 1

- Mazurka in C major Op. 24 no 2

- Nocturne in C minor Op. 48 no 1

- Ballade in F minor Op. 52

 

ピアノはスタインウェイ。

エチュードop.10-1は音を外しがちで、op.25-4は左手が重い。

マズルカは悪くないが、ノクターンやバラードでは冒頭は良いものの再現部以降での畳みかけに乏しい。

 

 

4. Mateusz DUDA (Poland, 1996-06-13)

 

- Nocturne in B major Op. 62 no 1

- Etude in F major Op. 10 no 8

- Etude in E minor Op. 25 no 5

- Mazurka in A flat major Op. 59 no 2

- Mazurka in F sharp minor Op. 59 no 3

- Ballade in F minor Op. 52

 

ピアノはヤマハ。

音の出し方がところどころぶっきらぼうで、繊細さに欠ける(ノクターン再現部の右手連続トリルは意外に悪くないが)。

エチュードも、大きな難はないもののop.10-8などもう少しレガートかつ音の粒をそろえてほしいところ。

 

 

5. Martina CONSONNI (Italy, 1997-10-16)

 

- Nocturne in C minor Op. 48 no 1

- Ballade in G minor Op. 23

- Mazurka in B flat major Op. 17 no 1

- Mazurka in E minor Op. 17 no 2

- Etude in E minor Op. 25 no 5

- Etude in G flat major Op. 10 no 5

 

ピアノはスタインウェイ。

音楽がからりとしており、ノクターンやバラードのクライマックスでも激することなく軽快で、やや風変わりだが概ね問題なく弾けている(バラードのスケルツァンド部分でテンポが少し落ちるのは惜しいが)。

テクニック的にもなかなかで、op.10-5などかなりの高速テンポ(その分ペダルはやや濁り気味だが)。

 

 

6. Yasuko FURUMI (Japan, 1998-02-05)

 

- Nocturne in C sharp minor Op. 27 no 1

- Etude in C major Op. 10 no 7

- Etude in F major Op. 10 no 8

- Mazurka in A flat major Op. 24 no 3

- Mazurka in B flat minor Op. 24 no 4

- Fantasy in F minor Op. 49

 

ピアノはスタインウェイ。

先日の演奏会と同様(その記事はこちら)、ショパンの音楽から甘ったるさを取り去った清廉な演奏。

完成度が著しく高く、技巧的にも万全で、特にエチュード2曲は滑らかこの上なく、世界最高峰のクオリティを誇る。

マズルカや幻想曲も、虚飾を排した真摯な名演。

 

 

7. Alexander GADJIEV (Italy/Slovenia, 1994-12-23)

 

- Etude in C sharp minor Op. 25 no 7

- Mazurka in C major Op. 56 no 2

- Mazurka in C minor Op. 56 no 3

- Etude in E minor Op. 25 no 5

- Etude in A minor Op. 25 no 11

- Ballade in F minor Op. 52

 

ピアノはスタインウェイ。

からりとしたべたつかない演奏で、渋い大人のショパン。

技巧的にも安定している(エチュードop.25-11は指がもつれかけているように聴こえる箇所もあるが)。

 

 

8. Martín GARCÍA GARCÍA (Spain, 1996-12-03)

 

- Nocturne in C sharp minor Op. 27 no 1

- Ballade in G minor Op. 23

- Mazurka in C sharp minor Op. 30 no 4

- Mazurka in C major Op. 56 no 2

- Etude in C major Op. 10 no 1

- Etude in B minor Op. 25 no 10

 

ピアノはヤマハ。

こちらもからりとした音楽性を持ち、情感もあるが(特に弱音表現が美しい)、ちょこちょこ音を外すのが惜しい(特にバラードのスケルツァンド部分やエチュードop.10-1)。

 

 

9. Eva GEVORGYAN (Russia/Armenia, 2004-04-15)

 

- Nocturne in B major Op. 62 no 1

- Etude in E minor Op. 25 no 5

- Etude in C sharp minor Op. 10 no 4

- Mazurka in D flat major Op. 30 no 3

- Mazurka in C sharp minor Op. 30 no 4

- Fantasy in F minor Op. 49

 

ピアノはヤマハ。

若々しく勢いの良い演奏で、エチュードop.10-4など相当速くアグレッシブであり、幻想曲も情熱的。

ノクターンやエチュードop.25-5中間部など、緩徐な箇所では表現がこなれきっていない印象もあるが、まだ若く今後の成長に期待か。

 

 

10. Jorge GONZALEZ BUAJASAN (Cuba, 1994-07-08)

 

- Nocturne in C minor Op. 48 no 1

- Ballade in F major Op. 38

- Mazurka in A minor Op. 59 no 1

- Mazurka in F sharp minor Op. 59 no 3

- Etude in B minor Op. 25 no 10

- Etude in A minor Op. 25 no 11

 

ピアノはヤマハ。

端正なピアノで、どの曲にも大きな穴がなく、情感表現にも欠けない(特別なキレや個性には乏しいきらいはあるが)。

op.25-11は、もう少し安定感があるとなお良いか。

 

 

 

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私が1次予選に進んでほしいと思うのは

 

1. Aleksandra Hortensja DĄBEK (Poland, 1996-10-01)

5. Martina CONSONNI (Italy, 1997-10-16)

6. Yasuko FURUMI (Japan, 1998-02-05)

7. Alexander GADJIEV (Italy/Slovenia, 1994-12-23)

9. Eva GEVORGYAN (Russia/Armenia, 2004-04-15)

10. Jorge GONZALEZ BUAJASAN (Cuba, 1994-07-08)

 

あたりである。

次点で、

 

2. Stephanie DRAUGHON (United States, 2002-12-10)

8. Martín GARCÍA GARCÍA (Spain, 1996-12-03)

 

あたりか。

さすがはショパンコンクールだけあってレベルが高く、ちょっとやそっとでは1次予選に進めなさそう。

 

 

次回(7月14日)は予備予選の第3日。

 

 


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